1. トップ
  2. レシピ
  3. “美食おじさん”がたどり着くのはこんな店!究極の和食酒場5選

“美食おじさん”がたどり着くのはこんな店!究極の和食酒場5選

  • 2024.9.3

美食家にだってフランクに食べたい夜がある。そんなときに選ぶのが、アラカルト和食の酒場だ。

作り手の顔が見え、気軽だけど、しっかり美味しい。しかも、旬のグルメにありつけて、何よりホッとできる。

いわゆる“美食おじさん”がたどり着く、東京都内にある究極の酒場がこちら!

【美食おじさん】 限りある胃袋だから、もう旨いものしか食べたくない
美食おじさんのイメージイラスト
東京カレンダー


予約困難店の枠を複数持ち、重鎮ゆえ仕事の会食も多い。

そんな美食を愛する大人がプライベートな日に羽を休めるのが、港区界隈のアッパーな酒場。肥えすぎている舌を存分に満たす、最高峰のクオリティーを誇る店たちだ。

素材も腕も一流のアテを気ままにつまみ、大いに語る。美食おじさんが向かう先には、美酒美食が待っている。

1.リアル美食おじさん!?東京カレンダー編集長・日紫喜が考える“理想の酒場”ってこういうこと 『田中田 西麻布店』@乃木坂

乃木坂『田中田 西麻布店』の内観
東京カレンダー


新店取材に、クライアント様への接待など夜はガチガチのコース料理っていうのが日々の生活。ありがたいこと、ではあるのだが、時として無性に酒場が恋しくなる。

刺身の盛り合わせにお浸し、そしてちょっとした揚げもの――で、心置きなく麦焼酎のソーダ割を楽しむ、それこそが人生の楽しみですらある。

住む街、三宿あたりにもいい酒場はあるのだが、私が読者の皆様にお薦めしたいのは『田中田 西麻布店』である。

西麻布交差点から外苑前方向にかなり行かないとたどり着けない隠れ家的酒場。さすがは港区で、お値段は張るし、内装も豪奢そのもの。

乃木坂『田中田 西麻布店』の「マグロトロカツ」
東京カレンダー


まだまだ私は、ここを気兼ねなく楽しむことはできないが、ただメニューを広げ好きなものを頼む瞬間は、何にも代え難い。「マグロトロカツ」の美味さたるや。

周りを見渡しても、会食に疲れた!?イケオジたちが気取らずに飲み、笑顔が絶えない。

その光景が素敵過ぎて、今特集をやろうと決意した次第であります。酒場ってやっぱり最高っ!

2.駅前の雑踏にひっそりと佇む和食店を“行きつけ”にする安心感 『目黒それがし』@目黒

目黒『目黒それがし』の内観
無駄をそぎ落としたようなシックな店内。カウンター席は14席あり、座席もゆったり。ほかにテーブル席も9卓ある
気楽だけど、砕け過ぎないのも大事。そんな絶妙な酒場を手駒に持つ


目黒・権之助坂にスナックや飲食店が所狭しと並ぶ名物ビルがある。そんな誰もが知る場所に、ひっそりとした隠れ家のような店を知っておくのが、大人の甲斐性というもの。

『目黒それがし』の、木の引き戸を開けると、店内は意外にも広く、漆喰の壁やゆったりとしたカウンター、テーブル席などが目に入る。

「僕自身、会食がないときは気軽に行けて、普通に美味しいものが食べられる店が欲しかったんです。肌感覚でそう思って作ったのがこちらの店です」と話すのは代表の尾山 淳さん。

目黒『目黒それがし』の「三代目ポテトサラダ」、「牡蠣の山椒煮」、「鮎の塩焼き」
料理は酒に合うひと工夫が光る。手前から時計回りに、オニオンドレッシングの中のまぐろの酒盗が隠し味となる「三代目ポテトサラダ」¥770。爽快な香りが日本酒を誘う「牡蠣の山椒煮」¥880。蓼の葉をすりつぶした手作りの蓼酢で楽しむ「鮎の塩焼き」¥880


メニューは創作系和食ではなく、大人が満足できる定番の一品がずらり。

奇をてらわず、焼き物には毎日おこした炭火が使われ、鮎の塩焼きには手間のかかる蓼酢(たでず)がいちから作って添えられている。

目黒『目黒それがし』の「米沢牛炭火焼き」
東京カレンダー


「米沢牛炭火焼き」¥4,180。

A5ランクのシンタマ4部位のうち、ひとつを日替わりで提供。この日は赤身に程良い刺しが入るシンシンの部位。

目黒『目黒それがし』の「太巻きデラックス」
「太巻きデラックス」¥3,960。穴子、まぐろ、エビ、カニ、いわしなどの上に卵黄の黄身酢漬け、うに、イクラがのる


そんなメニューに遊び心として加えられているのが“太巻き”というのも丁度いい塩梅。

鉄火巻や煮穴子といった定番にプラスして、この春からは豪華絢爛な「太巻きデラックス」が登場。つまみにも〆にも、お土産にもなると話題だ。

目黒『目黒それがし』で提供している「ヴァイングート・スールナー トーニ グリューナー・ヴェルトリーナー2022」
ワインは食事に合うものをバランス良く。「ヴァイングート・スールナー トーニ グリューナー・ヴェルトリーナー2022」グラス¥1,210、ボトル¥6,200


