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初ショー開催のテルマ──京セラとコラボ、多彩なテキスタイルで魅せる新時代のエレガンス【2025年春夏 東京コレクション】

  • 2024.9.5

楽天ファッション・ウィーク東京2025年春夏コレクションで、中島輝道が手掛けるウィメンズブランド、テルマTELMA)が渋谷・ヒカリエで初のランウェイショーを披露した。デザイナーの中島は2010年ベルギーのアントワープ王立芸術アカデミーを卒業後、ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)に入社。アシスタントとして学んだ帰国後、2014年からイッセイ ミヤケISSEY MIYAKE)で経験を積む。日本のモノ作りを世界に伝えたいという思いから2022年春夏シーズンより自身のブランド、テルマをスタート。産地の職人との出会いを通じ、テキスタイルやディテールで新たなクリエイションの可能性を追求し続けている。今回、デザイナー育成・支援プロジェクト「JFW ネクスト ブランド アワード2025」でグランプリを受賞し初のショーに挑んだ。

ファーストルックは身体をふんわりと覆うオーバーサイズのマント風コートに、加工したオーガンジーを重ねスタイルに大胆さと奥ゆかしさを表現。コートはガーメントケースをアレンジしたもので、和紙を撚糸して織り込むことで端正な質感に仕上げている。

和のエッセンスを感じる藍色のジャケットはメンズライクなボックスシルエットに仕立て、素肌に 纏うことでさりげないフェティッシュさを醸し出した。ひまわりのブローチはアルミホイルでできており、大胆なボリュームを持たせてファインジュエリーのような存在感をプラス。ボトムにも同モチーフのプリントをあしらい大人の遊び心をリンクさせた。

環境に配慮した素材使いにも注目したい。アパレル業界の課題のひとつである捺染時の水質汚染 にも目を向けるテルマは、京セラのインクジェットテキスタイルプリンター、フォレアス(FOREARTH)とのコラボレーションを実現。「テキスタイルを得意とするブランドだからこそ、今までも環境配慮についてはしっかり考えてきた。そのなかでクオリティを両立させるのは難しかったが、フォレアスは独自開発の顔料インクと高精細なプリント技術で多様な生地への色の風合いをより鮮明にしてくれた」と中島デザイナー。水の使用量を限りなくゼロに削減し、循環ベルト洗浄システムの搭載で生地1kgあたりの水使用量を0.02Lまで削減することができる。

フォレアスの技術を用いたオリジナルテキスタイルは同コレクションの約7割を占め、シルクシフォンやアセテートなど色彩の鮮度が難しいとされる生地に多く使用された。ボタニカルプリントのロングコートはアシンメトリーに設定しラッフルスカートをレイヤリングすることでエアリーなコントラストを生み出している。幾何学模様のドレスはドレープをたっぷりと効かせ、同素材のボトムをレイヤリング。歩むたびにリズミカルに揺れ動く。

カラーパレットはクリーンなホワイトやブラックを中心に、ショーの中盤でピンクやオレンジを 溶け込ませた。色彩のストーリーについてデザイナーの中島は「モノクロのコントロールされた 世界から、色と光のコントラストや差し色で香り立つようなニュアンスを表現したかった」と同コレクションへの思いを綴った。

一際目を引くオレンジのチェスターコートには、水彩画のようなコスモスのファブリックが優雅 にあしらわれている。このコスモスモチーフはシースルードレスにも用いられ、幾何学模様とのレ イヤリングで躍動感を生み出す。端正な藍色のチェスターコートにもコスモスモチーフのドレスを 重ね、モダンかつ軽やかなエレガンスを融合した。ひまわりのブローチはポジティブなエネルギーをイメージしている。

オプティミスティックなトップスはボディにフィットさせ、身体と衣服の境界線を曖昧に。ワイド パンツとシアーなラップスカートのレイヤリングで軽やかな奥行きを生み出した。デザイナーの中島はショーを振り「これまで携わってきた産地の職人やチームに敬意を込め、“鶴の恩返し”という裏テーマを設けた。改めてブランドの自己紹介と共にこれからの新しい視点を表現することがで きた」とコメント。今後はパリでも展示会を予定しており、今まで培ってきた日本のモノ作りの可能性を世界へ発信していきたいと話す。今回のショーで披露したルックの一部は9月7日(土)まで、渋谷ヒカリエ8階のCUBEで展示中だ。

Photos: Courtesy of Telma Text: Megumi Otake

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