美少女に見えちゃう男子との恋愛模様は一味違う！じれったい幼馴染ラブコメディ『おとなりにスピカ』

夜空に輝く星の中でも一際輝く1等星に分類され、多くの人々から知られているのが、おとめ座の中で最も明るい星“スピカ”である。『おとなりにスピカ』（みずひら/KADOKAWA）は、その名の通りスピカのようにキラキラと輝き、周りからの注目を集める美少年な幼馴染と、主人公の葛藤が描かれたラブコメディだ。

ごく普通の女子高生・佐藤静香（さとうしずか）と、幼馴染の一ノ瀬光（いちのせひかる）。光は美少女に間違われるほど綺麗な男の子だ。物心ついた時から一緒にいる2人の間に恋愛感情は存在しなかったが、静香はとある出来事をきっかけに光への恋心を自覚してしまう。自分の気持ちを伝えたいけれど、今までの関係が壊れてしまうかもしれない……。そんな静香の心の動きや、じれったいふたりの様子が本作では見事に描写されている。

“幼馴染との恋愛”はラブコメ作品定番のシチュエーションだが、本作のおもしろいところは相手役の光が「美少女と見まごうばかりの美少年」という点だ。彼が登場するコマは時折キラキラと輝き、その美しさが協調されている。さらに物語の各所には光が女性ものの服を着ているシーンも登場。それらを見事に着こなす光の姿はまさに美少女だ。「イケメン」とは少し違う光の存在に、思わずドキドキしてしまう読者も多いだろう。

また、本作はギャグシーンの多さも特徴的だ。静香のもとへ教科書を借りに来た光に対し「わたしのものを使ってほしい！」と迫る女子学生たち。光は結局、男子学生の教科書を借りることにするのだが、彼が光に選んでもらえた喜びで涙を流す場面には筆者も思わず笑いが込み上げてしまった。ふたりが織りなす恋愛模様と共にぜひ楽しんでいただきたい。

「一般常識を顔面に吸われた」と称されるほど、浮世離れした性格と美しい顔立ちの光。実は彼も静香のことを大切に思っていることが作中で明かされている。ふたりの恋の行方は一体どうなるのか。全2巻に詰め込まれたきらめく物語を、ぜひ余すことなく堪能してほしい。

文＝ネゴト / 渡辺美咲