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役づくりで体重10キロ増!? 9月19日配信のNetflixシリーズ「極悪女王」剛力彩芽インタビュー

  • 2024.9.13

話題のNetflixシリーズ「極悪女王」は9月19日配信スタート!

9月19日の世界配信を前に話題沸騰! 企画・脚本・プロデュースに鈴木おさむ、総監督に白石和彌という強力タッグで贈るNetflixシリーズ「極悪女王」は、80年代カリスマ的人気で女子プロレス旋風を巻き起こしたダンプ松本の知られざる物語を描く半自伝ドラマ。
 
ゆりやんレトリィバァさんがダンプ松本に。そして、剛力彩芽さんは当時国民的アイドルだったクラッシュ・ギャルズのライオネス飛鳥に! これが……明るい笑顔と華奢で可憐な印象の剛力さんが? と、度肝を抜かれるシーンの連発。ジャイアントスイングで剛力さんが人をブンブン回してる! からだつきから別人です。20代最後と30代のはじまりを捧げた「極悪女王」について、驚きの役づくりから俳優としての覚悟、撮影秘話まで、剛力さんご本人から貴重過ぎるお話を伺いました。

衣装協力/ドレス¥1,320,000(ZIN KATO)、イヤリング¥573,100、イヤリングコンバーター¥124,300(共にTASAKI)、シューズ¥279,400(Sergio Rossi/セルジオ ロッシ カスタマーサービス)

家族にも「後ろ姿だと誰だかわからない」って一時期言われてたんです

――最初の登場シーンからしてライオネス飛鳥過ぎてびっくりしました。
剛力 え、ほんとですか! 嬉しい!
――いやいや、本当に。しかも、ご健在の方の伝記って本当にやりにくいと思うんですよね。
剛力 そうなんですよ。実際にご本人にも見ていただけるっていう嬉しさもあるんですけど、それよりも不安とか緊張が上回っちゃいますよね。それに、プロレスをリアルに見てきた世代の方にどういうふうに見ていただけるんだろう……っていう怖さがありました。
――安心して! ガチ世代ですが大興奮でしたから!
剛力 よかった〜! そういっていただけて本当によかった。
――なにより、あの広い背中にはほれぼれでしたよ。これぞライオネス!
剛力 そこ! そこ観てくださったの、本当に嬉しいです! 家族にも「後ろ姿だと誰だかわからない」って一時期言われてたんですよ。でも、めちゃくちゃ大変で。じつは私、なかなか体重を増やせなくて。それは体質的なものだと思うんですが、食べるのも大変だし、なかなか増量しないし、おまけに筋肉もつかないし。でも、飛鳥さんって身長も高くてガッチリしてらっしゃるじゃないですか。たしか170cmくらいあるんじゃないかな。私は164cmくらいだから、それだけで本人との差がついているんですよね。そこをどう寄せていくか、っていったら増量して筋肉をつけるしかなかったんですよ。だから、背中が広い、っていうのはめちゃくちゃ褒め言葉です。
――努力の成果は見事でしたよ〜。ライオネスがいる! って思いましたから。ぜんぜん似てないはずなのに。
剛力 あんな有名人ですとビジュアルを寄せたところで限りがあるんですけどね。よかったー。がんばった甲斐があった。

健康的に増量することが、こんなに難しいとは!

