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瀬戸康史さん、三谷作品のワクワク感を軽さで表現。映画『スオミの話をしよう』で刑事役

  • 2024.9.13

瀬戸康史さんが9月13日公開の映画『スオミの話をしよう』に刑事・小磯杜夫役として出演します。三谷幸喜さんが脚本・監督を務める本作は、行方不明になった大富豪の妻・スオミと、彼女を愛した5人の男たちによるミステリー・コメディー。大河ドラマ『鎌倉殿の13人』をはじめ、これまでにも多くの三谷作品に出演経験がある瀬戸さんに、今回の役に向き合う思いをうかがいました。

絶妙な立ち位置のキーパーソン

――三谷さんは、『スオミの話をしよう』の撮影日誌で、瀬戸さんについて「気心の知れた『仲間』が来てくれた」と評しています。撮影にはどのような思いで臨みましたか?

瀬戸康史さん(以下、瀬戸): 三谷さんとは舞台では何度もご一緒していますが、実は映画に出演するのは初めてなんです。今回は「呼んでいただけた」といううれしさと、「どんなことをやらせてもらえるんだろう?」というワクワク感がありました。

朝日新聞telling,(テリング)

――演じた小磯杜夫役は、有能な刑事であり、物語に絡むキーパーソンでもあります。瀬戸さんは、最初台本を読んだ時に「とても難しい立ち位置だと感じた」とコメントしていますが、演技で意識したことは?

瀬戸: 三谷さんからいただく役は、とても絶妙なポジションが多いんです。『鎌倉殿の13人』の北条時房役もそうでしたが、上でもなく下でもなく、いい人と悪い人の間みたいな存在なので、今回も周りとのバランスを考えるのが難しかったです。でも、そこが演じる面白さでもありますね。

刑事には、冷静で硬派なイメージがあるかもしれませんが、僕が演じた小磯は、感情表現が豊かだし、おっちょこちょい。例えば、みんなの前で得意げに推理しているのに、実は全然違っているという(笑)。そういった憎めない部分もあるので、堅く読んでしまいがちなセリフも、三谷さんから「ちょっと軽くいきましょう」と求められたりもしました。

この作品のキャストは個性豊かな人だらけだし、物語もどんどんシリアスになっていく。そこに小磯がいることで、ただ重いだけのシーンにならず、リズムが付くようになるのが「軽さ」の狙いだったのかもしれません。そうした重要な役を任せていただけたことに感謝しています。

朝日新聞telling,(テリング)

急なアクション変更も「めっちゃ面白い」

――姿を消したスオミの行方をめぐり、現在の夫のもとに4人の元夫が次々と集まって交わされる会話が中心で、ワンシーンも長め。まるで舞台作品を見ているかのようでした

瀬戸: 撮影自体がほぼワンシチュエーションで、展開も主に豪邸のリビングで繰り広げられますしね。三谷さんは長回しのやり方にこだわっていて、舞台のように何度もリハーサルを重ねてから本番に入りました。

三谷さんの演出は、台本がベースにありますが、僕たちの芝居を見て、その時に思いついたアイデアも採り入れてどんどん変わっていきました。それは舞台の時と同じ。発想力と、それを役者に演じさせる「ドS感」のようなものが、三谷作品の魅力をつくっているのでしょうね。

――当初の台本から、途中で瀬戸さんのアクションが大幅に変更になったシーンもあったそうですね。

瀬戸: 人生初のワイヤーアクションで、「忍者ハットリくん」みたいに飛ぶところですね(笑)。三谷さんからは本番の数日前に伝えられましたが、実際にやってみると、アトラクションのようで、めっちゃ面白かったです。小磯は、周りに振り回されているだけのように見えて、実はおいしいところを持っていくんです。

朝日新聞telling,(テリング)

――小磯の上司であり、スオミの4番目の夫役は西島秀俊さん。刑事コンビを組んだ印象はいかがでしたか?

瀬戸: 西島さんには寡黙なイメージを持っていましたが、誰よりもゲラ(よく笑う人)だったのがとても意外でした。特に、小林隆さんの演技がツボにはまったようで。小林さんは“つけまつげ”をしていたんです。そのメイクで顔を近づけて話をするだけで、西島さんは崩れ落ちていましたから。

――そうしたコミカルさの中でも、小磯は、上司をはじめ男性陣に鋭いツッコミを入れていました。

瀬戸: 話の流れを壊さないように、相手がブレスをする間合いを見て自分がセリフを言うのでとても難しかったのですが、そのタイミングを見極めるのが楽しいところでもありました。

©2024「スオミの話をしよう」製作委員会

――エンディングは、メインキャストによる華やかなミュージカルシーン。瀬戸さんの扮装とダンスからも目が離せませんでした。

瀬戸: 芝居と同じく、本番まで相当時間をかけてリハーサルをしました。ダンスの振り付けは、宮澤エマさんと僕だけフリースタイル。それに、僕はなぜか、ある歴史上の人物として踊っているんです。「結局、小磯はどこに行ったんだ!?」と(笑)。

恋や愛を超越した“興味”がある

――スオミを愛した男性たちから見た彼女の印象は、見た目も性格もすべて別人です。本作から、人間の個性は、一面ですべてを捉えるものではないと感じられました。瀬戸さんから見たスオミという女性の魅力は?

瀬戸: 本当のスオミとは何者なのか、他人からは分からないところですね。だからみんな、それを突きとめたくなる。もしかしたら、違う一面を知ったことで、「裏切られた」みたいな気持ちになることがあるかもしれませんが、恋や愛を超越した“興味”のようなものが、彼女の中にはたくさん詰まっています。この役は、長澤まさみさんにしか演じられないと思います。

ヘアメイク:小林純子
スタイリスト:田村和之

朝日新聞telling,(テリング)

■小島泰代のプロフィール
神奈川県出身。早稲田大学商学部卒業。新聞社のウェブを中心に編集、ライター、デザイン、ディレクションを経験。学生時代にマーケティングを学び、小学校の教員免許と保育士の資格を持つ。音楽ライブ、銭湯、サードプレイスに興味がある、悩み多き行動派。

■大野洋介のプロフィール
1993年生まれ。大学卒業後、出版社写真部に所属した後、フリーランスとして活動中。

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