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「ラブ トランジット」シーズン2・エリカさん「未練はないと言ったらうそになります」【ネタバレあり】

  • 2024.9.11

「ラブ トランジット」は5組の元カップルが元恋人(=X)が誰かを伏せて、1カ月のホカンス(ホテルでバカンス)生活を送り、新しい恋か復縁かを選ぶという恋愛リアリティ番組。シーズン2に出演したエリカさんは、Xとの復縁を望むようになるものの、彼には新しい恋が訪れて……。涙が止まらなかったというエリカさんの葛藤と未練のその後を聞きました。※以下、『ラブ トランジット』シーズン2の全話のネタバレを含みます。

他の女性に恋する彼に傷ついて

――「ラブ トランジット」に参加するうち、Xとの復縁を望むようになったエリカさん。一方、Xは別の女性へ惹かれていきました。

エリカさん(以下、エリカ): そこがまた「ラブ トランジット」ならではのところですよね。普通、元カレが新しい恋に向かっていく様子なんて目の当たりにすることないですから。

――当時はどんな気持ちだったんですか。

エリカ: シンプルにショックでした。彼って恋して追いかけているときは、めちゃくちゃ尽くしてくれるんです。顔色が悪かったらすぐ気づいてくれるし、気づかってくれる。ああ、そういうところに惹かれて私は付き合ったんだった、って再認識するものの、今、その優しさの先にいるのは私じゃなくて、別の女性で……。

朝日新聞telling,(テリング)

もう一つは苛立ちがありました。彼は、ホカンスがスタートするとき手紙で「どうして元・恋人になってしまったんだろう。もう一度向き合ってその答えを出したいと思います」って書いていました。それなのに、全然私と向き合おうとしていないって。その上、「エリカとの恋愛があったから、俺は人を簡単に好きになれなくて」って言い始めて、だからそのためにも向き合おうよってずっと言ってたじゃないって。

悲しさと苛立ちがぐるぐる頭の中で回って、後半はずっと泣いていました。

メンバーの一言が決断のきっかけに

――そんな中、エリカさんは最終的には身を引くことを選びました。なぜその決断ができたのですか。

エリカ: この「ラブ トランジット」だったからこそできた決断だったと思います。

というのも、誰かとデートに行っていないときは、ほかのメンバーたちとずっとホテルでお喋りしているんです。大人になってから、こんなに連日、誰かと深く話すことってないじゃないですか。そこで、自分以外の人の価値観にたくさん触れることができました。

ある時、参加者の一人が「人を変えようって思うことっておこがましいことなんだよね」って言ったんです。私はその時にハッとして。

『ラブ トランジット』シーズン2 ©2024 Amazon Content Services LLC or its Affiliate

私はXのためを思って、いろいろ「こうしなきゃ」「それじゃダメだよ」と伝えていたけれど、それは結果的には私の考えを彼に押し付けることになっていた。それはおこがましいことだったんだな、ってやっと気づけたんです。失敗するのも経験だし、それで彼は何かまた成長するのかもしれないし、その自分で経験して成長することを私が奪おうとしていたのかもしれない、って。

いよいよホカンスが終わりに近づいてきたとき、もし私が「復縁したい」と彼に言って、彼がそれに応えてくれたとしても、私が求めるXと、今のXはたぶん違う、と気づきました。私はもう30歳で、結婚や妊娠について真剣に考えないといけない時期。でもXはまだそんなことは考えられないだろうなって。そこを無理して戻っても、また私は彼を変えようとしちゃうんじゃないかなって。

正直、彼への気持ちはありました。また恋人になりたい、という気持ちもありました。でも、「今、彼の横にいるべきなのは私じゃない」って思ったから、「本当にありがとう」って最後にそれだけ伝えよう、と決めました。

『ラブ トランジット』シーズン2 ©2024 Amazon Content Services LLC or its Affiliates.

