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ガーデンで「花火」を楽しむ! 花火風の花壇演出におすすめの花と、旬のフルーツエピソードをご紹介

  • 2024.9.5

日本の夏の風物詩と言えば、夜空に咲く大輪の花火。そんな花火をイメージした花壇を、ガーデンの一角や玄関先のプランターで作ってみませんか? ドイツ出身のガーデナー、エルフリーデ・フジ-ツェルナーさんが、今おすすめしたい花と、夏のガーデンエピソードをご紹介します。テーマを決めた花壇作りに必要なものは、ちょっとした想像力だけ。少し涼しくなった夏の終わりに、花火のような花々を組み合わせて楽しんでみましょう!

花壇に夏の花火を再現! おすすめの宿根草や一年草

ドイツの花火
ノイシュバンシュタイン城と花火の競演。Dmytro Balkhovitin/Shutterstock.com

日本では夏の風物詩である花火。アメリカの独立記念日「Fourth of July(7月4日)」も、国中で花火を打ち上げて祝います。アメリカ国旗の赤・青・白が翻る日ですね。

一方のドイツでは、花火といえば12月31日、ドイツ語でSilvester(ジルヴェスター)と呼ばれる大晦日です。そのため、私が想像する花火と言えば、日本とは対照的に、みんながコートを着込み、手袋をはめて眺めている様子が思い浮かびます。最近では、ドイツでも夏の花火が見られるようになってきましたが、花火を打ち上げるには特別な許可が必要で、北ドイツの小さな島では、一年中花火を許可していない場所もあります。

ドイツの花火
フランクフルトの大晦日を彩る花火。mapman/Shutterstock.com

このように、花火については国ごとにさまざまなルールがありますが、日本ではやっぱり夏のイメージ。暑かった夏の終わりに、あなただけの「花火風」ガーデン&バルコニー演出を考えてみませんか? ここでは、花火に見立てられる花が楽しめる、育てやすいおすすめ植物を紹介します。

センニチコウ

センニチコウ
Opachevsky Irina/Shutterstock.com

乾燥した日当たりのよい場所におすすめのセンニチコウは、球形に密集した小花を咲かせます。花色のバリエーションは豊富で、よく流通しているピンクや白のほか、赤、紫、オレンジなどが販売されています。特に赤花の品種は、線香花火のイメージにぴったり。小さな玉になって落ちてきて、突然パッとさまざまな方向にきらめく…日本では誰もが知る儚く愛らしい花火ですね。

アリウム

アリウム・ギガンチウム
koichi.T/Shutterstock.com

長い花茎を伸ばし、高さ1.5mまで成長するアリウム・ギガンチウムは、花壇の主役となる存在。濃い紫色の散形花序は生き生きとしていて、近くから観察しても面白いですよ。すっと伸びた茎の先に大輪の丸い花を咲かせる様子は、長く尾を引きながらのぼる打ち上げ花火のようです。アリウムの代表的な種であるアリウム・ギガンチウムは春に花が咲き、秋に植えどきを迎える球根ですが、アリウムにはさまざまな種類があり、夏咲きのタイプもあります。個人的には、小型のアリウムが好みです。

アリウム・シュベルティ
Gartenbildagentur Friedrich Strauss / Strauss, Friedrich

数ある品種の中でも、花火風ガーデンにおすすめなのは、アリウム・シュベルティ。大輪の花序の外側に小さな星形の花が咲き、まさしく打ち上げ花火といえるビジュアルです。

アガパンサス

アガパンサス
Gartenbildagentur Friedrich Strauss / Green Solutions

長い茎の先に、まるで青や白の花火のような花を咲かせるアガパンサス。日向を好みますが、環境適応力が高く、明るい日陰でも栽培できます。幅広いサイズがあるので、目的や場所に適したものを選ぶとよいでしょう。葉の形状も重要で、コンパクトなものであれば、省スペースで栽培できます。