――トレーニングは唐田さんと一緒にされたんですか?
剛力 そうなんです。からちゃん(唐田えりかさん)と2人で通っていましたが、私たち2人とも太れない組で。「がんばって増量しようね」って励まし合いながらやってましたけど、これが本当になかなか手強くて。
――俳優のお仕事をしていて、やせろ、と言われることはあっても、太れって言われることなんてないですもんね。
剛力 それが「ちょっとは太っていい」と言われたことはあるんですよ。やせすぎちゃった時期があって、そのころはよく言われてました。しかも、この作品の撮影に入る前が、これまでで一番やせていた時期だったから、健康的に増やすことがこんなに難しいとは……と思いましたよね。
――一番やせていらっしゃるときと撮影時だと、どれくらいのギャップだったんですか?
剛力 10キロですね。
――今はもう戻しましたよね。
剛力 そうですね。でも、トレーニング前の状態までは戻りたくない、と思って適度に戻しました。あのころ、「あ、このへんが気になる」とかすごい気にしていたんですが、それがちょっと感覚おかしくなってるってことに気づいたんですよね。それに、この撮影で現場にいたら、みんなからだが大きいんで。役者はもちろんですが、監修に入っていただいた長与さんをはじめとするマーベラスの皆さんもいらっしゃるから、トレーニングした私たちですら小さく見えるレベル。
――環境ですよねー。
剛力 そうそう。それに、みんな健康に気を配りながら、筋肉と脂肪をつけているんですよね。プロレスって技の衝撃があるので、多少の脂肪がついていないとすっごく痛いんです。
――筋肉隆々だと痛いんだ。
剛力 そうなんです。痛そうに見えないかもしれないんですが、もちろん痛いですよ。なにせ健康的に増量するっていうのがテーマだったので、撮影後の減量も健康的に。マックスの体重から5キロくらいしか落としてません。
――撮影前よりもからだに気を使うようになったんですね。
剛力 それはすごく得したことだと思います。管理された食生活だったので、運動と食事のバランスが重要だということを学びました。それと、一番重要なのが睡眠ってことも。よく寝ないと回復しないんですよね。この全体的なバランスが大事で生活の基本ってことを学べたのは最高のおまけです。

極力本人がアクションシーンを演じる。「チャレンジしないと」って思ってました

――役柄や芝居もそうですが、いいターニングポイントになりましたね。
剛力 この撮影中、ちょうど30歳を迎える節目だったんですよ。20代最後と30代のはじまりをこの作品に捧げたので、自分の節目に全てがはまった感じがします。こういうことって本当に出会いのタイミングですよね。
――年齢的にもお洋服のラインも変わるタイミングですし、よかったのかもですね。
剛力 そうそう。自分が気に入っていた洋服が着られなくなったことでモヤモヤしたこともあったんですが、よくよく考えてみると違うんですよ。細すぎた体型のときに合わせていたから、「こう着られる」っていう思い込みがあるだけだったんです。今は、お洋服は大好きだからこそ、そのときどきの体型で似合うコーデを、新たに楽しめてる感覚になってます。
――30歳で何か変わる、と思っていた? それとも変わらなきゃと思っていた?
剛力 チャレンジしないと、って思ってました。そのタイミングでこの作品のオーディションがあったんです。まわりの皆さんから30歳からどうなるみたいな話はいろいろ伺っていたんですが、からだのことやお肌のこととか、とにかく20代のままではいられないことを聞かされていて。
――30の次は35、35の次は40の壁がありますよ〜。
剛力 それも聞きました! やっぱり変わるんですね。で、それなら29歳のいまのうちにできることをやりたい、って思ったのがオーディションを受ける原動力になったんです。だって、このお話がもっと若いときだったら対象外だろうし、歳を重ねてからではできないし。しかも、プロレスというケガのリスクが高いことに0から挑戦できるのも今のうち。それで挑んだことで、健康第一、安全第一ということを学ぶこともできたので、からだが資本ってことを思い知りました。
――俳優もそうですよね。からだが資本。
剛力 そうそう。プロレスはケガをしてリングに立てなかったら終わりですけど、私たちの仕事も自分が現場にいかないと何も始まりませんから。この撮影で、自分のからだを守る、ケガをしないからだづくりなどを学んでよかったです。とくにこの作品のリングシーンは、スタントじゃなくて私たちがアクションをしていることもあって、素人同士のプロレスの危険性があったんですよね。
――そうそう。顔が映るリアリティはいいけど、その分リスクが。
剛力 そうなんです。極力本人がアクションシーンを演じるっていうのは、最初から条件にあったんですけど、プロのレスラーでも危険とされる技以外は全部私たちがやって。他の作品じゃ考えられないことです。
――(編集Y、興奮気味に割り込み)ジャ、ジャイアントスイング(仰向けの相手の両足首を脇の下に挟み込んで抱え上げ、ブンブン回転して振り回す大技)って、相手とのコミュニケーションがないとできないじゃないですか! あれやってるの観て「え、なんで剛力さん本人が!」ってびっくりしたんですよ。
剛力 そうなんですよ。あれはおたがいの息がピッタリあっていないとできない技で、しかも飛鳥さんは平均で10回くらい振り回しちゃってたんです。って、なぜジャイアントスイング(笑)。
――(編集Y)じつは私もやったことがあって(笑)。
剛力 まさかの(笑)。いや、私もあれはやってみてびっくりだったんですが、うまくいかないと自分自身が振り回されちゃうんですよ。それで11テイクしちゃったんです。できないことが悔しくて「もう一度お願いします!」ってやり直して。でも、目が回っているし、相手の体重がのった遠心力を踏ん張る力だけで支えないとだから、ぜんぜんうまくいかない。それでちょっと休んでまたやる、っていうことをやっていました。

