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社長殺しの真犯人はまさかの…福原遥”密子”に言い残した言葉の意味とは? 『マル秘の密子さん』第7話考察レビュー

  • 2024.9.11
『マル秘の密子さん』第7話 ©日本テレビ

福原遥主演のドラマ『マル秘の密子さん』(日本テレビ系)が放送中。本作は、突然、大企業の大株主となった平凡なシングルマザー・今井夏と、突然彼女の前に現れたどんな依頼も叶える謎のトータルコーディネイター・本宮密子の物語。今回は、第7話のレビューをお届けする。(文・あまのさき)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価】
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【著者プロフィール:あまのさき】
アパレル、広告代理店、エンタメ雑誌の編集などを経験。ドラマや邦画、旅行、スポーツが好き。

『マル秘の密子さん』第7話 ©日本テレビ
『マル秘の密子さん』第7話 ©日本テレビ

【写真】福原遥の様々な衣装姿を堪能できる劇中画像。ドラマ『マル秘の密子さん』劇中カット一覧

夏(松雪泰子)は謙一(神保悟志)の死に関して、警察から聴取を受ける。疑いをかけられたわけではなかったことから早々に会社に戻ってはきたものの、これをチャンスとばかりに美樹(渡辺真起子)は社長選を強行しようとする。

一刻も早く夏の無実を証明しなければならない。気付けば増えていた密子(福原遥)をはじめとする夏の仲間たちが、手分けして奔走する。そんななか、夏はライバルである遥人(上杉柊平)に「どうして社長になりたいんですか? 遥人さんの夢はなんですか?」と質問を重ねていく。しかし、遥人はこれに答えられない。

これまでにも、まるで次期社長というお飾りかのように、遥人には知らされずにさまざまなことが動いている様子が描かれてきた。社長になりさえすればいい、そのほかのことは何も気にしなくていい。そんな風に言われ続けてきた遥人は、さぞ孤独だったことだろう。そして今回、夏の言葉を引き金として遥人が自身の孤独と向き合っていく。

遥人は美樹に、どうしてわたしを社長にしたいのか?と尋ねるが、美樹の答えは「あなたが九条遥人だから」。遥人のためや適性を考えてのことではなく、九条家に生まれた男児である、というただその一点が理由だ。「愛してる」と美樹に抱き締められたときの遥人の表情は、絶望しているようにも、怯えているようにも見えた。

生前、謙一に「お前を社長にはしない」と言われていたことも、遥人を混乱させていた。社長になるべくして生まれ、そのように生きてきた遥人にとって、それは丸ごと人生を否定されるかのような言葉だったはずだ。

『マル秘の密子さん』第7話 ©日本テレビ
『マル秘の密子さん』第7話 ©日本テレビ

密子に謙一を殺したのか?と問われた遥人は、「なりたいとかなりたくないとかの次元じゃない。ならなくちゃいけない」と、自身の心情を吐露する。他の夢を描くことも、自分で自分に蓋をしてきた人の悲痛な叫びだった。

そして、密子は九条開発の社長という立場になりながら、自分のやりたいことも叶えようとしていた謙一に、遥人が憧れを抱いていたことを見抜く。自分が思い描くことすらできなかった夢を、形にしようとしている父。だからこそ、その人からの梯子を外すような言葉は、遥人をより孤独へと誘ったはずだ。

だが、これは謙一の言葉足らず。実際には、もっと伸び伸びと生きてほしいから、という理由で、社長には“ならなくていい”というのが謙一の本心だった。この親子が、もっと早くわかり合えていたならば。遥人も、きっと玲香(志田彩良)も、孤独から救われ違う人生を歩んでいたことだろう。そして九条開発だって、風通しのいい会社にできていたはずだ。

でも、謙一はもういない。

謙一を殺した犯人は、密子の仕掛けた罠によって明らかになる。坂東(黒羽麻璃央)だ。坂東は、謙一に美樹との不倫関係や情報の横流しを咎められ、口封じのために殺したらしい。社長争いに関係のない第三者による殺人だったわけだ。なおさらやるせない。

『マル秘の密子さん』第7話 ©日本テレビ
『マル秘の密子さん』第7話 ©日本テレビ

罪を暴いた密子に掴みかかる坂東は欲望に塗れた嫌な顔をしていた。九条開発という組織のなかで秘書室室長まで昇りつめ、九条家にまつわる厄介ごとを処理してきたことで、自分まで大きな権力を持っていると錯覚してしまったのだろう。哀れな最後だった。

坂東は、自分が逮捕されたら九条開発のこれまでの悪事が世間に公表されるように仕掛けていた。終わりを悟った遥人だったが、謙一の遺した言葉に背中を押され、密子に社員たちを守ってほしいと土下座までする。

これは、遥人が「自分を愛せるような人間に」なるためにとった行動だろう。だとしたら、社員たちのために自信を顧みないという点において、本来は社長の器を持った人だったのかもしれない。美樹のやり方に従わなかったのなら、あるいは遥人も、謙一のような社長になっていたのかも、と考えると少し残念に感じた。

遥人のためではなく、姉が愛した会社であるから、という理由によって、密子は五十鈴(小柳ルミ子)にある提案をする。それは、謙一を悲劇のヒーローに仕立て上げ、国民のヘイトを坂東と現在の経営幹部に向けつつ、謙一の遺志を受け継ぐ者として夏を社長にすること。五十鈴はこの策に乗っかり、見事に九条開発は難局を乗り切った。

残る謎は、密子の姉・鞠子(泉里香)が命を落とした事件の真相。夏が火事現場での鞠子の様子を思い返しているようなシーンがあった。火事自体に関与していなかったとしても、現場で鞠子を見捨て、謙一だけを助けた…という可能性も考えられる。

しかも、坂東は火事について密子に聞かれたとき「知らないほうが幸せなこともある」と答えていた。これまで二人三脚でやってきた夏の秘密を知ることになるぞという暗示か、それとも密子の知らなかった鞠子の一面が明らかになる可能性の示唆か。

夏が社長に就任するまでがゴールかに思われた物語だが、まだまだ二転三転ありそうだ。

(文・あまのさき)

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