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冷蔵庫を開けっ放しにする夫。夫婦ゲンカに発展かと思いきや!? 修羅場を筋肉でねじ伏せる夫婦の生活が面白すぎて腹筋割れる

  • 2024.9.2

『剛力さん家はシュラバラバンババン』(ジェントルメン中村/竹書房)は、0歳8カ月の赤ちゃん目線で送る、新感覚ファミリーコメディだ。早くも物心がついてしまった天才的な赤ちゃん・剛力愛一郎(ごうりきあいいちろう)の視点から、剛力家のちょっと普通ではないパワフルな日常が描かれている。

愛一郎の母・巴萌(ともえ)と父・義仲(よしなか)は、筋肉ムキムキのパワー夫婦。すべての日常生活に筋肉というスパイスを加えた毎日を送っていた。愛一郎の物心がついた日、冷蔵庫を開けっ放しにして食後の一杯を楽しむ義仲に対し、巴萌は「冷蔵庫を開けっ放しにしないでよッ!」と注意した。

語尾の「っ」が「ッ」であることからも分かるとおり、巴萌の気迫はすさまじい。「開けっぱなす度に食材の傷みが加速(すすむ)かと思ってねぇッ!!」と詰め寄る姿に、これから夫婦ケンカがはじまってしまうのではー!? と不安になってしまう。だが、巴萌は怒るのではなく、「傷みきる前に加熱(りょうり)してッ!! とっとと全部たいらげちゃお!!」と、笑顔で冷蔵庫の中身をすべて取り出すのだ。

剛力夫妻をはじめ、本作の登場人物たちは相手への思いやりの心にあふれていることが魅力だ。とんでもない修羅場(シュラバラバンバ)に発展しそうなギスギスした雰囲気になっても、必ずポジティブな結末が訪れる。「筋肉」と「ルビ芸」により最高速度で展開されるスタイリッシュ生活は、不思議な爽快感を残しながら読者を楽しませてくれる。

剛力家に刻まれたDNAにより、物心がついた時点で愛一郎がルビ芸を使いこなしているのも面白い。「公園母親会議(ネオ・イドバタトーク)」「夫婦ゲンカ(ハウス・ゲパルト)」など、数々の読み方をネイティブに話している。きっと剛力夫妻が日常的にルビ芸を使いながらたくさん愛一郎に話しかけてきたのだろうと想像できて、ほっこりさせられる。

さらに、剛力家に次々と訪れるピンチがリアルなことも楽しい。できた料理に醤油をかけられイラっとしたり、ポケットに入っていたものから浮気疑惑に発展したりなど、どれも実際に家庭で起こりそうな修羅場ばかりなのだ。不穏な雰囲気になっても、すべてスピーディーにほっこりな結末を迎えるので、ぜひこの癖になるスピード感と爽快感を楽しんでもらいたい。

文=ネゴト/ 押入れの人

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