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総理大臣杯・早慶戦は早稲田に軍配!J2横浜FC来季加入内定のFW駒沢直哉「あいつが後悔しないような試合をしないといけない」

  • 2024.9.8
総理大臣杯・早慶戦は早稲田に軍配!J2横浜FC来季加入内定のFW駒沢直哉「あいつが後悔しないような試合をしないといけない」
総理大臣杯・早慶戦は早稲田に軍配!J2横浜FC来季加入内定のFW駒沢直哉「あいつが後悔しないような試合をしないといけない」

Text by 高橋アオ

[総理大臣杯2回戦早稲田大(関東2部)2-1慶應義塾大(関東2部)、6日、宮城・セイホクパーク石巻フットボール場]

今季3度目となった宿命の一戦は早稲田大に軍配が上がった。試合開始早々の前半4分にカウンターから慶應義塾大FW香山達明(4年、埼玉・慶應義塾志木高)に頭で先制点を奪われるも、前半41分にDF西凜誓(りんせい、2年、名古屋グランパスU-18)が右足で同点弾を突き刺し、後半29分にはJ2横浜FC来季加入内定のFW駒沢直哉(4年、ツエーゲン金沢U-18)が技あり決勝ミドルでゴールネットを揺らしてチームを勝利へ導いた。

負傷離脱した主将の思いを背負って

この日先発したJ1川崎フロンターレ来季加入内定のDF神橋良汰(4年、川崎U-18)が前半にキャプテンマークを身に着け、後半から副将を務める駒沢が腕章を巻いて早慶戦に臨んだ。本来腕章を巻くべきだったMF伊勢航(こう)主将(4年、ガンバ大阪ユース)は7月末に右ひざ前十字じん帯を負傷して長期離脱を強いられている。主将の想いを背負って早稲田大イレブンは激闘の末に宿敵を打ち破った。

総理大臣杯・早慶戦は早稲田に軍配!J2横浜FC来季加入内定のFW駒沢直哉「あいつが後悔しないような試合をしないといけない」
総理大臣杯・早慶戦は早稲田に軍配!J2横浜FC来季加入内定のFW駒沢直哉「あいつが後悔しないような試合をしないといけない」

駒沢は「伊勢がああいう怪我をしてしまって、その中でも伊勢は常にチームに帯同して、キャプテンとしてやるべきことをやってくれています。だけどピッチにはどうしても立てない中で、ピッチでやれるのは自分たちなのでキャプテンマークはすごく重みがありました。あいつが後悔しないような試合をしないといけないと常に思っています」と献身的に働く主将の想いを背負って戦った。

その思いを結実するために駒沢は奮戦した。守れば相手枠内シュートをヘディングでクリアしてチームの窮地(きゅうち)を救った。前線から激しいプレッシャーをかけて慶應ゴールに襲い掛かった早稲田の背番号9は、後半29分に相手GKのビルドアップをカットして右足を振り抜き、ペナルティエリア外から美しい弧を描く決勝ミドルシュートをゴールマウスに叩き込んだ。

総理大臣杯・早慶戦は早稲田に軍配!J2横浜FC来季加入内定のFW駒沢直哉「あいつが後悔しないような試合をしないといけない」
総理大臣杯・早慶戦は早稲田に軍配!J2横浜FC来季加入内定のFW駒沢直哉「あいつが後悔しないような試合をしないといけない」

前半に腕章を巻いた神橋もまた同期である主将の想いを背負って戦った一人だ。ゴール前では身体を張った守備で相手アタッカーに前を向かせず、粘り強く奮闘して最少失点に抑え込んだ。

「伊勢がシーズン開始当初から取り組んできた、示してくれている部分は間違いなく大きいです。伊勢がいなくなってピッチ内外で(影響が)大きいと思いますけど、そこを補って『伊勢がいなくてもやれるぞ』というところを自分からも示していきたいです。伊勢自身もピッチに立てない悔しさを押し殺してチームに向き合ってくれています。そういうサポートは助かっていますし、その姿を自分はしっかり見ています。伊勢のサポート、力を自分が受け取ってきょうキャプテンマークを巻きました。伊勢のコーチングは素晴らしいと思うので、そういうところを自分も盗むというか、最終ラインから(コーチングを)出すところを意識しました」と明かす。

