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純烈の4人が語り合った心に残る1冊。ファンタジーから人気の長寿シリーズまで魅力ある本が続々と【私の愛読書】

  • 2024.9.6

著名人の方々が、お気に入りの本をご紹介するインタビュー連載「私の愛読書」。たがいの愛読書を紹介してくれたのは、4人組のムード歌謡コーラスグループ・純烈だ。リーダーの酒井一圭、白川裕二郎、後上翔太、そして、2025年3月をもってのグループ卒業を発表した岩永洋昭が、和気あいあいの空気感で紹介し合った、それぞれの心に残る1冊とは。

■ファンタジーを愛するリーダー・酒井と坂本龍馬に魅入られた白川

――メンバーのみなさんからは事前に、自身の愛読書を回答していただきました。リーダーの酒井さんは、世界各国で翻訳されて大ベストセラーとなった、ブラジルの小説家であるパウロ・コエーリョによるファンタジー小説『アルケミスト 夢を旅した少年』を。夢で見た宝物を求める主人公が、ピラミッドへと旅立つ物語です。

酒井:中学時代にふと、日本人の作家ではなく海外小説にハマって、ポール・オースターの作品とか、ファンタジー小説とかを読みあさっていたんです。今回の『アルケミスト』もその中の1冊でした。たしか、書店で平積みされているのを、見かけたのがきっかけで。作品の魅力を伝えるのは難しくて、なんというか、内容がハッキリと分からないんですよ(笑)。でも当時、常に自分を探していたような感覚があって、その状態にこの作品がハマったんだと思います。自分探しの感覚は今も残っていて、『アルケミスト』から受けた影響は、グループのアルバム『純烈魂 1』に収録した作詞曲「キミとボク」にも反映されています。

――ファンタジー作品ではありますが、ネットでは、自分の人生と重ねた感想を伝えている読者も少なくない印象です。

酒井:分かります。ファンタジーではあるけど、所々の描写が超リアルなんですよね。中学時代の自分でも読めたほど、分かりやすく描かれているし、内容がスッと深く染み渡ってくるような。言葉の表現がどれも印象に残りますし、サッカー好きの方であれば伝わると思いますけど、日本代表の監督にイビチャ・オシムが現れたとき、サッカーの見方が変わったんですよ。それに似て世界の見方が変わったような衝撃を受けました。楽しい文学作品です。

――興味津々な表情の白川さんが挙げたのは、若かりし頃の坂本龍馬を描いた漫画『お〜い 竜馬!』です。作画は小山ゆうさんで、俳優で“大の坂本龍馬ファン”としても知られる武田鉄矢さんが原作を務めています。

白川:子どもの頃、遊びに行った友だちの家で、たまたま読んだのがこの作品に出会うきっかけでした。激動の幕末に興味を抱くきっかけにもなって、諸説あるとは思いますけど、幼少期の龍馬はいじめられっ子で、周囲から馬鹿にされていたんです。でも、やがては日本を動かすまでになったその人生に憧れて、何もない人間であったとしても、頑張れば何かになれるんじゃないかと、勇気をもらいました。

――白川さんにとって、龍馬は憧れの存在なのかと思いました。

白川:僕にとって、心に2大ヒーローがいて、その1人が龍馬なんです。もう1人は、漫画『北斗の拳』のケンシロウですね。僕自身、じつはいじめられっ子だったので、ちっちゃい頃から「強くなりたい」とか「変わりたい」とか、願望があって。実在の人物と架空の人物の違いはありますけど、2人とも「こうなりたい」と思った憧れの存在ですし、その影響で今も体を鍛えています(笑)。

■後上は名作「島耕作シリーズ」に人生を重ねて 岩永は井上雄彦作品の魅力を熱弁。

――後上さんは、主人公・島耕作の立身出世を描いた、長きにわたり愛される「島耕作シリーズ」を選びました。

後上:課長、部長、取締役、常務、専務、社長、そして、会長と、超絶出世したサラリーマンの物語ですね。『ヤング島耕作』もあり、若かりし頃のエピソードもきっちり描かれていて。漫画ならではの幸運が続いたりと、展開が面白いです。時代背景も反映されていますし、リーマンショックや東日本大震災など、現実社会とリンクしている作風にも惹かれます。途中、赴任した東南アジアでは街の活気が漫画にも表れていたりと、旅行気分にも浸れます。表裏がなく、適度な距離感で周囲の人たちと力を合わせて、仕事にまい進する島耕作には共感できますし、会長にまでのぼりつめた生き方が、面白いです。

――数あるシリーズのなかでも、特に好きな作品は?

