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窮地に陥った落ちこぼれ令嬢が覚醒! 虐げられた少女が自らの力で居場所を掴み取る大逆転ストーリー

  • 2024.8.30
ダ・ヴィンチWeb
『地味で無能な次女なので、私のことは忘れてください~私を虐げた家族の皆様、破滅はどうぞご勝手に~』(瑞希ちこ/天城望/スターツ出版)

スターツ出版が展開する、女性向け異世界ファンタジーレーベルのベリーズファンタジー。レーベル発の企画「極上の大逆転」は、異世界文芸の人気作家たちが“大逆転”と“ざまぁ”をテーマに、ヒロインのハッピーエンド&華麗なる逆転劇を描くシリーズだ。今年は7月から9月まで、3カ月連続で書き下ろしを刊行。第2弾として発売されたのが、瑞希ちこ氏の『地味で無能な次女なので、私のことは忘れてください~私を虐げた家族の皆様、破滅はどうぞご勝手に~』である。

華やかだが自己中な性格の姉妹に挟まれた伯爵家の次女レナエルは、家族から落ちこぼれとみなされ、使用人のように扱われている。姉のノエラと妹のシャルロット、さらには両親が起こす数々のトラブルを密かにフォローし、尻拭いに駆け回る日々だった。ある日散歩に出たところ、妹のシャルロットに婚約者を奪われた女性から逆恨みされ、ナイフで襲われてしまう。殺されかけたレナエルは初めて他人に助けを求め、近くにいた男性が窮地を救ってくれた。その相手は、なんと王子のリュシアンで――。

自分さえ我慢していれば、これ以上不幸になることはない。そう信じ込み、すべてを諦めて状況を変えようとしなかった自分の生き方を後悔したレナエルは、この事件をきっかけに実家との決別を決意。勇気を振り絞り、王宮で働きたいと名乗り出る。そしてリュシアンの秘書として正式に雇用されるよう奮闘するなかで、隠された才能が花開いていくのだった。

思いがけない災難をきっかけに、運命を変えるチャンスを掴んだレナエル。ここから彼女の快進撃が始まる。それまで実家で担ってきた家事労働や領地経営などの実務経験が活き、王子の秘書役として見事な働きぶりをみせるのだ。自分の力で王妃の厳しい面接も突破し、領地の立て直しや外交問題の解決でも活躍。当初のレナエルは自己肯定感が低く、顔や表情を隠すために前髪も長く伸ばしていた。そんな彼女が少しずつ自信を身につけ、居場所を作り上げていく姿は爽快で、また読者を勇気づけてくれる。

人の心の痛みに敏感なレナエルは、自分より他者を優先して気にかける心優しい女性である。リュシアンを筆頭にそんなレナエルに惹かれ、大事に思う人たちが少しずつ増えていく。そして彼女を苦しめた家族に相応の報いを与えようと、大芝居を打ってみせる。他人の幸せを妬み、レナエルを引きずり下ろそうとする姉妹に訪れる“ざまぁ”は大きなカタルシスをもたらすだろう。

ヒロインに確実にハッピーエンドが訪れる安心感あふれる結末と、「極上の大逆転」シリーズならではの“お約束”を、それぞれに趣向を凝らして料理する作家たちの手腕が読みどころ。第1弾の鳳ナナ氏『淑女の笑みは三度まで~腐りきった貴族の皆様に最高の結末を~』も好評発売中で、第3弾である雨宮れん氏の『ならば、悪女になりましょう~亡き者にした令嬢からやり返される気分はいかがですか?~』は9月5日(木)に刊行予定である。あわせて楽しみたい。

文=嵯峨景子

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