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儒烏風亭らでんの落語がたり!④『火焔太鼓』/この仕事向いてる!? 向いてない!? まあ、あきないでやりましょうや

  • 2024.9.13

餅は餅屋、という言葉があります。 専門分野は専門家に任せろ、という意味です。

しかしこの「餅」、現代ではどこでも手に入ってしまいます。 もちろん最高級の、頬が落ちるほどの餅だというなら別ですが、物を選ばなければコンビニやスーパー、デパート、なんでも売ってる例のペンギンの店などに置いてあります。 では、少々現代の言葉にアレンジしてみましょう。 まずはこちら

「スマートフォンのフィルム貼りは、携帯ショップの店員さん」

スマートフォンの画面を保護するフィルム、これをただ貼るだけだからと言って自分で貼ろうとすると、たいてい気泡が入りうまくいきません。 次はこちらです

「派手なバスボムならLUSH」

これはなかなか現代の専門店としてピッタリではないでしょうか。 最後はこちら

「良い音ならASMR配信者に聞け」

やはり身の回りの音といえば、繊細な音を扱うASMRの配信者さんでしょう。 良い音だけではなく、音の邪魔になるノイズにも気を遣うため、音のプロと言ってもいいでしょう。

さて、3つほど例を出しましたがこの3つを考えるのにかなりの時間をかけました。 それくらい手に入りやすいものが増えた、ということなのですが昔はそうではありませんでした。

時は江戸、商いは下駄は下駄屋、炭は炭屋、そして今回の舞台になる「道具屋」です。 道具屋については骨董店を想像していただければと思います。

甚兵衛さんの道具屋は骨董店にはほど遠い、こぢんまりとしたお店です。

「あんたはほんとうにもう!どうして商売が下手なのかしら!」 と怒るのは甚兵衛のカミさんです。 この甚兵衛という店主、とても商売が下手なのです。

「あら!いい箪笥だね!」とノリノリで来たお客さんには 「ええ!なんてったって(店に)十三年あるんですから!」と言い、 「あれはいい火鉢だね!」と向かいの米屋さんが来たときは火鉢を売ってしまいます。 火鉢は売り物ではなく、自家用だったのです。時期は冬、地獄です。

売らなきゃいけないものは売れず、売ったらいけないものを売ってしまいます。 甚兵衛さん、もしかしたら、いやもしかしなくてもこの仕事向いていないかもしれません。

そんな中、甚兵衛さんはとあるものを仕入れてきます。 それは太鼓です。 ボロボロで、埃を被っている太鼓です。 しかも、お祭りの時期ではないため、売れる目途もありません。 甚兵衛さん、この仕事向いていません。

この太鼓、どう見ても売れるわけがないのです。 カミさんももう怒ってしまってどうしようもありません。

試しに太鼓を叩いてみると、軽く叩いただけで太鼓の音が鳴り響きます。 たとえるなら、太鼓の達人で「カッ」の部分を叩いたら「ドーン!」と鳴るイメージです。 甚兵衛さん、楽しくなってしまい太鼓をリズミカルに叩きます。 (この叩く仕草やリズムが落語家さんによって違うのも面白ポイントです。)

すると通行中の大名がこの太鼓の音を聞いて、屋敷へ太鼓を持参せよとのお達しが。 太鼓は見ずに、音だけで殿様が興味を示したのです。

さあさあ、大名屋敷を訪れた甚兵衛さん。 甚兵衛は退け腰です。 なぜなら、太鼓は汚く埃を被っています。 そんな太鼓を殿様に見せるのです。

殿様に怒られ散々な目に遭うのか、それとも無事にこの太鼓が売れるのか。 甚兵衛さんの運命やいかに! 続きはぜひ、ご自身で聞いて確かめてくださいね。

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