アガパンサス
Gartenbildagentur Friedrich Strauss / Strauss, Friedrich

ルドベキア&エキナセア

ルドベキア
Gartenbildagentur Friedrich Strauss / Strauss, Friedrich

ルドベキアやエキナセアも、花火のようにぱっと開いた花姿を持つ植物。どちらも盛り上がった花心を持ち、カラーバリエーションも豊富に揃います。

ルドベキア‘ヘンリーアイラーズ’
筒状の細い花弁が面白いルドベキア‘ヘンリーアイラーズ’も花火らしさ満点の品種。Gartenbildagentur Friedrich Strauss / Strauss, Friedrich

ここまでご紹介した花のほか、アスターやクリサンセマム、ダリアもおすすめ。これらは非常に種類豊富なので、ぴったりの品種や花色を選ぶのが大切になってきます。ほかにも花火のような姿を持つ花はたくさんあり、どれを選ぶかはあなたの想像力次第。ぜひ、自由な発想で楽しんでみてはいかがでしょうか。

エキナセア
Gartenbildagentur Friedrich Strauss / Strauss, Friedrich

夏の終わりは台風にご用心

台風
Triff/Shutterstock.com

この記事を執筆中の現在、我が家の庭はちょっと寂しい景色。台風が次々にやってきて、大雨と強風がその威力を遺憾なく発揮していった結果です。台風が通るときには、植物はもちろんガーデンのエクステリアやツールにも注意が必要です。

我が家の庭には、茶色の骨組みにダークグリーンのキャンバス布を張ったパラソルがあります。ハンドルを回して操作できるクランク式なので、開閉時に指を挟む心配もなく、とても扱いやすく収納も簡単な優れもの。このパラソルは、濡れていても乾いていても、紫外線で色あせても気になりませんが、強風時は心配なので家の中にしまうことにしています。

もっとも、パラソルを閉じるのには1分もかからないのですが、パラソルスタンドから引き抜いて2つに分解し、ダイニングにしまおうとするとなかなか大変です。ちなみに、丸いベーススタンドはかなり重く、使用しないときも庭に置いておかなくてはいけません。

強風が予想されるときは、ジョウロの置き場所の確認も忘れてはいけません。私の場合、壁と重たいプランターの隙間に押し込むなど、絶対に動かないような場所に置くことにしています。

夏の節約&節水アイデア

水やり
Gartenbildagentur Friedrich Strauss / Strauss, Friedrich

この夏から、私はエアコンのドレンホースから水を集め、ガーデンの水やりに利用しています。我が家の場合、5ℓのジョウロがいっぱいになるまでには、およそ半日(12時間)。一番暑いこの季節は一日中エアコンが稼働しているため、1日で10ℓの水を得ることができる計算です。

ちょっと想像してみてください。1日10ℓ、30日で300ℓもの水が、エアコン1つから得ることができるのです。

満杯になったジョウロは放っておけばあふれてしまうため、朝晩の水やりに使おうと、ガーデンに欠かさず出る理由にもなります。植物たちも喜びますし、節水できるので私も上機嫌。毎日水やりするため、自動的に植物の状態を手早くチェックでき、病気や虫の早期発見や対処につながります。

エアコンの排水を水やりに使っていいのか心配になるかもしれませんが、基本的に、排水は植物に害はないそうです。ただし、この水にはミネラルは含まれないとのこと。私の経験上は、生育が阻害されたことはありません。もっとも、1カ所にだけ集中して与えるのではなく、庭全体に与えているために、バランスが保たれているのかもしれませんね。

エアコンのドレンホースが屋外のどこにあるか、チェックしたことはあるでしょうか。エアコンの使用中、ただ壁を濡らすに任せるのももったいないですよね。先端を見つけられたら、排水を活用できるチャンスです。

秋はフルーツの季節

果樹栽培は、とても楽しいものです。我が家の庭の8月の話題の中心は、イチジクの木でした。優しい紫色に色づき始めた実が5つ。もう少しで甘く熟して食べられるかなと、家族で楽しみに話していました。

イチジク

先日、フルーツの産地として有名な長野県を旅行した際も、あちこちに果樹が育っている光景が目に入りました。リンゴの木々の間をドライブしていると、少しだけドイツに帰郷したかのような気分に。私の故郷もあちこちで果樹が育つ地域で、特にたくさん穫れるリンゴは、日々の暮らしに欠かせないものでした。収穫期にはリンゴジュースを作ったり、冬に向けて凍らないよう貯蔵庫に保存したり。大きな庭やリンゴの木、または果樹の生育に適した気候がない場所では、こうしたことがどれほど貴重なことか考えたこともありませんでした。このように、他国を旅したり、異なる気候帯を経験することは、人生はガーデニングに対して大いに影響を与えてくれます。

