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人を好きになる尊さを教えてくれた彼との花火大会から1年。私はひとり想い出に浸っていた

  • 2024.9.4

今日は地元の花火大会の日だ。1年前、当時お付き合いしていた彼と初めて観に行った花火大会だ。

そうか。あれからもう1年経ったのか......。

◎ ◎

彼と出会ったきっかけはマッチングアプリ。社会人になってからの出会いの無さに、「これは自分から動かないとヤバいかも」と急に思い立ってダウンロードしたあの日から、私の世界はガラッと変わった。

彼をアプリで見つけたときのことは、なんとなく覚えている。筋肉自慢の写真、きっと試行錯誤して撮ったのであろう自撮り写真が溢れかえる中、他撮りのほんわかした笑顔で映るひとりの男性が目に留まった。それが彼だった。

「絶対いい人だ」そう思った。

それまでやり取りをしていた人たちとは、「これは無しだ!」と思ったらすぐフォローを外せるように、LINEではなくインスタを交換するようにしていた。

でも彼とは、インスタを交換する前にLINEを交換した。メッセージのやり取りもかなり慎重派だった私からしたら、どうしてすぐ交換したのだろう......と今でも不思議に思う。

◎ ◎

結局彼とは、海辺で告白されて付き合うことになった。会うのは4回目、夕方の海辺。ベタすぎるけれどまさに告白にもってこいのシチュエーションに、経験したことないくらいのドキドキ感を味わったのを今でも覚えている。

そんな最高のシチュエーションが整っていたというのに、結局彼から告白されたのは帰りの車に乗る直前だった。「タイミングは何回もあったけれど、勇気が出なくて、でも今日しかないと思って今だった」と彼は照れながら話していた。愛おしかった。

◎ ◎

今か?今告白されるのか?と思う沈黙が何回あっただろう。どう表せばいいのか分からない、お互い拭えないソワソワした雰囲気に私は耐えられず、沈黙が起こる度に中身の無い話を繰り広げた。そんなウブな想い出も今では過去の話。

彼とお付き合いしていた期間は、純粋に楽しかった。お互い恋愛経験がほぼ無かったから、シンプルに恋愛を楽しめていたのだと思う。

「好きな人が自分を好きでいることってこんなに幸せなことなんだ」「好きな人から可愛いって言ってもらえることってこんなに嬉しいんだ」

彼に会うといつも胸が高鳴った。一重でちょっと茶色い瞳、スッと通った鼻筋、柔らかい髪。そして笑うと目が無くなるくしゃっとした可愛い笑顔。「いつもありがとう」と伝えてくれる優しいところも大好きだった。

◎ ◎

ずっと彼と一緒にいれるものだと思っていたけれど、現実はそうはいかなくて。彼が転職で地元に戻ることになり、遠距離を前に私たちはお別れした。

私は彼を大好きなまま。その時点で別れを切り出されたのが辛かった。

でも、私を振った彼を不思議と憎いとは思わなかった。振られて悔しい気持ちはあるけれど、誰かを好きになる尊さを教えてくれたのは間違いなく彼だ。彼といたときの私は、私史上一番キラキラしていたと思う。

彼とはお別れしてから一切連絡を取っていない。かろうじてお互いフォローを外さないでいるインスタ。私はたまに、充実感のあるストーリーを投稿する。「あなたがいなくても私楽しんでるよ!」っていう彼に伝わるはずもない私の小さな反撃。

◎ ◎

花火が上がり始めた。家から観る花火は小さかった。

楽しかったなあ。やっぱり好きだったなあ。彼は元気にしているだろうか。もう新しい彼女でもいるのだろうか。まあどうでもいいか。

またアプリで新しい人を見つけてみてもいいけれど、ときどきふわっと現れる彼との想い出を無理やり消すようなことは、まだしなくてもいいのだと思う。

そんなことを考えながら観る花火は、何となく切なくて、ちょっとだけ胸が痛んだ気がした。ちょっとだけ、だ。

■ももちゃんのプロフィール
ノーフードノーライフ。しめ鯖と酢もつが好きです。「毎日ゴキゲン」をモットーにしているおしゃべり好きな地方の会社員。

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