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母の想いを叶えるために。世界で一着だけのオートクチュールドレスの製作秘話【松島花のハワイウエディング vol.2】

  • 2024.9.2

母の希望をフルオーダーメイドで実現

「お仕事で国内外ブランドのありとあらゆるデザインウエディングドレスを着させて頂いたので、ドレスを着たい欲が満たされている部分と、さまざまなドレスブランドの魅力を知っているからこそ、とても一つのブランドを選べないと思ったので、自分の結婚式は両親が着て欲しいものを選ぼうと思って。母に聞いたところ『オードリー・ヘプバーン映画パリの恋人』(1957)で着用したジバンシィ(GIVENCHY)のドレスがいい』とリクエストをもらいました」と松島さん。

オードリー・ヘプバーン『パリの恋人』 (1957) Photo_ Alamy/AFLO
Audrey Hepburn in a scene from Funny Face (1957) オードリー・ヘプバーン『パリの恋人』 (1957) Photo: Alamy/AFLO

既存のドレスでは見つけることができないため、完全に再現するには一から作るしかない。その難題をクリアするため、今回依頼したウエディングプランナーの方に、フルオーダーを手がけるデザイナーを紹介してもらった。「心から信頼できるプランナーさんだったので、安心してお願いすることができました」。

ドレス制作をスタートしたのは2023年8月ごろ。まず着手したのは、該当のドレスを着たヘプバーンの写真を集めることだった。「デザイナーさんと一緒に、あらゆる角度のドレス写真を何百枚も集めてイメージを共有しました。後ろ姿の写真がなくて、探し出すのに苦労しましたね」。

デザイン画はボディの切り替えが異なる2つのパターンを描いてもらい、デザインを検討した
デザイン画はボディの切り替えが異なる2つのパターンを描いてもらい、デザインを検討した

「生地選びも、カラー写真を見ながら忠実に再現。ドレスの色は当初ピュアホワイトをイメージしていたのですが、ハワイの強い日差しのもとでは、純白だと写真で白飛びして人工的に写る可能性があるとプランナーさんにアドバイスをもらい、クリーミーがかった白のシルクに決定しました」。

トワルを何度もやり直す中で、最もこだわったのはローウエストのシルエットだという。「ウエストの位置が高いと、ラブリーなプリンセスドレスになってしまうし、低いとボリュームのあるチュールスカートとのバランスが悪い。エレガントで大人っぽい、絶妙なバランスを追求してウエストの位置をミリ単位で何度も調整していただきました」。

ローウエストのシルエットにこだわりが光る
ローウエストのシルエットにこだわりが光る

トップにリボンを飾ったヴェールにも細やかなアイデアが施された。「少しくらいアレンジ加えようかなと母に相談したら、ヴェールも全く同じにして欲しいと。チュールを使ったヴェールは独特のバルーンシルエットがキープできるよう、見えない位置でドレスに留められる仕掛けになっています」。

ヴェールには独特のバルーンシルエットをキープするための細やかな仕掛けが
ヴェールには独特のバルーンシルエットをキープするための細やかな仕掛けが
ナチュラルな小花をきゅっとコンパクトにまとめたブーケも、ヘプバーンのスタイルをイメージ
ナチュラルな小花をきゅっとコンパクトにまとめたブーケも、ヘプバーンのスタイルをイメージ

ウエディングドレスに合わせるシューズは、邸宅でのガーデンセレモニーに合う軽やかなフラットシューズをセレクト。「ドレスに夢中でシューズのことが頭からすっかり抜けていて、直前になって大慌てで探しました(笑)。芝生の上を飛んだり跳ねたり、走り回ったりしても大丈夫なように、大好きなディオール(DIOR)から布製のフラットシューズを選びました」。

芝生の上を飛んだり跳ねたり、自由な動きが似合うドレス
芝生の上を飛んだり跳ねたり、自由な動きが似合うドレス
軽快なミディ丈ドレスに合わせたディオールのフラットシューズ
軽快なミディ丈ドレスに合わせたディオールのフラットシューズ

お色直しにはホワイトのアロハ柄ドレスを選択

セレモニー後のパーティでは、白のアロハ柄ドレスに着替えて、よりリラックスしたムードを楽しんだ。「ゲストには、家族ごとに同じ色のアロハシャツをプレゼントして、結婚式に着てもらったんです。そのアロハ選びをしているときに、偶然見つけた白のウエディングドレスとシャツを一目で気に入ってしまって。これは着るしかないと(笑)。足もとはハワイアナスのビーチサンダルを現地で調達しました」。

ホワイトのアロハ柄ドレスとシャツをお色直しにコーディネート
ホワイトのアロハ柄ドレスとシャツをお色直しにコーディネート
クラシカルなウエディングドレスとは異なるリラックスした表情が魅力のアロハ柄ドレス
クラシカルなウエディングドレスとは異なるリラックスした表情が魅力のアロハ柄ドレス
足元はハワイアナスのビーチサンダル。ハッピーなフラワーのデコレーションをポイントに
足元はハワイアナスのビーチサンダル。ハッピーなフラワーのデコレーションをポイントに

最後にリゾートウエディングを行うプレ花嫁に向けた、ドレス選びのアドバイスを聞いてみた。「海外での挙式は式を迎える当日まで、普段と環境や気候、食事の違いなど、いつも通りの自分でいる為に気を使う部分がたくさんあるので、心身のコンディションを保つ難しさがあります。だからこそドレスは、頑張りすぎずに着こなせるデザインを選ぶのがいいですね。一生に一度の結婚式を心から楽しむために、自分のナチュラルな体を受け入れ、無理なダイエットはせず、リラックスできる着心地の良いドレスを選ぶのが大切だと思いました」。

ドレス 参考商品/ATELIER VERDE(アトリエ ヴェルデ) 本人私物のイヤリング ペンダント/すべてHARRY WINSTON(ハリー・ウィンストン クライアントインフォメーション ) シューズ ¥135,000/DIOR(クリスチャン ディオール)

Photos : Yuji Takeuchi Hair & Makeup: Keiichi Hiramoto Wedding Planner: Eri Ishida Venue: Ka La'i Aloha Estate Interview and Text: Makiko Awata

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