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コワイだけが怪談じゃない!ふたりだけの怪談部員が高校怪談選手権で優勝を目指す!『おののけ! くわいだん部』

  • 2024.9.8

昨今、怪談話が流行の兆しだ。怪談師が情感たっぷりに怪談を語るリアルイベントにはじまり、YouTubeやラジオなど、その人気は多岐にわたる。

マンガにおいても怪談ブームの流れが押し寄せている。その一端を担うのが『おののけ! くわいだん部』(押切蓮介/KADOKAWA)。高校の怪談部を舞台に、部長と後輩が怪談を探求していく青春怪談コメディだ。

第二南高校「怪談部」には部員がふたりしかいない。現代怪談派の部長・諸星マコトと、古典怪談派の後輩・熊野葉介だ。ふたりは怖い怪談を生みだすため、心霊スポットめぐりや即身仏体験ツアーなど、日々、怪談のネタ集めに余念がない。そうやって収集したネタや、つちかった話術を駆使し、全国高校怪談選手権の優勝を目指していくのだった。

そもそも怪談に「古典派」「現代派」なんて派閥があるとは知らなかった。「四谷怪談」など古来の怪談や、そこに出てくる怪異や古めかしい表現を得意とするのが古典派。現代を舞台にした恐怖のエピソードを得意とし、オチがなく不条理に終わる話も多々見受けられるのが現代派らしい。そういったイロハを教えてくれる、怪談入門書的な面白さがある。

くわえて本作はあくまでも怪談コメディ。毎話、怖そうなエピソードははさまるものの、最後にはきっちりオチをつけて笑わせてくれる。全国高校怪談選手権においては、怪談ならぬ猥談で戦う高校があったり、どう見てもゴリラの生徒が暴れだしたり、「もはや怪談なんてしてねぇ!」とヤジが飛ぶのも無理からぬ状況が描かれる。

とはいえ、自由なエピソードの数々は怪談の価値を棄損しているわけではない。それらは私たちが持つ「怪談=コワイ」という固定観念を壊してくれるものだ。怪談を楽しむ気持ちさえあれば、そこに笑いがあってもいい。どんな状況でも怪談は受け入れてくれる。怪談とはそんな懐の深いジャンルなのだ、ということを『おののけ! くわいだん部』は教えてくれる。

ホラーや怪談好きの方は、怪談選手権に出場している高校名を見るだけでもテンションがあがるだろう。もちろん怖いのがまったくダメな人でも楽しんで読むことができるので、食わず嫌いをすることなくぜひ読んでみてほしい。

文=ネゴト/ たけのこ

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