1. トップ
  2. レシピ
  3. 「プロテインスコア」とは。「アミノ酸スコア」と何が違う?タンパク質評価の違いから見たオススメ食品

「プロテインスコア」とは。「アミノ酸スコア」と何が違う?タンパク質評価の違いから見たオススメ食品

  • 2024.9.9

タンパク質は健康維持に欠かせない栄養素で、その質を評価する方法にはいくつかの指標があります。その中でも「プロテインスコア」と「アミノ酸スコア」は、食品のタンパク質の質を評価する際によく使われます。

これらのスコアは何を測定し、どのように異なるのでしょうか? 二つのスコアの違いを見ていきましょう。監修はプライム銀座クリニック院長・高澤博和先生です。

プロテインスコアとは

プロテインスコアは、タンパク質の質を評価するための指標のひとつです。食品に含まれるタンパク質が体内でどれだけ効率的に利用されるかを測定するもので、1920年代から1930年代にプロテインスコアの基礎ができたとされています。

プロテインスコアの評価は、体内でのタンパク質の「窒素保持率」などを基に計算されました。これにより、食品中のタンパク質がどれだけ体内で利用され、健康を維持するために役立つかを測定することが可能になりました。

高スコアの食品例

・ホエイプロテイン

牛乳から作られるホエイプロテインは、人体に必要なすべてのアミノ酸を豊富に含んでいるためプロテインスコアが非常に高いとされています。体内で効率的に吸収され、筋肉の合成に役立ちます。

・卵

卵は「完全栄養食」とも名高く、プロテインスコアが100を超える食品です。すべての必須アミノ酸をバランス良く含んでいます。

完全栄養食「卵」、高たんぱく質の理由は。1日に何個まで?筋トレやダイエットにおすすめの食べ方[栄養士監修]

・魚(とくにサンマやイワシ)

魚は高品質のタンパク質を含み、プロテインスコアが非常に高いのが特徴です。とくにサケやマグロはオメガ3脂肪酸も豊富で、栄養価が高いです。とくにサンマはプロテインスコア96、イワシ91とおすすめです。

・鶏むね肉

脂肪が少なく、高たんぱくな鶏むね肉はプロテインスコアも高いです。

【鶏胸肉100gのカロリー&タンパク質】皮あり・皮なしの違い。効果的な食べ方とは[管理栄養士監修]

アミノ酸スコアとは

では、アミノ酸スコアは何を指す指標でしょうか。こちらのほうが聞いたことがある人も多いのでは。

アミノ酸スコアは、食品中の必須アミノ酸の含有量を基準に、そのタンパク質がどれだけ人体にとって完全であるかを評価する指標です。

食品中の必須アミノ酸の含有量が人体の必要量に対してどれだけ満たしているかを測定し、それが基準に達していればスコアが100になります。

アミノ酸スコアは、FAO(国際連合食糧農業機関)とWHO(世界保健機関)によって1960年代に導入され、食品の栄養価を測定し、それがどの程度バランスの取れたタンパク質源であるかを評価するための指標として使われ始めました。

アミノ酸スコアとは。「アミノ酸スコア100」の意味とスコアの高い食材│管理栄養士の食トレ学

高スコアの食品例

・卵

卵はアミノ酸スコアが100に達する、高タンパク質食品のひとつです。人体に必要なすべての必須アミノ酸をバランス良く含んでいます。

・牛肉

牛肉のアミノ酸スコアは約90-100とされ、必須アミノ酸を豊富に含んでいます。とくに赤身肉は良質なたんぱく質を含んでいます。

・チーズ(とくにチェダーチーズ)

チェダーチーズは高アミノ酸スコア食品であり、カルシウムやビタミンDも豊富です。

・キヌア

スーパーフードとも呼ばれる「キヌア」。植物性食品でありながら、アミノ酸スコアが非常に高い食品です。すべての必須アミノ酸を含み、グルテンフリーでもあります。

・オートミール

一大ブームを巻き起こしたオートミールも、プロテインスコア85、アミノ酸スコア100と高スコア。タンパク質含有量もそれなりにあり、食物繊維や各種ミネラルを豊富に含むため、ダイエット中に悪くなりがちな食事のバランスをうまく整えてくれるでしょう。

オートミールとは。栄養と効果的な食べ方、おすすめレシピ、商品比較10選

次:プロテインスコアとアミノ酸スコアは何が違う?

プロテインスコアとアミノ酸スコアは何が違う?