お酒も豊富で、ワインはクラシックもナチュラルも両方充実。

目黒『目黒それがし』で提供している「鍋島 特別純米酒 白菊」
日本酒は米の旨みを味わう純米酒主体。「鍋島 特別純米酒 白菊」グラス¥1,320、一合¥1,650


さらに日本酒はオリジナルで造った銘柄もあるほど。この包容力がくつろぎをくれる。

3.食通の間でも話題の一軒で、和食とワインの真髄を気軽に堪能 『宮わき』@赤羽橋

赤羽橋『宮わき』の「特大トコブシ旨塩煮」、「自家製山椒タルタル」、「自家製夏のひろうす」、「加茂ナス田楽」
手前左から時計回りに「特大トコブシ旨塩煮」¥2,200。付け合わせから一品料理に昇格した人気の「自家製山椒タルタル」¥900。中に万願寺とうがらしや鰻を鋳込んだ「自家製夏のひろうす」¥1,600。日本酒の盃の前にあるのは、いまが旬の「加茂ナス田楽」¥1,800
手塩にかけた最高の逸品を好きなように頼める幸せ


時間に縛られず、その日に食べたいものを好きなように味わいたい。そんな時に覚えておきたい一軒が赤羽橋『宮わき』だ。

いま、食通の間でも話題のお店で、数あるアラカルトから自分仕様の献立を組み立てる醍醐味をここなら存分に味わえる。というのも、そのアラカルトメニューが半端では無いからだ。

甘鯛若狭焼きや牡丹鱧のお椀といった正統派の割烹料理からアジフライやイワシ梅煮のようなお惣菜的一品までレパートリーの幅広さは圧巻!ご主人・宮脇健太さんの力量が窺える。

赤羽橋『宮わき』の宮脇健太氏
ご主人の宮脇健太さん。恵比寿『吉住』、荒木町『八平』などの往年の名店で修業後、独立。荒木町で10年間店を構えたあと、2022年9月赤羽橋に移転。基本的にはアラカルトだが、初回のみお任せコース(¥22,000)での注文になる


「いまなら加茂茄子や鱧など旬の味を核に、ハシリや名残の食材を取りいれるようにしています」と語る。

王道の味にさりげないひと工夫を加味した品々が秀逸。飽きのこない美味しさが持ち味だ。また、自家製山椒タルタルなど酒が進むつまみも充実。

赤羽橋『宮わき』の「天然鮎の炊き込みご飯」
東京カレンダー


「天然鮎の炊き込みご飯」¥3,500。

鮎は高津川産。米一合半に対し、鮎は3尾を使用。三枚におろし、その骨でとった出汁で炊いている。

赤羽橋『宮わき』で提供している「王祿 純米大吟醸 袋吊斗瓶 2019」
日本酒は辛口、旨口、すっきりしたものからしっかりめまで20~30種。写真はしっかりした味わいの日本酒が好みという宮脇さんオススメの「王祿 純米大吟醸 袋吊斗瓶 2019」一合¥3,000


酒は日本酒はもとより、ブルゴーニュを中心にワインも豊富。

赤羽橋『宮わき』で提供している「ニュイ・サンジョルジュ・クリュ・クロ・ド・ラ・マレシャル2023」
店内にはウォークインワインセラーもあり、ワインはブルゴーニュを中心に充実。写真は「ニュイ・サンジョルジュ・クリュ・クロ・ド・ラ・マレシャル2023」¥79,200。泡、白、赤のグラスも用意


ここならワインに合わせて料理を選ぶ逆ペアリングも楽しめそうだ。

4.食への好奇心を掻き立てられる巻物メニューの存在感たるや 『楽食ふじた』@中目黒

中目黒『楽食ふじた』の藤田敏行氏
京都の料亭や大阪の日本料理店で修業後、上京。「コース料理のように事前に段取りを組むより、注文に応じて調理するのが楽しいですね」と藤田さん。自身も外食ではアラカルトでいろいろな料理を頼むのが好きだそう
量にも柔軟に対応してくれる懐の深さに何度も訪れたくなる


