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ヒールの靴を履きたいけど踏み出せない…少年の「変わりたい」気持ちを応援したい! 靴職人とお客さんの心温まる物語

  • 2024.9.7

「靴」は私たちにとって、なくてはならない生活必需品だ。スニーカー、ローファー、ブーツなど、現在では数多くの種類やデザインの靴が流通し、足元を“オシャレ”に彩る一面もある。そんな靴を通し、人々の想いや人生に触れていく作品が『アンリの靴』(かわもとまい/KADOKAWA)だ。

東京・浅草で靴工房を営む義足の女性・アンリの元には子どもから大人までさまざまな人が訪れる。ただ履けるものを提供するのではなく、その人の悩みを解決する靴を届けるアンリの姿には読んでいて感銘を受けること間違いなしだ。

第1話では、小学4年生の女の子・蒔田はるかが履いている靴の修理を引き受けることになったアンリ。はるかとのコミュニケーションの中で、彼女は花が好きなことや姉がいること、服や靴は基本お下がりであることに不満を覚えていたことを知る。そこでアンリは靴の修理に加え、花のデザインをあしらえた靴をはるかに手渡した。世界にひとつだけの靴は、彼女の感動する様子からも“お下がりの靴”から“宝物”へと変わったのが見て取れた。

また本作では、現代らしいテーマを扱ったエピソードも存在する。第2話で登場した男子高校生・矢野聖がアンリにオーダーしたのは「ヒールの靴」。男性ながらも女性の服を着たいという葛藤や“普通ではない”と悩む矢野の姿は、改めて私たちに“普通”とは何なのかを考えさせられた。彼の決意を自分なりの方法で応援するアンリのストーリーは、ぜひ一度その目で確かめていただきたい。

歩くためだけに靴を履くのならば、デザインにこだわる必要はまったくないのかも知れない。しかし「好きなものを身につけたら、毎日が楽しくなる」というアンリの言葉通り、ひとりひとりに寄り添い作られた靴は、人生をより良く彩ってくれるのではないかと感じる。『アンリの靴』はまさに、人々に勇気や希望を与える“魔法”なのだ。

文=ネゴト / 渡辺美咲

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