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片想い中の彼女の小指には「運命の赤い糸」が見えていて…運命に翻弄されるじれキュンラブコメ

  • 2024.9.5

「運命の人」は、赤い糸でつながっているらしい。そんなことはロマンチックな空想だと思う人もいるだろうが、もしも、その赤い糸が本当に見えたらどうするだろう。自分の好きな人と赤い糸がつながっていなかったら、その恋は諦めるしかないのだろうか?

『運命を信じない彼が言うには』(おむ・ザ・ライス/KADOKAWA)は、そんな「運命の赤い糸」に翻弄されるカップルを描いたラブコメディだ。主人公のゆかは、26歳の年齢=彼氏いない歴の社会人。過去の出来事がきっかけで「運命の人」と結ばれることを夢見て生きてきた。そんなゆかに片想い中の大学の同期・航介には、小指に結ばれた「運命」が見えていた。しかし、ふたりの赤い糸はつながっていなくて――。

運命を信じるゆかに対し、航介は「運命を信じない」という。確かに、運命を信じるならゆかへの想いを諦めることになるのだから、信じないのも当然だ。運命ですべてが決まってしまうなら、何もがんばろうとは思えなくなるだろう。

本作の魅力は、航介が片想いをこじらせていることにある。ふたりは週3ほどの頻度で会社帰りに飲みに行くほどの仲良しなのに、一向にその仲が進展しないのだ。航介は「運命の人が自分でなくても、誰にも取られたくない」と思うほど、ゆかの言動のすべてが大好きだというのに、かわいくてたまらないゆかとの今の距離感が壊れてしまうことを恐れて、何も行動できない姿が何とももどかしい。これほど上質なこじらせも珍しいほどじれったい関係に、キュンキュンが止まらなくなる。

画面のこちら側から「がんばれ!」と応援したくなるほど歩みの遅い航介の恋は、お互いの運命の赤い糸がつながる相手の登場により大ピンチを迎える。赤い糸で結ばれているだけあって気の合う相手との運命に身をゆだねてしまうのか、それとも――。

じれキュンがたまらない本作は、2024年2月に発売された5巻で完結を迎えた。ゆかと航介の「運命」は、一体どこに向かうのだろうか。恋の炎を胸に燻らせ続ける航介に全力でエールを送りながら、運命に翻弄され続けるふたりの恋の行方を最後まで見届けてほしい。

文=ネゴト/押入れの人

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