両者のスコアの説明を読んだものの、いまいちピンとこないですよね。まとめると以下のようになります。

  • プロテインスコア=タンパク質の利用効率を評価する(タンパク質がどれだけ体内で効果的に使われるかを測定する)
    ⇒卵の場合:卵のタンパク質がどれだけ効果的に体で使われるか?

  • アミノ酸スコア=特定の必須アミノ酸の含有量に焦点を当てている(そのタンパク質がどれだけバランスよく必要なアミノ酸を含んでいるかを評価)
    ⇒卵の場合:卵のタンパク質が人体に必要なアミノ酸をどれだけバランスよく含んでいるか?

プロテインスコアとアミノ酸スコア、どちらを重視すべきか

プロテインスコアとアミノ酸スコアは、それぞれ異なる観点からタンパク質の質を評価しているため、目的に応じて、どちらのスコアを重視すべきかが変わります。

プロテインスコアを重視すべき人

・アスリートや筋肉増強を目指す人

筋肉合成やリカバリーのためには、吸収率が高く、体内で効果的に使われるタンパク質が重要です。そのため、ホエイプロテインや卵など、プロテインスコアが高い食品を選ぶと良いでしょう。

・栄養状態が悪い人や回復期にある人

体が栄養を必要としている状況では、プロテインスコアが高い食品が推奨されます。これにより、タンパク質が体内で効率的に利用され、回復や健康維持に役立ちます。

アミノ酸スコアを重視すべき人

・ベジタリアンやビーガンの人

植物性食品の中には、必須アミノ酸のバランスが欠けているものがあります。アミノ酸スコアを重視することで、バランスの取れたアミノ酸を含む食品を選ぶことができ、栄養の偏りを防げます。大豆やキヌアなど、アミノ酸スコアが高い食品を選ぶと良いでしょう。

・妊娠中の人や成長期の子ども

この時期は、すべての必須アミノ酸がバランス良く摂取されることが重要です。アミノ酸スコアを参考にして、卵や乳製品など、必要なアミノ酸をバランス良く含む食品を選ぶことで、健康的な発育をサポートできます。

・特定のアミノ酸不足が懸念される人

特定の必須アミノ酸が不足すると、健康に悪影響が出る可能性があります。アミノ酸スコアを重視することで、特定のアミノ酸を補うことができる食品を選びやすくなります。

両方のスコアをバランスよく考慮すべき人

・健康維持を目指す人

日常の食事で健康を維持するためには、両方のスコアをバランス良く考慮することが理想的です。プロテインスコアの高い食品で体内での利用効率を確保し、アミノ酸スコアの高い食品で必須アミノ酸のバランスを取ることで、全体的な栄養状態を最適化できます。

・高齢者

高齢者は、筋肉量の維持とともに、栄養バランスにも気を配る必要があります。プロテインスコアとアミノ酸スコアの両方が高い食品(例えば、卵や乳製品)を選ぶことで、健康的な老化をサポートできます。

次:どちらのスコアも満たす食べ物は?

どちらのスコアも満たす食べ物は?

プロテインスコアもアミノ酸スコアも優れている食品としては、以下のものが挙げられます。

  • 鶏むね肉
  • ホエイプロテイン
  • 魚(サンマ、イワシ)

ちなみに、納豆、豆腐などの大豆製品はアミノ酸スコア50-80程度とされ、植物性食品の中では最高クラスですが、第一制限アミノ酸となるメチオニンが不足しており、高スコアとは言いがたいのも事実。

しかし、お米と組み合わせることで高スコアになるという代表的な組み合わせとしてよく紹介されます。

ごはん(米)と納豆(豆)は、それぞれの単独でのスコアはよくないのですが、これらを含む「日本の伝統的な」組み合わせはそれぞれの第一制限アミノ酸の不足分を補いあって、プロテインスコア、アミノ酸スコアの両方で高スコアになるといわれます。

白米は太る?痩せる?カロリーオーバーを防ぐご飯の食べ方[栄養士監修]

参考資料
監修:岡田 隆/竹並 恵里,『筋肉をつくる食事・栄養_パーフェクト事典』,ナツメ社, 2018
著者:山本 義徳『アスリートのための最新栄養学(上)』, NextPublishing Authors Press,2017

監修者プロフィール

高澤博和先生

1979年生まれ、京都大学医学部医学科卒業。医師免許、中国北京市医療許可証、日本美容外科学会会員、プライム銀座クリニック院長。嘘や誇張を用いず、ありのままの美容医療をお届けすることを企業理念としている。

<Edit:編集部>

元記事で読む
の記事をもっとみる