プロレスってこんなに奥深くて、こんなに楽しいものなんだ

――まさか、技の苦労まで(笑)。ありがとうございます。試合シーンはエキストラのお客さんが入ってたこともよかったのでは? なんせNetflix国内コンテンツの撮影史上、最高数。
剛力 ほんと何百ものお客さんに入っていただいたのは、演じる私たちにとっては助けになりました。なにせ本気で盛り上げてくれるんですよ。ホールドのカウントも本物のプロレスさながらに数えてくれるし。あのエネルギーはすごかった。それと、エキストラ参加した皆さんの多くは、プロレスブームのリアル世代がいらっしゃったので、本気の応援をしにきた、っていう迫力でしたね。
――唐田さんにもお伝えしたんですが……じつはうちにもそのエキストラ募集のビラがポスト投函されてて(笑)。
剛力 え! そうやって募集してたんですね。いらっしゃればよかったのに!
――いやいや……完成品を待ってましたから。
剛力 見てほしかったなー。ちなみにブーム時は実際の試合を観たりしたんですか?
――しましたよ〜。本気で人気があったので、なかなかチケットとれずに、テレビで観るほうが多かったですけど。あのころはプライムタイムで毎晩のようにプロレス中継があって、それこそクラッシュギャルズもいつもテレビの人。
剛力 すごい! そういう感じだったんですね。私、正直言ってそのブームのことを全く知らなかったんです。むしろ「え、プロレス? ちょっと怖い」って思うくらい。でも、オーディションに受かってから当時の飛鳥さんの試合映像はもちろん、いろんな選手の試合をひたすら見続けたんですが、本当に楽しいんですよね。こんなに奥深くて、こんなに楽しいものなんだ、って気付かされました。だからどうやったらもっと盛り上げられるだろう、知ってくださるだろうって思ってます。長与さんが率いるマーベラスさんも本当にすごいですよ。全てにおいてプロフェッショナル。
――長与さんが男前ですしね。
剛力 かっこいいんですよ〜! レジェンドという雰囲気はもちろんお持ちなんですけど、普段はすごいニコニコされていて、お話好きで。それでいて、プロレスの監修に入った途端に、美しい技の見せ方に集中。しかもそれを当時の話を交えて「あのときはこうやったんだけど」っていうレクチャーがついて。
――最高じゃないですか。誰も聞けないお宝話。
剛力 そうなんです。飛鳥さんの一番近いところにいた人だから「飛鳥はあのときこうだった。こう思ってくれていたはずだ」とか、すごい話ばかりでした。
――役作りのためになることばかりですね。
剛力 反映しまくりでした。