リンゴ果樹園
agrofruti/Shutterstock.com

さて、今回の長野への旅で、私は化学薬品や農薬の使用を控えて、リンゴを中心に果物を栽培している小さな果樹園にたどり着きました。

トランクいっぱいの果物を持ち帰ろうと意気込んで到着した果樹園では、ファームカフェで朝食も予定していたのですが、朝9時の到着では残念ながらまだ開店前。しかし、オーナーの方とお話しする機会があり、ショップやカフェガーデン、そして手入れの行き届いた果樹園を案内していただきました。手始めとしてリンゴを10kg注文している間に、フレンドリーな従業員の方が用意してくださったのが、袋につめた新鮮なプラムやネクタリン、モモ。なんと、とても嬉しいサプライズプレゼントでした! 車いっぱいに広がる熟れたプラムの香りは、間違いなくこの旅の最高の思い出の一つになることでしょう。

帰宅して2週間、第一陣のリンゴが届きました。その日から我が家は毎日リンゴが食卓に上ります。まるでドイツの生活のよう! 送られてきたリンゴは3品種あり、どれも味わいが異なります。やや酸味の強い1つは、アップルソースやアップルケーキ作りに間違いなく合う味わい。また、酢、塩、すりおろしたリンゴ、そして美味しいオイル少々で簡単に作れるサラダドレッシングにも使っています。

果物栽培は手入れが肝心

スイカ
今年我が家で収穫したスイカ。

今年は、日本に来て初めてスイカ栽培に挑戦しました。普通の品種1株と、小玉品種1株です。どちらも1つずつスイカがなりましたが、普通の品種は5kg近くとずっしり重く、小玉スイカはたったの700g。味はどちらもとてもおいしかったです。

さて、このスイカを収穫しようとしたときのこと。そのすぐ下に大きなアリの巣があることに気づきました。おそらく、スイカを狙っていたのでしょう。実のすぐそばに巣がありましたから、賢いことです。幸い、収穫前に気づくことができたので、被害はありませんでした。

我が家のガーデンにおいて、アリは果実や野菜の天敵です。今年は収穫の遅れたトマトもいくつか食べられてしまいました。しかし、一番被害を受けたのは、じつは先に紹介したイチジク。2週間ほど留守にしたため、熟しても収穫する人がおらず、帰ってきたときにはすでに実がはじけてしまい、アリたちが群がっていました。1つだけまだ熟していない実が残っていたので、なんとか味見はできそうです。

イチジク

この残念な出来事に改めて感じたのは、庭は毎日手入れが必要で、何事も当たり前と思ってはいけないということ。この季節、日本には台風が次々にやってきて大雨をもたらします。庭の大切な宝物が傷ついてしまわないよう、よく注意して早めに対策をしましょう。

スイカ
真っ赤なスイカは味もバッチリ!

それでも、今年は家族や友人とスイカを楽しむことができました。大きなスイカで、味もよかったので、1人で食べるのではなくスイカパーティーを開くことにしたのです。イチジクについては残念でしたが、また来年のお楽しみとしましょう。何事もあきらめず、再挑戦することが大切なのです。

Credit
文&写真(クレジット記載以外) / Elfriede Fuji-Zellner - ガーデナー -

エルフリーデ・フジ・ツェルナー/南ドイツ、バイエルン出身。幼い頃から豊かな自然や動物に囲まれて育つ。プロのガーデナーを志してドイツで“Technician in Horticulture(園芸技術者)”の学位を取得。ベルギー、スイス、アメリカ、日本など、各国で経験を積む。日本原産の植物や日本庭園の魅力に惹かれて20年以上前に日本に移り住み、現在は神奈川県にて暮らしている。ガーデニングや植物、自然を通じたコミュニケーションが大好きで、子供向けにガーデニングワークショップやスクールガーデンサークルなどで活動中。

Photo/ Friedrich Strauss Gartenbildagentur/Stockfood

まとめ / 3and garden

スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。

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