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京都・鴨川納涼床の新たな楽しみ方「朝床」で優雅にモーニング&ブランチを

  • 2024.9.6

京都通信

もっと京都を知りたい人のために、季節の行事、美味しいもの、ホテル、観光名所まで、京都在住ライターの野村がお届けする京都の最新情報、「京都通信」です。

 

ここ数年、京都では訪日観光客の急増やコロナ禍以降の生活スタイルの変化を受けて、朝から営業する飲食店が増えています。夏の風物詩「鴨川納涼床」にも、その動きが広がっていることをご存じでしょうか。

 

これまでの納涼床の歴史とともに、おすすめの2店をご紹介します。

400年の歴史を持つ鴨川納涼床

鴨川納涼床といえば、二条大橋から五条大橋までの約2kmにわたって鴨川右岸に設置される高床式の席。京都の奥座敷・貴船にも川面の上に席を設ける「川床(かわどこ)」がありますが、鴨川では「納涼床(のうりょうゆか)」や「床(ゆか)」と呼ぶのがならわしです。

 

 

納涼床のルーツは約400年前に遡り、江戸時代には浅瀬や砂洲に床机(しょうぎ:脚のついた折りたたみ式の腰掛け)を置いて客をもてなしていたそうです。高床式の席が出はじめたのは、明治から大正時代にかけてのことで、日本の近代化とともに鉄柱を用いたり、屋根を付けたりする店も現れはじめました。しかし、1935年に発生した集中豪雨で当時出ていた納涼床はすべて流され、その後の補修工事によって現在の木組みの姿となったのだとか。

納涼床
江戸時代には「河原の涼み」と呼ばれていた納涼床。かつては約400軒の茶屋が鴨川の浅瀬や砂洲に競って店を出していたそう。

戦時中は灯火管制のため、納涼床の歴史も一時途えてしまいましたが、1951年には復活。数年後には料亭や料理旅館の納涼床が40~50軒並び、芸妓・舞妓のもてなしとともに京料理を味わうのが定番のスタイルに。次第にフレンチや創作料理、カフェなど、多様なジャンルの店が増え、さまざまな楽しみ方を選べるようになってきました。

 

時代の変化とともに形を変えながら、京都の夏に欠かせないものとして定着してきた納涼床。

 

これまで、営業時間は5月1日~9月30日の夜床(夕方から午後11時まで)と、昼床(午前11時以降で、営業期間は各店舗による)に限られていましたが、コロナ禍での客足の減少や各店舗の業態が一層多様化してきたことから、2022年に規則が改定。5月~9月の期間を通じて午前8時~午後11時の営業が可能となり、“夜床“や”昼床”ならぬ、“朝床“を楽しむことができるお店が登場しはじめました。

爽やかな朝の空気と鴨川の水面を渡る涼風「朝床」で心地よい1日のスタートを

全国的に猛烈な暑さとなった今年の夏。京都市の最高気温は昨年を上回る39.4度を記録しました。そんな中でも朝床なら、気温の上がりきらない午前中に楽しめるとあって、大いににぎわいを見せています。

早起きして行ってみたい。鴨川で朝食を楽しむならB STORE 1st

B STORE 1st
築100年の町家をリノベートした「B STORE 1st」。クラシックなイメージのある納涼床に、あえて水色のテーブルクロスを組み合わせ、モダンな楽しみ方を提案。

「日常に少しの贅沢を」をコンセプトに“食べる楽しみ”から新たなライフスタイルを提案する京都発の食ブランド、B STOREがプロデュースするカフェレストラン。

 

朝8時半からのモーニングでは、店内キッチンの炭火でじっくり焼き上げた4種類のトーストサンドを味わうことができます。

B STORE 1stのトースト
こんがりと焼き目がつくまで焼かれたトーストは、表面はサクッ、中はふわっとした食感。オーブンでリベイクするだけでは出せない香ばしさに食欲がそそられる。

使用する素材はできる限り自家製のものにこだわり、ビタミンやミネラル豊富な季節の野菜とフルーツもたっぷり。ハーブやスパイス、発酵食品も使って、一日の始まりに身体を整え、パワーチャージできるようなメニューを提供してくれるのがうれしい!

