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「味噌汁を作りつつコロッケを揚げながら、キャベツの千切り」ができない夫は段取りが悪い?

  • 2024.9.7
妻はだいたいにおいて、夫の家事のやり方が気に入らない。段取りが悪いの、とりかかるタイミングが遅いの、調理の方法が違うのと、細かく口うるさいことを言うのだが、方法はさておき、結局は協力しながら終わらせればいいのでは?
妻はだいたいにおいて、夫の家事のやり方が気に入らない。段取りが悪いの、とりかかるタイミングが遅いの、調理の方法が違うのと、細かく口うるさいことを言うのだが、方法はさておき、結局は協力しながら終わらせればいいのでは?

子育て世帯は、家事の分量も多い。洗濯、掃除、食事の支度。そこかしこにある“名もなき家事”をすべて片付けるとなると、時間がいくらあっても足りないはずだ。そんな状況で「指示待ち夫」となると、妻からの評判はすこぶる悪い。

妻たちは言う、「なぜ、自発的に家事をしないのか?」と。

一方の夫たちは、「どうして夫のやることにそれほど文句ばかり言うのか」と不思議らしい。実際、どういう温度差があるのだろうか。

帰宅するや、座る暇もなく家事をこなす妻

「9歳と6歳の男の子がいます。上の子は放課後になると学童へ、下の子はまだ保育園です。夫と連絡を取り合って、どちらが迎えに行くかを決めます。直帰できるほうが、そのまま家事に突入するのが決まりなんですが、夫はいくら言っても家事が苦手。段取りが下手なんですよね」

ヒロコさん(43歳)は、自分が直帰した場合は、座る間もなく家事に着手すると言う。子どもたちが小さいため、何を差し置いても夕飯の支度が優先される。

「炊飯器はタイマーでしかけていきますし、朝の段階で夕飯になりそうな作り置きおかずは冷凍庫から冷蔵庫へ移しておく。だからメインを作れば済むのですが、お味噌汁は作りたてがおいしいから、時間を見ながら作り始める。その間に洗濯物を畳んだり、子どもの予定を確認したり、郵便物をチェックしたり。いろいろやることはありますよね」

帰宅するや、リビングでぼうっとする夫

夫は子どもを連れて帰宅すると、着替えてリビングにやってきてぼうっとしていることが多い。場合によっては先に子どもたちを風呂に入れてもいいのだが、それもせずにソファに沈み込んでいるのだ。

「夕飯の支度を手伝うか、次男を風呂に入れるか、どっちかやってよと言うと、ようやく動き出す。キッチンに来るのはいいけど、何をしたらいいかわからず、ぼうっと立ってる。今日のメニューは伝えてあるんだから、作り置きを皿に入れるとかしてよと、こちらもつい声が大きくなるんです。

するとちょうどキッチンにやってきた長男に『ママは怖いねー。パパ、また怒られちゃった』と言いつけてる。そういうのを見ると、イラッとするんですよ」

コロッケが食べたい、などと子どもが突然言い出すこともある。どうしても変えられない理由がない限りは、もちろん子どものリクエストは受けつけるとヒロコさんは言う。

「じゃあ、冷凍のコロッケを揚げようかということになりますよね。そこで夫に頼むと、冷凍庫をかき回すようにして探してる。ここにあるじゃない、目の前に! と、また私が声を荒げる。どうせならコロッケ揚げながらキャベツの千切りも作っておいてよと言うと、そんな2つ同時になんてできないよって……」

味噌汁を作りながらコロッケを揚げて、キャベツを千切りすることくらい、どうってことないでしょとヒロコさんはつぶやく。

「どうしてあんなに段取りができないんでしょうね。何度も同じ状況になっているのに、学ばないですよね」

家事はとにかく工夫と段取り。さっさと終わらせないと、睡眠時間が削られるのだからとヒロコさんは、大きくため息をついた。

料理好きな夫を監視してダメ出しする妻

「うちは分担というよりは、その日によって妻がメインで家事をするか僕がするかをなんとなく決めて動くパターンが多いですね」

コウタさん(40歳)はそう言う。9歳のひとり娘がいる。コウタさんはシフト制で仕事をしているため、自分が家にいるときは家事を引き受けることにしているのだ。

「妻がいなければ自由に家事ができるんですけど、妻が帰宅しているときに夕飯の支度をしようとすると、そばにいてあれこれ口を出すんですよ。僕は料理が好きだし慣れているし、娘は『ママよりパパのほうがおいしい』と言ってくれている。

それなのに、菜箸の使い方とかおたまはそっちじゃないとか、細かいことをグジグジ言うんですよね」

キッチンはきみだけのものじゃない。各自が使いやすいように使えばいいんじゃないか、それぞれやり方が違っても、最終的においしく食べられればいいんだからと言ったこともある。専業主婦の母を持つ妻は、「例え働いていても、キッチンは妻が支配するべき場所」と思っているのではないかとコウタさんは言う。

「狭いキッチンで顔を突き合わせるのも嫌だから、夕飯はオレに任せて、きみは何か違うことをやればといつも言うんです。でも何か気になるんでしょうね、リビングで娘と話しているのに、すぐにキッチンを覗きに来る。手抜きをしていないかと監視されているようで、あまり気分はよくないです」

手抜きを許さず完璧を求めすぎる妻

任せるなら完全に任せてくれたほうが、やりがいもあるのにとコウタさんはつぶやいた。

そもそも家事なんて、できる限り手を抜いて、今日やりきれない家事は明日に回せばいいと妻に言うと、怒られるそうだ。その日の家事はやりきらなければと妻は頑張りすぎるんですよ……というのがコウタさんの言い分だ。

共働きなら、家事も助け合っていかなければ家庭は回らない。自ら家事をやり、相手に任せるべきところは任せる。細かいことには目をつぶり、相手のやり方を尊重する。完璧を求めてはいけない。それがふたりの信頼関係を育むことにつながるのではないだろうか。

亀山 早苗プロフィール

明治大学文学部卒業。男女の人間模様を中心に20年以上にわたって取材を重ね、女性の生き方についての問題提起を続けている。恋愛や結婚・離婚、性の問題、貧困、ひきこもりなど幅広く執筆。趣味はくまモンの追っかけ、落語、歌舞伎など古典芸能鑑賞。

文:亀山 早苗(フリーライター)

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