1. トップ
  2. エンタメ
  3. 【2024年9月公開】芸術の秋!観るべき"日本映画"最新作3選

【2024年9月公開】芸術の秋!観るべき"日本映画"最新作3選

  • 2024.9.13

今秋観たい話題の作品はこの3つ。

undefined
Women's Health

日本映画界の新鋭監督による注目作が続々公開!今秋観るべき最新作3選をご紹介。芸術の秋こそ新しい才能に触れて、自分自身をアップデートしよう!

【おすすめ映画1】『ナミビアの砂漠』

Women's Health

枯渇した感情は、ヒリヒリと突き刺さる

現代を生きる若い女性の、ひとつのリアルを描いた『ナミビアの砂漠』。どうしようもなく人生に退屈し、これといった望みもなく、恋愛に奔放な21歳のカナは、一見自由に生きているように見える。ただ、その生き方は、心の端っこがシクシクと痛むほどなんだかとても不自由そうだ。

Women's Health

昔のクラスメイトが自殺したと聞いても、どこか上の空。同棲する彼氏がいながら、夜な夜な別の男性とデートを楽しむ。とても褒められたものではない主人公像に戸惑いながらも、演じる河合優実の枯渇した感情を持て余す姿に、あっという間に物語に引き込まれてしまう。

先の見えない世界で、ただ “いま” を生きていく

Women's Health

美容脱毛サロンで働くカナは、世の中に希望もなく、退屈に日々を過ごしている。甲斐甲斐しく世話を焼いてくれる同棲相手のホンダですら、どうしようもなく退屈だ。刺激を求めて、クリエイターのハヤシとの仲を深めていたとき、ホンダから出張先で風俗へ行ったことを告白される。別れるには十分な理由ができ、いそいそとハヤシと同棲を始めることにしたカナ。しかし、心躍る日々は束の間で、ふたりの生活はすれ違いはじめる。ハヤシに依存しながらも、彼を罵り、暴力を振るい、カナは次第に感情をコントロールできなくなっていく。

2024年の第77回カンヌ国際映画祭で、女性監督としては史上最年少で国際映画批評家連盟賞を受賞した山中瑶子監督が、『ナミビアの砂漠』で日本映画界に新風を吹かせる。

Women's Health

ナミビアの砂漠

2024年9月6日よりTOHOシネマズ 日比谷ほか 全国公開

監督・脚本:山中瑶子

出演:河合優実、金子大地、寛一郎 ほか

配給:ハピネットファントム・スタジオ

2024年/日本/137min

©2024『ナミビアの砂漠』製作委員会

【おすすめ映画2】『ぼくのお日さま』

Women's Health

純粋な想いが心を温かく溶かしていく

雪の積もる町にある、小さなスケートリンク。『ぼくのお日さま』は、柔らかい太陽の光が美しく降り注ぐ氷の上で生まれた、小さな恋の物語だ。

吃音をもつ少年タクヤは、ある日スケートリンクを滑る少女さくらの姿を見て、一瞬で心を奪われてしまう。一方、フィギュアスケートの練習に熱心なさくらは、東京からやってきたコーチの荒川が少し気になっている。フィギュアスケート選手だった荒川は夢を諦め、恋人の五十嵐がいるこの町へ引っ越してきたのだった。

undefined
Women's Health

フィギュアのステップを真似ようと、アイスホッケー用の靴のまま何度も転んでしまうタクヤ。その必死な姿に、さくらにだけでなくスケートにも恋をしたのだと知る。そんなタクヤに気づいた荒川は、自分のスケート靴を貸して練習を見てあげることに。スケートリンクの営業終了後に行われる秘密の練習。小さな恋心を応援したいというささやかな想いが、凍っていた荒川の心を少しずつ溶かしていくようだ。スケートの楽しさにのめり込んでいくタクヤと、ふたりの様子を複雑な気持ちで見ていたさくらに、荒川はペアのアイスダンスに挑戦するよう提案する。

undefined
Women's Health

脳裏に焼きつくのは、愛らしいふたりのアイスダンスの映像。暖かな日差しが差し込むスケートリンクで、またあるときは凍った湖の上で。丁寧に呼吸を合わせて滑る姿に胸が熱くなる。池松壮亮が演じる荒川の、子ども達の純粋な思いに向き合っていく複雑な感情の揺れが、もう一つの忘れられない物語を生んでいく。

