収穫物の余剰分はほかの人と交換。無駄なく、皆に野菜がいきわたる
ニュージーランド人は、もともとガーデニング好きだ。都市部を除いて一軒家に住む人が多く、庭が身近なせいもあるが、近年は野菜や果物の値上がりの影響で、自分で野菜作りをする人が増えている。
家庭菜園で育てる定番野菜といえば、ジャガイモ、ネギ、ズッキーニ、レタス、トマト、キャベツ、ブロッコリー、シルバービート(フダンソウ)など。中には育ちが早く、食べるのが追い付かないものもある。友達や近隣の住人に配っても、まだ余る。
そんなときには、収穫物を交換する集まり「クロップ・スワップ」に出るといい。さまざまな町で行われており、野菜や果物はもちろん、手づくりのジャム、花束なども持ち込まれる。「シード・スワップ」はその種子版だ。また、地域の人々が共に作物を育てるコミュニティガーデンは国内に200以上ある。メンバーに収穫物を配っても余分があるときは、指定の貯蔵小屋に収穫物を入れておく。誰が取っていってもいいようになっているので、無駄を出さずに、皆が新鮮でバラエティ豊かな野菜、果物を食べられる。野菜づくりが好きなニュージーランドならではの活気で楽しいアイデアだ。
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クローディアー真理
くろーでぃあー・まり/NZ在住フリーライター。国内外の環境、社会的企業、先住民、ジェンダーなどに関する記事を日本の雑誌やウェブに寄稿。共著に『コロナ対策 各国リーダーたちの通信簿』(光文社)。
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