未練より「事実」をとる

――今、未練はありますか。

エリカ: ないと言ったら、うそになります。私、あんまり人を好きにならなくて、好きになったときは深く好きになるんです。今までお付き合いしてきた人や片思いした人も、今でもみんな、幸せになってほしいなって思っていて。Xのこともやっぱりずっと、愛なのか情なのか、形はどうあれ、想い続けるんじゃないかな。

でも、やっぱり最後に自分が思った「二人の時間軸が合ってない」という事実を受け入れるしかないですね。自分の中で、感情を優先するより事実を認めて前に進もうと思っています。

――前回のお別れより、「ラブ トランジット」に参加して決断した今回のお別れのほうが、やり切った気持ちがあるのでは。

エリカ: ほんとうにそう。当初の目標の「向き合いたい」は達成できたと思います。この環境で、みなさんに見守られる中で下した決断は重い。もしまたどちらかが「やっぱり戻りたい」ってなっても、番組を見て、「ほらほら、このときこう決めたでしょ!」って言えると思います。

『ラブ トランジット』シーズン2 ©2024 Amazon Content Services LLC or its Affiliate

――この経験を次の恋愛にはどう生かそうと思いますか。

エリカ: 私とXに足りなかったのは、圧倒的に「話し合う」ことだったなと思います。今、思いの伝え方について勉強しているのですが、そこで自分が思っていることを言葉にする段階で1割くらい情報が減っちゃうってことを学んだんです。さらにそれを相手に伝えるともっと減る。自分が思っていることと、相手に伝わることのギャップをいかに埋められるかが、大事なんですって。

私は、Xに伝えよう、伝えようと感情ばかりが先走っていて、相手の受け取りやすいような言い方をできていなかったように思います。相手を変えようと思わずに、いったん気持ちを落ち着かせて、「話し合う」ことができるように次の恋愛では頑張りたいな。

過去の恋から歩き出す勇気を

――エリカさんが最後に言っていた「いつかXが愛にたどり着いた時、その中に二人の日々があったらいいな。私はこれが本当に愛だったなと思う」という言葉、とても素敵でした。エリカさんにとって、この「ラブ トランジット」で見つけた愛とは。

エリカ: 愛は人それぞれで難しいと思いますが、私は自分より相手を一番だと思うのが愛なんだなと感じました。自分が幸せになりたい、という思いよりも、彼を大切にしたいと思った。だから最後、復縁を迫るのではなく、送り出すことができました。

朝日新聞telling,(テリング)

もうホカンスも終わりという頃、参加者の一人が、「エリカの笑顔って本当に素敵だよね。こんなにパワーのある笑顔を持っている人に出会ったことがないと思ったよ」って言ってくれたんです。そのとき、私よりも先にXが泣きだして……。ああ、彼も私への思いがちゃんとあったんだな。それを私たちはうまく伝え合えなかっただけなんだな、と思いました。だからこそ、次の恋ではお互い、思いを伝え合える相手と出会えるといいなと思います。

私がXとの恋から歩き出すことができたのは、ホカンスで過ごした参加者のみなさんとの時間があったからだと思います。恋は叶わなかったけれど、大切な経験を頂きました。

■清繭子のプロフィール
エッセイスト/ライター/エディター。エッセイ集『夢みるかかとにご飯つぶ』(幻冬舎)2024年7月発売。出版社で雑誌・まんが・絵本の編集に携わったのち、39歳で一念発起。小説家を目指してフリーランスに。Web媒体「好書好日」にて「小説家になりたい人が、なった人に聞いてみた。」を連載。特技は「これ、あなただけに言うね」という話を聞くこと。note「小説家になりたい人(自笑)日記」更新中。

■北原千恵美のプロフィール
長野県生まれ。東京都在住。ポートレート、ライフスタイルを中心にフリーランスで活動中。 ライフワークで森や自然の中へ赴き作品を制作している。

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