試合開始早々に失点を喫して劣勢に追い込まれた早稲田イレブンだったが、神橋は気持ちを切らさずにディフェンスラインを鼓舞してラインを統率した。伊勢の長所でもあるコーチングを自分の武器にするように、神橋は最後まで声を張ってチームをけん引。二人のキャプテンが存在感を発揮したチームは、筑波大が待つ準々決勝へと駒を進めた。

来季プロで戦うために大学ラストイヤーでさらなる成長を

前半34分にMF東廉(れん、4年、清水エスパルスユース)と交代で投入された駒沢。早稲田の背番号9がピッチに入ると攻撃に流動性が生まれ、1-1の後半29分には鮮やかなループシュートで決勝点を奪うなど、結果でも内容でも別格の存在感を見せた。

「キーパーからのパスをうまくカットしてゴールが開いてたので、自分自身フォワードとしてシュートには絶対的な自信がありますから迷わず打ちました」と振り返った。

総理大臣杯・早慶戦は早稲田に軍配!J2横浜FC来季加入内定のFW駒沢直哉「あいつが後悔しないような試合をしないといけない」
総理大臣杯・早慶戦は早稲田に軍配!J2横浜FC来季加入内定のFW駒沢直哉「あいつが後悔しないような試合をしないといけない」

敵の急所を素早く見抜く洞察力、迅速かつ的確な判断力、優れたシュート精度は傑出していた。そして常にラインブレイクを狙う動き直しと相手に圧力をかけるフォアチェックを支える運動量は無尽蔵であり、頼もしいストライカーが来季横浜FCに加入する。ファンの期待も大きい駒沢は、複数クラブのオファーの内から現在J2首位を走る強豪クラブを選択した。

「この夏の中断期間でも練習参加に行かせてもらいました。そこで自分の強みである背後へのランニング、シュートは通用する部分もありながら動きの質、連動の部分ではまだまだ足りないと感じました。来年、横浜FCはJ1で戦うつもりですし、そこに自分が試合に出て、スタートで関わり続けていくには(力が)足りないと感じています。来年J1の舞台で活躍するために、こういった大会、リーグ戦で成長していきたいと思っています」と慢心は一切なく、どん欲に努力を重ねている。

総理大臣杯はあくまで通過点であり、「日本一も大事ですけど、自分たちはまだリーグ戦が残っていて、そこにうまく繋げるための大会でもあると思っています」と関東大学2部リーグに焦点を置いている。2022年シーズンに2部降格をした古豪は、現在関東大学2部で8位と1部昇格圏内の2位慶応義塾大と勝点が8点差離れている。残り10試合で白星を重ねて、3季ぶりの1部復帰を虎視眈々と狙っている。そして来月27日午後2時に慶應義塾大下田グラウンドで開催される関東大学2部第19節で再び宿敵慶應と激突する。

総理大臣杯・早慶戦は早稲田に軍配!J2横浜FC来季加入内定のFW駒沢直哉「あいつが後悔しないような試合をしないといけない」
総理大臣杯・早慶戦は早稲田に軍配!J2横浜FC来季加入内定のFW駒沢直哉「あいつが後悔しないような試合をしないといけない」

今季早慶戦で2勝1敗と勝ち越したが、駒沢は切り替えて最後の早慶戦に臨む。「リーグ戦も自分たちは負けが許されない状況です。慶應は自分たちが上位で前期も負けています。そこは1回いまの2勝を忘れて、自分たちが上のチームと戦うつもりで戦わないといけないです。本当に宿敵慶應がいてくれたからこそ、自分たちの成長はあると思っています。そこのリスペクトを絶対に忘れずに戦っていきたいと思います」とライバルを称え、来月決着をつける構えだ。


大学サッカー有数のストライカーと称賛される駒沢が背負うタスクは多い。来季プロの舞台で戦うための成長、早慶戦での勝利、関東大学1部復帰と難しいミッションが並ぶが、それでもこの男ならやってくれると期待させられるスケールの大きさを持っていた。早稲田の背番号9の活躍を今後も追っていきたい。

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