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総理大臣杯で実現した早慶戦に挑んだ慶應義塾大、オランダへ飛び立った塩貝の穴を埋めるも惜敗…。DF山口紘生主将「関東リーグの早慶戦も含めて結果を残せるように」

  • 2024.9.7
総理大臣杯で実現した早慶戦に挑んだ慶應義塾大、オランダへ飛び立った塩貝の穴を埋めるも惜敗…。DF山口紘生主将「関東リーグの早慶戦も含めて結果を残せるように」
総理大臣杯で実現した早慶戦に挑んだ慶應義塾大、オランダへ飛び立った塩貝の穴を埋めるも惜敗…。DF山口紘生主将「関東リーグの早慶戦も含めて結果を残せるように」

Text by 高橋アオ

[総理大臣杯2回戦慶應義塾大(関東2部)1-2早稲田大(関東2部)、6日、宮城・セイホクパーク石巻フットボール場

総理大臣杯で実現した早慶戦に惜敗した慶應義塾大。試合開始早々の前半4分にカウンターからMF香山達明(4年、埼玉・慶應義塾志木高)が頭で先制弾を突き刺したが、前半41分に追いつかれ、後半29分に痛恨の失点を喫して敗退が決まった。

欧州移籍したエースの穴は埋めたが、課題の守備で涙

J1横浜F・マリノスに加入内定を受けていた慶應が誇る屈指の点取り屋であるFW塩貝健人(2年、東京・国学院久我山高)が先月28日にオランダ1部NEC加入が発表された。

大学を休学し、ソッカー部を退部してストライカーは渡欧した。昨季は関東大学3部で得点王になったエースFWの不在は大きいように思えたが、中町公祐監督は新しい攻撃のデザインを組んで決戦に臨んだ。

「健人はもちろんいい選手ですけど、彼がいなくてもデザインされた攻撃は練習してきました。きょう見ていても数多くチャンスを作れました」と指揮官。多彩な攻撃でチャンスを多く創出し、早稲田大と互角の勝負を演じた。

総理大臣杯で実現した早慶戦に挑んだ慶應義塾大、オランダへ飛び立った塩貝の穴を埋めるも惜敗…。DF山口紘生主将「関東リーグの早慶戦も含めて結果を残せるように」
総理大臣杯で実現した早慶戦に挑んだ慶應義塾大、オランダへ飛び立った塩貝の穴を埋めるも惜敗…。DF山口紘生主将「関東リーグの早慶戦も含めて結果を残せるように」

突出した個人能力を持つストライカーがいなくても、慶應義塾大はその穴をカバーできる選手たちは揃っている。実際にこの日も香山が得点を奪って先制に成功するなど、早稲田大を圧倒する局面もあった。

この日最終ラインからチームを統率したDF山口紘生主将(こうせい、4年、東京・国学院久我山高)は「もともと健人ありきでチームを作っていたつもりはなくて、11人でサッカーを作る中の1人、個がある選手として健人がいたという認識です。

代わりに入った(FW柳瀬)文矢(3年、東京・駒澤大高)、(FW藤井)漱介(そうすけ、2年、静岡学園高)と下級生の選手が1回戦で結果を出してくれました。きょうも香山がしっかりゴールを取ってくれて、攻撃の部分は他の選手でカバーできていると思います。

ただ一方で課題である守備の部分、それ以外の小さなミス、技術的部分で結果があまりついてきていない現状があると思います。もちろん健人のところも埋めつつ、それ以外の部分に目を向けて成長していきたいです」と課題を明かした。

総理大臣杯で実現した早慶戦に挑んだ慶應義塾大、オランダへ飛び立った塩貝の穴を埋めるも惜敗…。DF山口紘生主将「関東リーグの早慶戦も含めて結果を残せるように」
総理大臣杯で実現した早慶戦に挑んだ慶應義塾大、オランダへ飛び立った塩貝の穴を埋めるも惜敗…。DF山口紘生主将「関東リーグの早慶戦も含めて結果を残せるように」

攻撃面は塩貝の不在を感じさせない質を見せた一方で、守備の部分で課題を露呈した。

この日は隙を突かれる形で同点に追いつかれ、試合終盤に決勝点を奪われてしまった。守備に泣く形で敗れたが、イレブンは課題を理解しており、大会後に修正と改善に取り組む構えだ。

早慶戦の決着はリーグ戦で

今季3度目となった宿命の対決で勝利をもぎ取れなかった。初戦となった4月28日に開催された関東大学2部第3節では、慶應義塾大が4-1で早稲田大を一蹴するも、先月25日に東京・国立競技場で開催された定期戦では0-4と大敗した。それだけにこの一戦は是が非でも勝利を手にしたかった。

山口主将は「この前の定期戦も負けて、自分たちとしてもその悔しさを晴らすチャンスとして、前半の入りから『アグレッシブに行こう』と話をしていました。

うまく立ち上がりで先制できたんですけど、後の試合運びとしてこのピッチ状況で少しのテクニックの差や、試合運びの持っていき方が早稲田さんの方が1枚上手という印象でした。そのまま地力の差が1-2という結果に出たと思います」とほぞを噛んだ。

総理大臣杯で実現した早慶戦に挑んだ慶應義塾大、オランダへ飛び立った塩貝の穴を埋めるも惜敗…。DF山口紘生主将「関東リーグの早慶戦も含めて結果を残せるように」
総理大臣杯で実現した早慶戦に挑んだ慶應義塾大、オランダへ飛び立った塩貝の穴を埋めるも惜敗…。DF山口紘生主将「関東リーグの早慶戦も含めて結果を残せるように」

華麗な攻撃を見せた慶應義塾大だったが、キャプテンを筆頭に守備では身体を投げ出す泥臭い守備で早稲田大に対抗した。東京の私学の雄である両校の一戦は理屈を超越したプライドと意地がぶつかり合う死闘の様相を見せた。

「全国大会だからどうという話じゃないですけど、自分たちにとって早慶戦はいつでも特別で、いついかなるときでも早稲田に負けない気持ちでやっています」と山口主将。決戦に挑んだ慶應イレブンは決着が着くと燃え尽きるように崩れ落ちた。

日本一を目指していたイレブンにとって、宿敵に負けて大会を去った事実は屈辱でしかない。現在関東大学2部で1部昇格圏内の2位と好位置につけており、悲願の4季ぶりの1部復帰が見えてきた。

2021年シーズンに2部降格をしてから翌シーズンに3部降格を経験するなど、多くの苦汁を舐めてきた。ただ悔しい思いを重ねれば、重ねるほどイレブンは強く成長して這い上がってきた。

この日早稲田大に敗れはしたが、来月27日午後2時に慶應義塾大下田グラウンドで開催される関東大学2部第19節で再び宿敵早稲田と相まみえる。今季4度目の早慶戦で負け越すわけにはいかない。

山口主将は「2部優勝を目指しシーズンインからやってきて、いま2位と自力で目標を狙える立場に自分たちは付けています。今回の全国大会、前回の定期戦も含めて、敗戦をしっかり受け止めて練習して次の関東リーグの早慶戦も含めて結果を残せるように、前を向いてやっていきたいです」と2部優勝と宿敵へのリベンジを誓った。

決戦に敗れても前を向く慶應イレブン。これまで不死鳥のごとく復活を果たして大学サッカーを盛り上げてきた。来月に開催される決戦で白星を挙げて、悲願の4季ぶり1復帰と2部優勝を果たしてみせる。

(取材・撮影 高橋アオ)

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