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「じゃがいもくんだけ日光浴厳禁なのはなぜ?」累計28万部突破の絵本「やさいのがっこう」シリーズ最新作は、おいしい野菜になるため必要な「光・土・水・温度」がテーマ

  • 2024.9.6
ダ・ヴィンチWeb
『やさいのがっこう なすびせんせいのおはなし』(なかやみわ/白泉社)

作者・なかやみわさんの「野菜に興味を持ってほしい」という思いから生まれた絵本シリーズ「やさいのがっこう」(白泉社)。意外と知らない野菜の知識が、やさいのこどもたちの成長とともに可愛らしいイラストで描かれ、子どもが自然と野菜に親しむことができるシリーズです。子どもはもちろん、読み聞かせをする大人にも毎回新鮮な驚きがあります。

じゃがいもは直接日光を浴びると毒になる!?

このほど刊行されたシリーズ第6弾『やさいのがっこう なすびせんせいのおはなし』では、なすび先生がやさいのこどもたちに、おいしい野菜になるために必要な「光・水・土・温度」のお話をしてくれます。

たとえば、じゃがいもは、直接太陽を浴びると緑色になって毒ができてしまうようです。それには、「じゃがいもの毒は鳥や虫から身を守るため」という理由まであるのです。日光によって野菜が育つことは理科の時間に学べるかもしれませんが、その野菜によって日光浴の方法が違うことまでは、あまり教えてもらえないかもしれません。

絵本で、毒になることを怖がるじゃがいもくんに、なすび先生が「やさいのがっこうで まなべば、どくのある やさいになんてなりませんよ!」と語りかける場面では、なすび先生の懸命さと優しさを感じました。「じゃがいもだっていろいろ頑張っているんだな」という親近感を覚えながら、子どもにはじゃがいものことをもっと好きになってもらえるといいなと思います。

親もまた、「おいしくなるため」に勉強するやさいのこどもたちが、保育園や学校で「ちゃんとした大人になるため」に学ぶ子どもたちの姿と重なり、本書への愛着が増してしまいます。我が子にも、「ちゃんと勉強すれば、ちゃんとした大人になれますよ!」と声を掛けてあげたいものです。

どんな「土」が合っているのかを選ぶことも、おいしい野菜に育つための大切なポイント。根菜の場合、大根はゴミがまざっている土にもぐると変なかたちになってしまうし、人参は土からはみ出ると頭がかたくなるというから、大変です。

この絵本を読んだ子は、家庭栽培で「たまねぎはねばりけのある土のほうがよく育つよ」とアドバイスしてくれるかもしれないし、スーパーに買い物に行けば「これはちゃんと土をかぶって育った人参だ」などおいしい野菜の見分け方ができるようになるかもしれませんね。

読めば読むほど、野菜に親しみが湧く

我が家の小学2年の息子はまだまだ読み聞かせが大好きで、この間もシリーズ第3弾『やさいのがっこう とうもろこしちゃんのながいかみ』の絵本を一緒に読んだばかり。長い髪のことで悩むとうもろこしちゃんが、学校の仲間やなすび先生に助けられながら、おいしい野菜に成長するお話です。

今回の新作で教室にとうもろこしちゃんの姿を見つけると、「とうもろこしちゃんも、みんなと同じことができるようになったんだよ」と先輩風を吹かせるので笑ってしまいました。息子がこのシリーズを初めて読んだのは2歳の頃。学校に行くようになった今でも読み続けているので、やさいのこどもたちには仲間意識があるのかもしれません。

プールに入って“しずむやさい”を当てるページでは、やさいのこどもたちと一緒になって「かぼちゃと、キャベツ。あとは人参!」と答えていました。その先のページで、水に沈むのが重さや大きさとはあまり関係ないことが描かれると、食い入るようにページをのぞいています。また、おいしく育った野菜たちを八百屋のおじさんが迎えにくる場面は、本シリーズの定番。今回もページのなかに描かれたおじさんのトラックを見つけて、「きたきた!」とうれしそうに話しています。

絵本のなかに知っている存在が登場するのは、子どもにとってうれしいこと。読めば読むほど親しみが湧いて、野菜を身近に感じられるところは、本シリーズの大きな魅力だと改めて感じています。

おいしい野菜は食べた人を健康にする!

シリーズにはほかに、とまとちゃんが真っ赤になるために頑張る『とまとちゃんのたびだち』、赤や黄色の色鮮やかなパプリカに憧れる『ピーマンくんゆめをみる』。自分が“花”だと勘違いする読書家キャベツくんの物語『キャベツくん おはなになる?』、“野菜とくだものの違い”を教えてくれる『いちごちゃんはやさいなの?』があり、どの作品にも、興味深い野菜の知識と、応援したくなるようなやさいのこどもたちの可愛らしさが詰まっています。気になる野菜から最初の一冊を選ぶのもいいのではないでしょうか。

親としては、もっと野菜のことを知って野菜を好きになってほしい…という期待も膨らむ絵本です。今回の新作でも、「やさいは、おいしくたべてもらうと、たべたひとを けんこうにする すごいちからが あるのです!」というなすび先生の言葉を読み聞かせるときに、グッと力が入ってしまいます…!

文=吉田あき

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