奥山大史監督は、Netflix シリーズ「舞妓さんちのまかないさん」(5・6・7話担当)、米津玄師「地球儀」の MVなど幅広いジャンルで活躍する新鋭。商業映画デビュー作となる本作は、第 77 回カンヌ国際映画祭オフィシャルセレクション「ある視点」部門に正式出品された。

undefined
Women's Health

ぼくのお日さま

2024年9月6日〜8日、テアトル新宿、TOHOシネマズシャンテにて3日間限定先行公開

2024年9月13日より全国公開

監督・撮影・脚本・編集:奥山大史

出演:越山敬達、中西希亜良、池松壮亮、若葉竜也、山田真歩、潤浩 ほか

配給:東京テアトル

2024年/日本/90min

©2024「ぼくのお日さま」製作委員会/COMME DES CINÉMAS

【おすすめ映画3】『とりつくしま』

undefined
Women's Health

いまはもうここにいないあの人に、心を寄せたくなる

いまはもういない、亡くなった大切な人に、もう一度心を寄せたくなる。『とりつくしま』は、そんな映画だ。人生を終えた人たちが、モノに魂を宿してこの世に戻るひとときを、優しい眼差しで描いた4話からなるオムニバス。

⻑編デビュー作『ほとぼりメルトサウンズ』(2021)が、第17回大阪アジアン映画祭、ドイツの第22回ニッポン・コネクションなどに選出された東かほり監督がメガホンをとり、母である歌人・小説家の東直子の小説『とりつくしま』(筑摩書房)を原作に映画化した。


大切な人との最後の時間を優しくユーモラスに描き出す

「この世に未練はありませんか」と、“とりつくしま係”は問いかける。
「あるなら、何かモノになって戻ることができますよ」。

undefined
Women's Health

夫が大切にしていたトリケラトプスのマグカップにとりついた妻。しかし、自分のいない夫の日常には新しい女が現れ、見たくもない“あれこれ”を目撃することに……。大好きだった青いジャングルジムを選んだ幼稚園児の男の子は、ママが来るのをじっと待っている。孫の覗いている世界が見たくて、祖母は彼に買ってあげたカメラにとりつくが、カメラは中古屋に売られていた。ピッチャーになった息子を見守る母は、あえて飛び散って消えていくロージンバッグの粉にとりつくことを選んだ。

undefined
Women's Health

人生の、本当に最後の時間を、惜しむことなく、愛おしく過ごす。物語の主人公たちの語り口は軽やかで、思わずくすりと笑ってしまうほどユーモラス。実に心地よい時間をくれる1本。

undefined
Women's Health

とりつくしま

2024年9月6日より新宿武蔵野館ほか全国順次公開

監督・脚本:東かほり

出演:橋本紡、櫛島想史、小川未祐、楠田悠人、磯⻄真喜、柴田義之、安宅陽子、志村魁、小泉今日子 ほか

配給:ENBU ゼミナール

2024年/日本/89min

©ENBU ゼミナール


音田 博美 編集ライター

邦画を中心に紹介する映画雑誌のエディターを経て、フリーの編集ライターに。俳優・映画監督など著名人のインタビュー取材、『カメラを止めるな!』などの映画パンフレットの編集をはじめ、ドラマのムック本にも参加。2015年に立ち上げたコンテンツ制作会社Listenでは、映画公開特番などの映像制作にも携わっている。 

元記事で読む
の記事をもっとみる