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町田啓太ら”平安F4”も夢中…「源氏物語」への反応から見える4人の個性とは? 大河ドラマ『光る君へ』第34話考察レビュー

  • 2024.9.11
『光る君へ』第34話より ©NHK

吉高由里子が主演を務める大河ドラマ『光る君へ』(NHK総合)。平安時代中期を舞台に紫式部の生涯を描く。まひろの『源氏物語』を通じて宮中は新たな風を吹き込み、物語に魅了される貴族たちの姿が描かれた。今回は、第34話の物語を振り返るレビューをお届けする。【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】(文・苫とり子)
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【著者プロフィール:苫とり子】
1995年、岡山県生まれ。東京在住。演劇経験を活かし、エンタメライターとしてReal Sound、WEBザテレビジョン、シネマズプラス等にコラムやインタビュー記事を寄稿している。

『光る君へ』第34話より ©NHK
『光る君へ』第34話より ©NHK

中宮・彰子(見上愛)に女房として仕えながら内裏で『源氏物語』を執筆するまひろ(吉高由里子)。『光る君へ』第34回では、一条天皇(塩野瑛久)の心を慰めたその物語が宮中でも話題を集める。まるで絵巻物のように、読書に耽る貴族たちが右から左へ流れるように映し出されていく場面にはロマンが溢れていた。

カメラワークの秀逸さもさることながら、公任(町田啓太)、行成(渡辺大知)、斉信(金田哲)ら“平安F4”が現代語訳された『源氏物語』の一編を読み繋いでいく演出もまたいい。

彼らがちょうど読んでいるのは、光源氏が人妻である空蝉の寝所に忍び込む場面だ。空蝉は逃げ出してしまい、光源氏はそれに気付きながらも隣で寝ていた彼女の継娘となし崩し的に情を交わすのだ。

F4のリアクションは様々で、公任は妻・敏子(柳生みゆ)から「あなたにも似たようなこと、おありなのではございません?」とからかわれ、「俺はこのような間抜けなことはせぬ」とムキになる。

色男だが妾はおらず、意外に一途な公任。そんな彼が愛した敏子との仲の良さを感じられる場面だった。

一方、ひとりでこっそりと読み耽る行成は内心ドキドキしている様子だ。

斉信はといえば、彰子の女房・小少将の君(福井夏)とのピロートークで物語を読み聞かせており、相変わらずのプレーボーイっぷりを発揮している。

見目麗しいのは元からだが、さらに色気を増した彼らにうっとりする。だけどその様子を見ていても、本質は若い頃からあまり変わっていない。それは道長(柄本佑)も同じだ。

『光る君へ』第31話より ©NHK
『光る君へ』第31話より ©NHK

土御門殿で行われた「曲水の宴」が雨天で一時中断となり、屋根の下に避難した先で彰子は父の意外な姿を目の当たりにする。

雨が止むのをしばし待つことにした道長たち。そんな中、光源氏のモデルの一人とされている源高明の息子・俊賢(本田大輔)が「臣下の籍に降ろされた亡き父、高明を思い出した」とまひろに語り出したのを発端に、一同はその話題で盛り上がる。

「光る君はオレのことかと」という斉信の言葉には皆が苦笑い。

さらには「少なくとも道長さまではありませんね。道長さまは笛もお吹きになれないし…」と推測する行成に、道長が「俺だって少しは吹けるぞ」と反論し、和やかな空気が流れた。

『光る君へ』第34話より ©NHK
『光る君へ』第34話より ©NHK

第34回の冒頭では興福寺の僧らが都に押し寄せ、朝廷に要求を突きつける非常事態が発生。興福寺の別当・定澄(赤星昇一郎)は自分たちの訴えを聞き入れなければ土御門殿を焼き払うと道長に迫った。だが、道長は毅然とした態度を崩さず、定澄の要求を突っぱねる。父・兼家(段田安則)にも負けぬその威厳に、定澄も一瞬怯んでいた。

彰子にとっても道長は偉大な父であり、そんな父の朗らかな笑顔に驚いた様子だ。すると、まひろは「殿御はみな、可愛いものでございます」と彰子に語りかける。

右大臣として公卿のトップに立つ道長と、その娘・彰子の女房であるまひろ。

いわば上司と部下のような関係だが、2人の距離感は出会った頃からさほど変わりない。それどころか「お前が頼みだ」と自分に縋ってくる道長は、まひろからしても“可愛いもの”なのだろう。

道長だけじゃなく、まひろは誰のことも常にひとりの人間として見ている。一条天皇のことでさえ、恋に溺れることもある人間として理解しているまひろ。そんな彼女だからこそ、「帝も殿御におわします。さきほどご覧になった公卿たちと、そんなにお変わりないように存じますが」とさり気ない言葉で彰子に気づきを与えることができるのだ。

『光る君へ』第34話より ©NHK
『光る君へ』第34話より ©NHK

今週のタイトルは「目覚め」。一条天皇の前ではつい気が引けてしまう彰子だが、彼もまた人であるという気づきを経て距離を縮めていくきっかけとなるのやもしれない。

そんな中、不穏な動きを見せているのが伊周(三浦翔平)だ。虎視眈々と復権を狙い続ける伊周だが、今やすっかり彰子に心を許している甥の敦康親王(渡邉櫂)は彼を不審がっている。

一条天皇の計らいで蔵人の1人に選ばれた息子の道雅(福崎那由他)も思い通りにはならず、「父上の復讐の道具にはなりませんから」と言われてしまう始末だ。

しかし、そんな伊周にも最大のチャンスが訪れる。宮中で興福寺の僧たちを追い払って以降、斉信や道綱(上地雄輔)の屋敷が火事になったり、敦康親王が病で伏せったりと不吉な出来事が続いていた。そこで、道長は嫡男・頼通(渡邊圭祐)らを伴って金峯山への参拝を決意する。

つまりしばらくの間、道長が不在となるのだ。この間に伊周が何かを仕掛けてくることは間違いないだろう。着実に1歩ずつ距離を縮めている一条天皇と彰子の関係に影響が及ばないといいのだが…。

(文・苫とり子)

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