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大人が決めた謎ルール。ブランケット禁止の校則に感じた違和感を忘れないでいたい

  • 2024.9.13

冬。女子高生の足元は冷えとの戦い。寒くなると暖房の使用が許される。ただ、移動教室で前に誰も使っていない教室なんかに足を踏み入れた時は地獄だった。高校3年生になると数Ⅱと数Ⅲの選択者がいるから数学の授業はクラスが分けられた。数Ⅱ選択者の方が少数派だった私のクラス。数Ⅲ受講組がホームルームに残って私たちは別の空き教室に異動して授業を受けていた。

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暖房が動いていようと隙間風は常にしぶとく入ってくる。私の席は前の方。ドアの隙間の影響をかなり受ける。だから私はブランケットを持って行っていた。体をなんとか温めようと思った私なりの対策だった。色はカスタードみたいな黄色で模様はなかった。

私たちの数学の先生は50代半ばの女性。ある日の授業。ガラッとドアが開いて開口一番「ブランケットやめなさい」私は先生に怒られた。なんでダメなんですか。素直にそう聞いた。「これは体調が悪い人がするものです」「校則で禁止されていますから」そんな冷たい回答が返ってきた。体調が悪くなる前に、防ぐために予防として使ってるんですけど……。反抗心で言い返したが圧力に負けた。結局足を冷やしながら問題集を解いた。私以外にも何人かブランケットを使用していたが、授業の前に全員ロッカーに入れに行かされた。

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突如決まった校則。それは、暖房が入っている部屋での膝掛け禁止例(体調不良の者は除く)だった。理由は、ブランケットの柄や色が派手で女子がみんな使用すると授業中の景観が悪くなるから。完全に先生や来賓のお客様目線のルールだった。だって、座っている私たち生徒からは教室中の足元や膝下なんて一望できない。派手かどうかなんて確認がそもそもできない。恐らく、教室を前や廊下の窓から眺めた時にカラフルになるのが学校的によろしくなかったのだろう。私の学校は髪を染めることやピアスが禁止だった。創立100年を超える昔からある学校でなんとなく真面目な雰囲気があった。女子は紺のセーラー服。スカートを膝より上にしている子なんて誰もいないような学校だった。

私たちをしつこく注意してきた数学の先生は風紀委員をしている先生だった。そのメンツを守るために校則を私たちに厳しくぶつけてきていたのかもしれない。でも冬にスカートを履いている女子生徒の気持ちに少し寄り添って欲しかった。

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ちょっと謎だったのが、スカートの下に体操服を履くのが許されていたこと。ブランケットの使用は景観を損なうと言われるのに、セーラー服+体操服のジャージのコーディネートはなぜ気にならなかったのだろう。私はあまり高校の体操服が好きではなかったのでやらなかったが、先生たちの感覚が分からなかった。

歳を重ねると、大人が決めた謎ルールに対して疑問を持たなくなった。自分も大人の仲間に入ってしまったからだろうか。職場の規則に合わせて髪の毛のトーンを気にしたり、名刺を低く低く出してみたり、空いた上司のグラスにお酒をついだり。「なんでこんなことすんの?」と聞くのがめんどくさくなって、変に揉め事を起こすぐらいだったらそのまま従った方が楽な選択に思える。誰かが作った当たり前は自分にとっての当たり前と違っていいのに日々を穏便に過ごしたくて些細な疑問をスルーしてしまう。

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10代の時のように反抗心で言葉を投げかけるのは幼稚だ。時には相手を傷つけるかもしれないし、自分が所属している組織の顔に泥を塗ることになる可能性がある。でも「●●ってルール不思議ですよね。なんでですかね」って一旦誰かに問いを投げることは忘れないでいたい。もしかしたら同じ思いの人と出会えるかもしれない。

■みなちゃんのプロフィール
管理栄養士 │ 口から産まれた米屋のむすめ │ 食べ物が最後は胃に収まる世界を夢見る │ ラジオ「#聴くキッチン」放送中│ instagram:@mina_jp_37

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