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7.4万いいねの話題作! 種族も性癖もさまざますぎる愛のカタチを描いた異世界ファンタジーコミック『最強勇者パーティーは愛が知りたい』

  • 2024.9.13
ダ・ヴィンチWeb
『最強勇者パーティーは愛が知りたい』(山田肌襦袢/COMICSMART INC./発行:一迅社)

愛のカタチは色々あっていい。現実ならばそれは当たり前である。では異世界では?

『最強勇者パーティーは愛が知りたい』(山田肌襦袢/COMICSMART INC./発行:一迅社)は、そんな多種多様な愛のカタチを描いた異世界ファンタジーコミック。SNSで7.4万「いいね」を集めた物語の舞台は、最強の勇者・シャーユとその仲間たちの活躍により魔王から救われた世界だ。すでに平和になったタイミングからストーリーは始まる。

世界を救った勇者パーティーの新たな敵は?

魔法使いのイツカはパーティー内での格差を憂いていた。それは、シャーユの圧倒的モテモテぶりである。ムチムチお色気エルフ・ルフエ、女格闘家・トイファ、可愛い子どものような僧侶・リヨ、“彼ら”苦楽を共にしてきたパーティーメンバーたちでさえ、シャーユとイチャイチャするほどであった。

シャーユは世界最強の勇者であり、しかも高身長で美形とモテ要素しかない。とはいえ自分だって頑張ってきたのだと納得がいかないイツカ。そこでパーティーから自分を追放するよう懇願する。「パーティーから追放された人間がリベンジしてモテる」「そうすればきっと自分もチヤホヤされる」と考えたのだ。だがシャーユは追放を断り、こう言った「僕はイツカが大好きなんだけど、それはモテていることにならない?」。見境なしかとイツカは激昂する……。

そんなカオスな勇者パーティーだったが、活動自体は継続することに。なぜなら憂慮すべき事態が起こっていたからだ。世界はシャーユたちによって確かに救われた。しかし救われすぎていたのだ。なんと魔王討伐という目的を失って、異世界(現代日本と思われる)から召喚されて転移してきた多数の勇者たちが大暴走し始めていた。

転移者たちは半端なくクセが強かった。イツカ以上に非モテをこじらせまくっている者、夢女子だった者、そして魔物のドラゴンの愛の営みに異常な関心を寄せる者(ありていに言うと特殊性癖者)……。そんな人物たちばかりであった。

共通するのは、皆それぞれ「愛を求めている」ということ。そのカタチは極端でさまざまである。シャーユとイツカたちは、暴走する転移者たちを何とかすべく新たな冒険へ旅立つ。それぞれの愛のカタチをぶつけあう(?)戦いの火ぶたが切って落とされた。

多種多様な愛のカタチを楽しめる物語

イツカもモテたいと考え、愛を求めていた。ただ彼には、前述の通り勇者シャーユが熱視線を送っていた。すぐ明らかになるのだが、シャーユは女性である。ちなみにリヨは男性(男の娘)でルフエは両性であった。イツカは女性が好きなので何の問題もない。もう「モテモテ勇者×非モテ魔法使い」のすれ違いラブコメである。かなり一般的な愛のカタチだし、普通にイチャイチャすれば……で話は終わらない。そこにはイツカが気にするシャーユの秘密があるのだが、それはぜひ本編を読んでほしい。

数えきれない異世界ファンタジー作品を読んできたが、ふと思った。それは異世界には愛のカタチのバリエーションがそれほどないということだ。考えてみれば、異世界ならば現実世界とは全く違う宗教観や常識や性嗜好があってもおかしくはない。肉体だって人類と違っていてもいい。だがそれらは現実世界とあまり変わらず、大概の亜人や魔物も雌雄なのである。

しかし本作には、別々の世界の人間や亜人、魔物たちのさまざまな愛のカタチが描かれている。転生勇者たちが面白おかしくは描かれているが、性嗜好が特殊でも特殊じゃなくても、作者がそれらすべてを本気で「良い」と信じていることが伝わってくるのも魅力だ。

冒頭に書いたように、異世界には色々な愛のカタチがあってもいいのだろうか。その答えは、異世界だからこそいい、である。そう気づかされたこの作品を心の底からオススメしたい。

文=古林恭

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