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夢のアイテムが現実に? 開発進行中のSF映画の科学技術(3)悪用は絶対ダメ…体を透明にする最強スーツとは?

  • 2024.9.3
押井守監督【Getty Images】

未来はすでにここにある―。SF小説の大家ウィリアム・ギブソンは、かつて、そんな言葉を言い遺した。この言葉通り、SF映画が描いてきた未来像は、次々と現実化している。今回は、SF映画に登場するテクノロジーやガジェットから、特に印象的なものを5つ紹介しよう。(文・司馬宙)
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●『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』(1995)の熱光学迷彩

制作国:日本
上映時間:80分
監督:押井守
原作:士郎正宗
脚本:伊藤和典
キャスト:田中敦子、大塚明夫、山寺宏一、仲野裕、大木民夫、玄田哲章、家弓家正

●【作品内容】

電脳化やサイボーグといったテクノロジーが発展した近未来の日本。内務省直属の公安9課の草薙素子は、認定プログラマーの国外への亡命を手助けしたかどで、ガベル共和国の外交官を暗殺し、亡命を未然に阻止した。しかし、その後、外務大臣通訳の電脳がハッキングされるという事件が発生。国際手配中の凄腕ハッカー「人形使い」が容疑者として浮上する。素子は公安9課のバトーやトグサらと捜査を開始するがー。

●【テクノロジーの概要】

もしも透明人間になれたらー。この妄想は、1897年にSF作家H.G.ウェルズが発表した「透明人間」を皮切りに、多くのクリエイターたちの想像の源となってきた。

中でも、『GHOST IN THE SHELL /攻殻機動隊』に登場する「熱光学迷彩」は、周囲の環境の映像をユーザーの身体に投影することで身を隠せるというスグレモノで、赤外線制御によりサーモグラフィーからも存在を隠せるという偵察には打ってつけのガジェットだった。

さて、本作からヒントを得て実際に「熱光学迷彩」の開発を行ったのが、東京大学先端科学技術研究センターの稲見昌彦教授だ。稲見教授は、1999年に、自転車の赤い反射材に使われる「再帰性反射材」を素材とした光学迷彩服を開発している。光を入射した方向にまっすぐ反射するこの素材に背景の映像を投影することで、ユーザーを透明に見せるという仕組みだ。

光学迷彩の研究は、国外でも進んでいる。例えば、カナダの軍服メーカーであるハイパーステルス・バイオテクノロジー社は、「量子ステルス(Quantum Stealth)」なる半透明フィルムを開発している。

このガジェットは、片面が小さな山なりが連なった構造になっており、凸レンズのように可視光を屈折させることでフィルムの裏側にいる物体を隠せるというもの。また、赤外線や紫外線、短波赤外線も屈折させられるため、物体の熱放射も隠せるという。

イギリス・ロンドンを拠点とするスタートアップInvisibly Shield社も、「量子ステルス」と同じような仕組みで光学迷彩ガジェットを開発している。名前は社名同様「Invisibly Shield(見えないシールド)」だ。なお、同社は、2022年にクラウドファンディングを実施。1400万円以上を集めて販売にこぎつけている。

今後実用化が待たれる光学迷彩技術。ただ、悪用だけはなんとしても避けたいところだ。

(文:司馬宙)

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