1. トップ
  2. レシピ
  3. ミラノ・コレクションに初出展!京都の織屋・桝屋高尾「ねん金綴錦」の残布がスーツに

ミラノ・コレクションに初出展!京都の織屋・桝屋高尾「ねん金綴錦」の残布がスーツに

  • 2024.8.31

西陣織織元・桝屋髙尾が製作するオリジナル糸「ねん金糸」の織の残布から生まれた完全アップサイクルスーツが、9月19日(木)~23日(月)にかけて開催される「ミラノ・ファッションウィーク2025SS(2025年春夏ミラノ・コレクション)」のランウェイで発表される。

この披露は、完全アップサイクルのオーダーメイドスーツを展開するまるさんかくしかくのミラノ・コレクション初出展に際し、桝屋高尾の織物や提供する着物が採用され、ミラノ・コレクション出展協力として発表されるものだ。

SDGsを意識し、残糸や残り布などを再利用

桝屋髙尾は、昭和初期に会長・髙尾弘氏の父親の代に兄弟二人で織屋を起業。その後に店を分け、織屋を起業する以前の茶染め屋の時代の屋号である桝屋を継承し、桝屋髙尾と名付けられた。

髙尾弘氏は19歳の頃に家業の道へと入り、伯父である高尾菊次郎氏を師匠とし、その高尾菊次郎氏の元には民芸運動の作家たちが多数出入りをしていたため、織物制作上の原点となる文化性が育まれたという。

2016年には髙尾弘氏の娘・朱子氏が社長に就任し、「ねん金糸」を使用した小物づくりやSDGsを意識し残糸や残り布などの再利用にも力を注いでいる。

独自開発の糸「ねん金糸」

そんな桝屋髙尾の「ねん金糸」は、名古屋・徳川美術館の依頼で、家康公の遺品「ねん金袱紗」の再現を行った際に生まれた、独自開発の糸。

太さにばらつきのある手引きの真綿に金色の箔を巻きつけた糸で、金箔と絹真綿が混じり合って放つ柔らかさと輝きが特長だ。

その後、芯の真綿を様々な色に染め、帯地として発展させ「ねん金綴錦」と命名され、同社の代名詞となっている。

ミラノ・コレクション出展に協力

桝屋髙尾では2019年より、SDGsの取り組みとして、「ねん金糸」の残糸や残布を使ったアップサイクル商品に注力している。

今回のミラノ・コレクションへの出展は、こうした取り組みや「ねん金糸」の美に共感したまるさんかくしかくの代表・福井彩恵氏より、出展作品の素材として残布提供の依頼を受けたことによるもの。「ねん金糸」の持つ日本特有の美、それを無駄にしないアップサイクルの取り組みが、ミラノ・コレクション出展につながった。

まるさんかくしかくは、高級カーテン生地を使った完全アップサイクルオーダーメイドスーツ事業を手がけている。

製品はすべて完全アップサイクルであることが特長。取り繕うためや、着飾るためのスーツではなく、“自分が自分らしさを解放すること”が何よりも重要だと考え、「着ることは脱ぐこと」というコンセプトの元、多くの人の人生に寄り添いながらスーツを仕立てる。

桝屋髙尾の提供材料による2体の作品

なお、今回のミラノ・コレクション作品では、桝屋髙尾の提供材料で2体が発表される。高尾朱子氏が個人所有していた紫の着物と黒留袖が、スーツやタキシードに生まれ変わっている。

ミラノ・コレクション発表作品に利用される「ねん金綴錦」の帯地の残布、高尾朱子氏所持の紫地の着物がスーツ本体に使われ、「ねん金綴錦」の帯は襟の部分に使用。

桝屋髙尾が提供する黒留袖はタキシードに、「ねん金綴錦」の帯地は同様に襟の部分に用いられている。

日本の伝統の手仕事の美が、現代のミラノ・コレクションという大舞台で披露されることで、世界に日本の伝統技術や文化を知ってもらう機会になりそうだ。

■「ミラノ・ファッションウィーク2025SS(2025年春夏ミラノ・コレクション)」概要 レディース会期:9月17日(火)~23日(月) 詳細ページhttps://www.asahi.com/special/fashion/mfw2025ss

まるさんかくしかく:https://marusankakushikaku.net

(鈴木 京)

元記事で読む
の記事をもっとみる