B STORE 1stの炭焼トーストサンド
炭焼トーストサンドは4種類からセレクト可能。季節野菜のスープ、野菜の前菜プレート、ヨーグルトと果実ゼリー、おかわり自由のドリンク(自家焙煎珈琲/紅茶/柑橘ジュース)付き。

おすすめは、自家製マスタードマヨネーズを効かせた「京都エッグと根菜ビーツの炭焼きトーストサンドセット(1,980円)」。濃厚な味わいの京都産の卵とビーツでつくったフィリングが目にも鮮やか。栄養バランスだけでなく、ビジュアルも大切にした料理は、目にするだけで自然と気持ちも上向きになっていきます。

B STORE 1st(ビーストア ファースト)
住所:京都府京都市下京区斎藤町140-25
TEL:075-365-0777
営業時間:モーニング 8:30~11:00(L.O.10:30)
ランチ 12:00~16:00(L.O.14:30)
ディナー 17:00~21:00(L.O.20:00)
※モーニング営業は9月30日まで
定休日:水曜日
https://www.bstore-kyoto.com/view/page/1st
Instagramアカウント:@bstore.kyoto

朝8時から夕方16時までのブランチタイムでくつろげるKacto

Kacto
2023年2月、団栗橋のたもとにオープンした「Kacto」。店名はその立地に由来していて、どんぐり帽子を意味する「殻斗(かくと)」から名付けられた。

ブランチからディナーまで、さまざまなシーンに寄り添ってくれるモダンアメリカンカフェレストラン。クラシックなアメリカンをベースに、和の食材を加えモダンに仕上げた料理が揃っています。

 

 

朝8時からのブランチタイムの中心は、アメリカ定番の朝食として親しまれる「バターミルクパンケーキ」。アメリカ産のオーガニック小麦を使用した、ミルクの甘さをほんのりと感じるクラシカルなパンケーキです。

Kactoバターミルクパンケーキ
「バターミルクパンケーキ ミックスベリーとホイップクリーム(1,800円)」。開放感たっぷりのリバーフロントでモダンアメリカンな朝食を。

しっとりとした生地ながらも軽やかな味わいで、飽きのこない美味しさ。メープルシロップと自家製のホイップバターとの相性も良く、たっぷりつけて味わいたくなってしまいます。

 

パンケーキメニューはプレーンのほか、季節のフルーツや甘じょっぱさがクセになるフライドチキンとバタースコッチソースなど、全4種類を用意。アボカドやベーコン、スモークサーモンなど、トッピングも豊富なので、自分好みにカスタマイズするのもおすすめです。

 

「スモークサーモンとアボカドのタルティーヌ 豆腐マスカルポーネクリーム」もブランチの人気メニュー。豆腐を使ったマスカルポーネクリームの軽やかさが、朝にぴったりのひと品です。

Kacto(カクト)
住所:京都府京都市下京区斎藤町133
TEL:075-341-8787
営業時間:ブランチ8:00~16:00 (L.O.15:00)
ディナー17:30~23:00 (L.O.22:00)
※納涼床でのモーニングは9月30日まで
定休日:なし
https://www.tysons.jp/kacto/

Instagramアカウント:@kacto.kyoto

 


夏の盛りを過ぎ、ようやく9月になった今。まだまだ日中の暑さは続きそうですが、朝晩は過ごしやすくなってくる時期です。少しだけ早起きして、鴨川沿いでゆったり過ごすぜいたくな朝を過ごしてみてくださいね。

Text by Erina Nomura

 

野村枝里奈
1986年大阪生まれ、京都在住のライター。大学卒業後、出版・広告・WEBなど多彩な媒体に携わる制作会社に勤務。2020年に独立し、現在はフリーランスとして活動している。とくに興味のある分野は、ものづくり、伝統文化、暮らし、旅など。Premium Japan 京都特派員ライターとして、編集部ブログ内「京都通信」で、京都の“今”を発信する。

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