中目黒の山手通りを、不動前方面へ。通り沿いにさりげなく佇むのが、割烹『楽食ふじた』だ。

初見のゲストがまず驚くのが、巻物のようなアラカルトメニュー。店主・藤田敏行さんの手書きによるもので、達筆さに驚くが、それより100品近くあるというから驚愕。

よく見ると値段が書いていないのだが、その理由は一品ごとに量を調整してくれるから。

「お客様は、食べたいものがたくさんあるので、できるだけ量を調整させてもらっています。たとえばですが、刺し身を数種類ひと切れずつでも大丈夫です」と藤田さん。

中目黒『楽食ふじた』の「毛ガニ(造り)」、「ローストビーフ」、「ぬたあえ」
手前右から時計回りに「毛ガニ(造り)」(¥6,500~)は一匹分の身をほぐして甲羅に詰めて提供。中に味噌も入っている。ちびちびとつつくのが楽しい。さっぱりとした土佐酢のジュレとすだちで味わう。「ローストビーフ」(¥1,500)は、和牛を低温でじっくり火入れし、醤油とみりんと出汁で蒸し煮に。「ぬたあえ」(¥2,000)は九条ねぎと日替わりの魚介類をあえたもの。この日の具はまぐろとイカ


食材には天然うなぎや毛ガニなどの珍しいものや、ぐじや賀茂茄子など修業先の京都にちなんだ食材が毎朝、豊洲で仕入れられている。

「いいものを見つけると、つい買ってしまいます。他のお店で出すより、うちで出したいですからね」と豪快に笑う。

中目黒『楽食ふじた』の「和風チャーハン」
〆で人気の「和風チャーハン」¥1,500。具材は日替わりで、この日はじゃこと塩こんぶとかぶの葉であっさり味に。おつまみにもなる


店主の人柄も楽しく、どんなワガママにも笑顔で応えてくれる頼もしい一軒だ。

5.美人女将とおばんざいがそろう、西麻布の地下に潜む奇跡の酒場 『飯処 角と』@西麻布

六本木『飯処 角と』のカウンターのおばんざい
カウンターのおばんざいは日替わりで10~14種類を用意。「3種盛り」(¥2,300~)、「5種盛り」(¥2,800~)を好みで選ぶと小鉢に盛り合わせて提供される。人気メニューは椎茸ハンバーグを揚げた「椎茸メンチカツ」。ほかに「牡蠣の酒むし」「トマトの八角煮」などがある
懐かしき家庭の味に思わずただいまと漏れ出る


カウンターに大皿のおばんざいが並び、美人女将が切り盛りする店とくれば、そこは癒やしのパラダイス。しかもそれが六本木通り沿いの西麻布にあるのだから、奇跡というほかない。

おばんざいの向こうで忙しく立ち働くのは、『飯処 角と』の女将・副島仁瞳恵さん。

六本木『飯処 角と』の副島仁瞳恵氏
和服に白い割烹着が似合う副島さん。遅い時間にはお客様と酒を酌み交わすことも。ツヤ肌の秘訣は、趣味のサウナ


ちゃきちゃきとした福岡美人で、常連さんからは「元気がもらえる」と評判だ。

実はこの店、副島さんが叔父の遺志を継いで、博多にあった同名の人気店を復活させ、西麻布に出店したという。

六本木『飯処 角と』の「鉄鍋餃子・小鉄板」
「鉄鍋餃子・小鉄板」¥1,500。福岡名物の鉄鍋餃子の皮を薄くして小ぶりサイズに。おつまみとして食べやすく、温かいままいただける


博多の店と同様に豊富なアラカルトメニューを用意し大皿スタイルに。

炭火を使った炉端焼きや鉄鍋餃子も評判となっている。

六本木『飯処 角と』の「ハラスとイクラの釜飯」
「ハラスとイクラの釜飯」一合¥3,600。魚沼美雪ますのハラスとご飯を焼きあごとかつお、昆布で炊き上げ、イクラをトッピング


また“飯処”を謳っているだけあり、〆の一品も充実。釜飯、丼、うどん、焼きそばがあり、おにぎりはお土産にもできる。

「うちの店のテーマは愛。お肉や海鮮、野菜をバランス良く食べて欲しいですね」と副島さん。

博多時代は朝までハシゴ酒していたほどの酒好きのため、店内の酒も種類豊富。常連にも喜ばれている。

六本木『飯処 角と』で提供している「シップ・マック アルザス リースリング グランクリュ ローザッカー」
ワインは和食に合う銘柄を中心に厳選。「シップ・マック アルザス リースリング グランクリュ ローザッカー」ボトル¥9,000。そのほかブルゴーニュもあり


中でもワインはクリュッグやオーパス・ワンが手頃な価格になっており、西麻布のツボがしっかり押さえてある。

港区を根城にする大人にとって、これ以上ない最高の止まり木なのである。

▶このほか:渋谷デートでおしゃれ天ぷらもアリ!イケオジ予備軍が集うハイセンス酒場6選

元記事で読む
の記事をもっとみる