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ファンが待ち望んだラスト…二宮和也の泣きの演技が絶品なワケ。『ブラックペアン シーズン2』第8話考察レビュー

  • 2024.9.3
日曜劇場『ブラックぺアン シーズン2』第8話より©TBS

二宮和也主演の日曜劇場『ブラックペアン シーズン2』(TBS系)が放送中だ。前作から6年後を舞台に、東城大学医学部付属病院に現れた、“悪魔”のような世界的天才外科医・天城雪彦の活躍を描く。今回は、第8話の物語を振り返るレビューをお届けする。(文・あまのさき)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
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【著者プロフィール:あまのさき】
アパレル、広告代理店、エンタメ雑誌の編集などを経験。ドラマや邦画、旅行、スポーツが好き。

日曜劇場『ブラックぺアン シーズン2』第8話より©TBS
日曜劇場『ブラックぺアン シーズン2』第8話より©TBS

『ブラックペアン シーズン2』第8話は、天城と渡海(二宮和也による二役)の関係が明らかになった上に、ついに渡海も登場し、ファンにとってはお祭りのような1話となった。

事の発端は天城と佐伯(内野聖陽)のもとにそれぞれ届いた郵便物。不在の天城に代わって中身を確認したミンジェ(キム・ムジュン)いわく、「すぐに手術が必要な状態」の心エコーと造影CTだった。ミンジェは佐伯の心臓を映したものではないかと考えるが、世良(竹内涼真)は直近の天城の様子を思い出す。そして、それが天城のものだとあたりをつけるのだった。

同じころ、天城は渡海の実家にいた。近所の人がさらりと告げた、奥さん=渡海の母が亡くなったという事実がショックだった。渡海の家に入った天城は、荷物を漁る。

そこへ佐伯がやって来て、天城と渡海が幼い頃に生き別れた双子の兄弟であったこと、心臓に疾患のあった渡海を助けるために天城の血管を移植する違法手術をやったことなどが明かされる。

天城が本当の“実家”で見つけた幼い兄弟が毎年手形を残したノート。本作のタイトルバックに手形が含まれていたことが、ここに繋がるとは。

日曜劇場『ブラックぺアン シーズン2』第8話より©TBS
日曜劇場『ブラックぺアン シーズン2』第8話より©TBS

他人の空似では説明がつかないほど瓜二つの2人が双子であったことがわかってすっきりした。だが、健康な血管を弟に譲り、違法手術の事実を隠すため養子に出された挙句、その後自身も心臓に疾患を抱えて幾度も手術をしてきたという天城が不憫でならない。

佐伯の前でだけ感情を放出する天城。子どもみたいに佐伯の胸を叩き縋りつく。相変わらず、二宮和也の泣きの演技は絶品だった。天城の言う「返せよ」は、渡海に与えてしまった血管と、なによりも自分に与えられるはずだった家族との時間を指しているのだろう。

渡海が一度救いはしたものの、もう実の母もこの世にはいないのだ。天城が失った両親との時間は永遠に戻ってこない。

渡海家で倒れ、緊急搬送された天城を救う手立てはダイレクトアナストモーシスしかない。天城の心臓は、天城にしか治せないという皮肉な展開。そこで佐伯がエルカノを使ってダイレクトアナストモーシスを再現することに。

途中、江尻(大黒摩季)が邪魔をしようとするが、高階(小泉孝太郎)は自分の信念に基づいて耳を貸さない。手術の場にはいなくとも、天城を救おうとする東城大心臓外科の面々の姿勢に熱いものがこみ上げてくる。

手術中、緑内障による視野の欠けから佐伯の手術の手が止まる。しかし、世良の誘導により感覚で縫い進めていく姿はもはや神の領域。それを表現するかのようにクラシックが高らかに響く。天城が手術をしているときのような演出だ。

順調かに思われたが、天城の心臓の状態はよくない。手術継続は困難と諦めかけたとき、ついに渡海が登場する。ダイレクトアナストモーシスはできないと言った渡海はどんな手術を行うのか。そして、天城の心臓は持ちこたえられるのか。すべては次週へ持ち越しになった。

日曜劇場『ブラックぺアン シーズン2』第8話より©TBS
日曜劇場『ブラックぺアン シーズン2』第8話より©TBS

天城と渡海の関係、そして天城の手術に大きな注目が集まった第8話だったが、それだけでなく新たに細かな伏線が張り巡らされていたように思う。

まずは佐伯が病院長になった際の公約として掲げている若手の積極登用。盤石な体制で病院長選に臨むのならば、現在権力を持っている教授たちを優遇するほうが得策だ。世良に対し、東城大を背負っていくのはお前のような医師かもしれない、と言っていたあたり、本気で若手にポストを与えようとしているのかもしれない。それとも、なにか別の目的があって、あえて自身に反旗を翻させようとしているのか…?

そして、天城が調べていた2016年の資料。誰の何に関わるものなのだろうか。江尻や高階と距離を縮めているらしい真行寺(石坂浩二)や厚生労働省の富沢(福澤朗)もまだ物語に絡んでくるだろう。

最大の謎が明らかになったものの、まだまだ謎が謎を呼ぶ展開。まずは天城の命が繋ぎとめられることを祈りたい(天城と渡海が並んでいる姿が見たい)が果たして。

(文・あまのさき)

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