後上:年齢に応じて、変わってくるんですよ。今は30代後半なので、島耕作が僕と同世代だった『課長 島耕作』がしみてきます。芸能界ではなく、会社員として仕事をしていたなら「島耕作のように出世していたのか」と思いながら、読んでいますね。いずれ、70代になったら「取締役の島耕作のようになれるかな」とも考えますし、その頃には僕も精力的に活躍できるように、元気でいたいです。

――岩永さんは、車椅子バスケに青春を捧げるキャラクターたちを描いた漫画『リアル』を。漫画『スラムダンク』などで知られる、井上雄彦先生による作品です。

岩永:世代ですし、井上先生の作品は『スラムダンク』とか『バガボンド』とか、ひと通り読んできたんです。なかでも『リアル』は、1巻目から虜になってしまった作品で、すべての漫画で“1番好き”と言えるほどですね。陸上のスプリンターでしたけど、病気によって車椅子での生活を強いられた戸川くんがいて。彼と対戦して“こいつ、すげえ!”と認める、ナンパ相手を事故に遭わせてしまって下半身不随に追いやってしまった罪悪感を背負い続ける野宮くんとの関係性とか、登場人物の心情がしっかり描写されているところが好きですね。

――数ある漫画の中でも、井上先生の作品における魅力とは何でしょうか?

岩永:感動を押し付けないところ、だと思います。読者に捉え方を委ねている気がするんですよ。映画の『THE FIRST SLAM DUNK』では、原作漫画で強くピックアップされていなかった宮城リョータを主人公にしていたように、王道ではなくちょっとハズしつつも“来た!”と僕らをわき立たせてくれるのが、素直にすごいなって思います。

■メンバー同士で挙げた愛読書“誰の1冊が読みたくなった?”

――それぞれの愛読書を紹介していただきました。お話を聞いて“読んでみたい!”と思った1冊は?

酒井:僕は『お〜い 竜馬!』ですね。武田鉄矢さんといえば『3年B組金八先生』もおなじみですけど、僕ももちろん見ていたし、大好きな俳優さんなので、ファン心から“あえて読まない”みたいに敬遠しちゃっていたので(笑)。今なら、読める気がします。

後上:リーダーの紹介した『アルケミスト』は読みたくなりました。自分で挙げた「島耕作シリーズ」のように、事前にある程度の具体的な内容が分かる本でないと、なかなか手が伸びないんですよ。でも、「内容がハッキリと分からない」というのが、気になりました。

酒井:後上さんに人間の心が芽生えはじめた(笑)。たぶん、自分とはまったく違う人間性の方が書いたと、分かると思うよ。でも後上さんには別の作品の方がよさそうな気もするな…。『アルケミスト』を理解できる人は、そもそも純烈には誘ってないので(笑)。

後上:(笑)。間違いなく自分セレクトでは手に取らないだろうし、だからこそ読んでみたいです。

――話題にあがった『アルケミスト』もですが、今回、みなさんが挙げてくださった本はどれも、困難を乗り越える主人公が登場する作品にも思えました。

酒井:そうかもしれない。でも、ジャンルは被ってないんですよね。誰か一人ぐらい、王道のロボットものとか、挙げるのかと思ってた(笑)。

白川:(笑)。僕も『アルケミスト』は読みたくなりましたね。活字のフィクションはほぼ読んでこなかったし、夢をもとに旅した少年の物語は気になる。

岩永:そう思う。こういう機会がなければ活字の本を手に取る機会がないし、ちょっと読んでみようかなって。じつは、ブックカバーだけは、いいやつを買ったんですよ。最近使っていないから、使ってみたいです。

酒井:じゃあ、グループ卒業の記念にみんなでお金を出し合って『アルケミスト』をプレゼントしよう(笑)。

取材・文/カネコシュウヘイ 写真/中恵美子

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