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「助けて」と言えないあなたへ。身投げから再起した中年男性が伝える、人を頼る意味『野良猫と便利屋』

  • 2024.9.13

この記事にはショッキングな画像が含まれます。ご了承の上、お読みください。

現代に生きる人々は、仕事や家庭や学校で、1人でいくつもの役割を抱えて多忙を極めている。そんな生活の中で「猫の手でもいいから助けが欲しい!」「でも家族にも知人にも迷惑はかけたくない」と、孤独に耐えてきた経験はないだろうか?

漫画『野良猫と便利屋』(乙津きみ子/KADOKAWA)は、お金を対価に助けが欲しい人々へ救いの手を差し伸べる便利屋「ネコノテ」を舞台に、物語が繰り広げられていく。

作者は柔らかなペンタッチで登場人物たちの感情を繊細に描く乙津きみ子先生。本作ではそれぞれに事情を抱えた人々からの多種多様な依頼を通して、現代社会に対する鋭い洞察と人間ドラマが描かれている。

主人公は人生に絶望した中年男性・柴(しば)。彼はビルの屋上から身を投げようとしたところを、便利屋として働く青年・玄野(くろの)に助けられる。命を助けられた柴は、自分も誰かの役に立ちたいという思いから玄野の働く便利屋「ネコノテ」で働くことに。

便利屋での柴の仕事は、依頼者の代わりに買い物や掃除をするといった家事代行的なものから、自治会への参加や不登校のこどもを預かることなど、多岐にわたる。

柴は多くの依頼をこなしながら、自分とは違う生き方、これまでの自分にはなかった考え方に直面していく。仕事も家族も失い人生のどん底に突き落とされていた柴が、多くの依頼人と関わりながら過去の自分を見つめ直し再生していく姿に、私たち読者も自分の生き方や社会との関わり方をあらためて考えさせられる。

困っているけれど気軽に頼れる相手がいない。そんなときは自分自身を追い込んでしまう前に「ネコノテ」のような代行サービスに依頼してみるのはどうだろうか。

『野良猫と便利屋』は現代社会を懸命に生きる私たちに、救いの手というのは家族、知人の存在だけではないのだと教えてくれる。他人へお金を払うからこそ気軽に助けを求められる場合もある、ということを覚えておきたい。

文=ネゴト / ニャム

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