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禁酒をするとどうなる? お酒をやめることで見えてくる、心身へのポジティブな変化

  • 2024.9.4

禁酒がもたらす、ポジティブな変化

Flapper women drink in unison, ca. 1925

お酒をやめると、どうなるのだろう?

不眠や不安が緩和され、頭がクリアになることはよく耳にするが、それ以外にも肌トラブルの解消や人間関係の改善につながったり、セックスで快感が得られやすくなるとも言われている。最近の研究では、ホルモンバランスや免疫力の向上、心臓病や肝臓病、がんのリスク低下、さらには自己認識力、自信、自尊心が高まることが明らかになっており、禁酒の社会的、心理的、そして身体的メリットは増え続けている。私が最近インタビューしたある医師曰く、アルコールを断つと「心身全体の状態が良くなる」という。

しかし、アルコール使用障害(AUD)と診断されていない人にとっても、夜のグラス一杯の赤ワインをノンアルコールのスピリッツやモクテルに替えるのは必ずしも容易なことではない。なぜならアルコールは至る所にあり、その消費は私たちの文化や社会規範に根付いているからだ。

「アルコールは世界で唯一、社会的に認められた精神に影響を及ぼす飲み物です」と話すのは、カリフォルニア州オレンジ郡にあるメンタルヘルス治療センター、Moment of Clarityのメディカル・ディレクターであり、心理学者であるラファート・ギルギス。彼の言葉を借りれば、パーティーや食事中などに出されるアルコールは、ほとんどの人にとって「日常生活の一部でしかない」。だからこそ、長期的な禁酒はもちろん、海外発の「ドライ・ジャニュアリー(Dry January)」や「ソバー・オクトーバー(Sober October)」といったプチ断酒をするのにも、強い意志がないと続けるのは難しい。

禁酒を継続させるコツ

Wine glass on the purple-blue background

少しでもそのプロセスを楽にする方法のひとつは、いつになればそのメリットを享受できるかを知ること。1日後、1週間後、1カ月後、そしてそれ以降に予想されるすべてのことをあらかじめ理解しておくことで、ポジティブな変化を保つことができ、誘惑に負けそうになったとしても自分が今いるステージを思い出させてくれる。「身体の機能を正常に戻すには、性別、現在の健康状態、本人の意欲など、多くの要因が関わってきます」とギルギス博士。身体も心も、一夜にして改善するものではない。それゆえに、忍耐強く、根気強く続けることが要される。

栄養士であり、機能性医療プラットフォームMallaの創設者であるターニャ・メシャーは、「回復には時間がかかり、挫折することもある」と前置きをした上で、こう続ける。「自分の目標にコミットしてください。回復までの時間には個人差がありますが、数週間から数カ月で心身の健康が顕著に改善されていくはずです」

そして心に留めておきたいのは、飲酒のせいで気分が落ち込んだり、コントロール不能になるようであれば、専門医に相談をすること。一人で抱え込まず、サポートを受けることが大切だ。これらのことを念頭に置いて、お酒をやめると心と身体に何が起こるかをまとめてみよう。

禁酒を始めた翌日

二日酔いの症状である吐き気、頭痛、悪寒、発汗、不安、腸の不調などを理由に、禁酒や節酒を決意する人は多い。普段どれだけアルコールを摂取しているかにもよるが、禁酒初日からめげそうになることもあるだろう。しかし、お酒をやめてから12時間から24時間は、身体が回復し始めるとき。特に、血中アルコール濃度が下がるにつれて体内の水分量が増えることについて、ギルギス博士は「医学的介入なしに禁酒する場合、これが最も重要な部分」だと説明する。

3日後

数日以内にアルコール離脱症状や飲酒欲求が現れるのは珍しくはなく、不眠や低レベルの抑うつ状態もよく見られるという。「肉体的に最も大変」とギルギス博士が言うように、多くの人が誘惑に負けてしまうのは、この時期であることが多いそうだ。しかし、この最初の72時間を乗り越える価値は大。寝つきが良くなり、エネルギーや消化の改善、体内の水分量の増加による肌の透明感やエネルギーレベルの上昇が見られるはず。アルコールの代謝を担う肝臓も、リセットと修復を始める。

1~2週間後

肌の状態、活力、睡眠の質などが高まり、効果が現れ始める頃。免疫機能もより効果的に働くようになり、病気や炎症、感染症にかかりにくくなっていく。離脱症状もこの時点でかなり落ち着き、メンタルの向上を実感する人も。

1カ月後

1カ月が経つと調子が上がり、断酒の影響をさらに感じられるように。肝酵素値と血圧が正常化すると、肝硬変や心臓病のリスクも低下。心血管系のレベルも改善され、体重が落ちたり、目に見える変化につながることもある。

3カ月後

3カ月後には精神状態にも変化が。感情が安定し、物事を前向きに捉えられるようになっているはず。アルコールによる脳の損傷や縮小が修復され始めるため、クイエイティビティややる気が増していくとき。睡眠パターンも整う頃で、これまで以上にすっきりとした朝の目覚めを手に入れられる。

半年から1年後、それ以降

多くの人が、新しい自分に生まれ変わったように感じる時期。不安から抑うつ、性機能まで、あらゆることが大きく改善されているはず。身体が修復されるにつれて、その恩恵はさらに大きくなっていき、特定のガンや肝臓病、心臓病の発症リスクもより顕著に減少。また、自尊心や自信が高まることで、人付き合いや仕事がより充実したものになったと報告する人も多い。「私の感覚では、身体が正常に戻るには本当に1年かかると思います」とギルギス博士。アルコールをやめることは、博士曰く「今までにない最良の選択」なのだ。

長期的に続けるためには……

禁酒を継続するためには、明確な目標設定が必要になる。専門のセラピストや医療アドバイザーだけでなく、家族や友人など周囲の人たちからサポートを求めることが有効だと、ギルギス博士とメーザー氏は言う。それから、ヘルシーな食生活と適度な運動など、セルフケアも忘れずに。ギルギス博士は「栄養と水分補給はあなたの味方です。健康的な食べ物や飲み物を選び、体を動かすことを心がけましょう。近所を散歩するだけでも良いのです」とアドバイスする。長期的な断酒を成功させるには、こういった基本的なことが役立つという。

最後に、「お酒をやめる決断をするのはあなた自身」とギルギス博士。「毎日の努力は必要ですが、断酒は実行可能であり、素晴らしいことです」と、励ましの言葉を送ってくれた。

Text: Christina Pérez Adaptation: Motoko Fujita

From VOGUE.COM

Photo_ Matt Winkelmeyer/Getty Images for HFA
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