血のりの量が多ければ多いほど、白石監督が喜ぶんです

――本作終盤の飛鳥と千種の関係性や、プロレスに対する取り組み方など、実際のことはお話をうかがえました?
剛力 聞きました。本作で描かれていることは本当ですね。リアル。私が演じた飛鳥さんは、まっすぐなプロレスで実力を見せたい、強いプロレスを見せたい、という人だったから、方向性が合わない人も出てくるし、人それぞれに何がかっこいいか、何が強さか、ということも違うしバランスの取り方も違うこともある。そこはちゃんと描かれていると思います。
――プロレスはショーの一つ、と考えるか、アスリート・スポーツの延長にあると考えるか、ですね。あの時代のプロレスはテレビ中継があることが基本だったから、前者だとは思いますが、ジレンマですよね。
剛力 ですよね。私も映像資料や雑誌など、当時のプロレスをできる限りリサーチしたんですが、基本は「どうしたらお客さんが喜んで共感してくれるか」ということが常に考えられていたんですよ。
――それって、俳優業にも近いものがありません?
剛力 そうそう。お芝居で見せるものが自分が見せたいものとお客さんが共感するもので合致すればいいんですが、必ずしもそうはいかないこともありますから。プロレスもそう。感情移入してもらうためには、表情ひとつ、目線ひとつで、語らない芝居みたいなところで勝負していたんですよね。だから、今回のお仕事で、プロレスから役者のあり方をすごく勉強できた気がします。
――リングにあがって一心不乱に戦っているようだけど、じつは中継カメラの位置まで考えられているんですよね。
剛力 そうなんですよ。それも無意識に近いくらい自然にできてるんです。もちろん打ち合わせなしですから、次に何の技がくるかなんて分かりませんが、それもおたがいの目線でのコミュニケーションで全部できちゃってる。すごいですよね。
――役者も同じですよ。
剛力 一人芝居もありますが、多くの作品では相手がいて芝居が成立しますからね。それも段取りだけで演者同士の打ち合わせはないこともあるし、そこでどれだけのエンタメ性をもたせるかっていう勝負。プロレスと似ているのかも。
――この現場でのお芝居は、役者やスタッフ、エキストラの熱量に影響されましたよね。
剛力 本当にそうで、誰一人のエネルギーも欠けちゃいけない作品だったと思います。誰か一人、たとえば私が張り切りすぎたとしてもダメですし、誰かのモチベーションが違う方向にいっていてもダメ。全員が一丸になって同じ方向を向いていないと、誰かケガをしちゃう。安全面に最大限気を配ることがこの作品では必須でしたから。とくにプロレスシーンはプロレス専門のスタッフさんがついてくれて、みんなで励まし合ったり、ちょっとでも疲れてるそぶりが見えたら止めてくれたり。もちろん白石監督の熱量にも影響されましたし。
――白石監督の現場は初めてでしたよね。いかがでした?
剛力 オーディションを受ける前から楽しみだったんです。絶対に何かが起きるし、自分を変えるチャンスだと思ってました。血まみれの作品ばかりの監督ですが、そのイメージと全然違う、とてもやさしい、笑顔のお兄さん。
――今回も血のりは使いましたね。大量に。
剛力 ええ。本当に大量に。しかも多ければ多いほど監督喜ぶんです(笑)。でも、可愛らしいんですよ。現場に入る前は怖い撮影だったらどうしよう、と緊張したんですが、ぜんぜん。いつもニコニコで、リングに上がったときは必ずロープに寄っかかってプランプランしてるんです。それ観ていて、失礼ながら「可愛い〜」って思ってました。
――ただ……たまに目の奥に狂気を宿してませんでした?
剛力 ある! あった! 役者に対してはいつも優しいんですが、突然目の奥がギラっとすることがあって。そのときは気が引き締まりますよね(笑)。

「極悪女王」
バブル真っただ中の80年代を舞台に、心優しき一人の少女がルール無用の極悪プロレスラーになっていく姿を描く。全国民の敵と呼ばれた最恐ヒールの知られざる物語。
出演:ゆりやんレトリィバァ、唐田えりか、剛力彩芽

Netflixシリーズ「極悪女王」9月19日より世界独占配信

photograph: KAZUYUKI EBISAWA[makiura office]
interview & text:MASAMICHI YOSHIHIRO
styling:SHINGO TSUNO[impiger]
hair & make-up:HIROKO TAKASHIRO

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