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野木亜紀子さん「〈ラストマイル〉は今ある社会の構図を描いたエンタメミステリーです」

  • 2024.8.30

 

脚本家 野木亜紀子さん

のぎ あきこ/1974年、東京都生まれ。日本映画学校(現・日本映画大学)卒業。映画の脚色作品に「アイアムアヒーロー」「罪の声」「犬王」「カラオケ行こ!」など。ドラマのオリジナル作品に「アンナチュラル」「MIU404」「コタキ兄弟と四苦八苦」など。「獣になれない私たち」で第37回向田邦子賞、「フェンス」で第74回芸術選奨放送部門文部科学大臣賞を受賞。 X:@nog_ak

社会が抱える問題と、
そこに加担している自分たち。
今ある社会の構図を描いた
エンタメミステリーです。

「宅配荷物が爆発する話は?」
 
そんな塚原あゆ子監督の言葉から、脚本家の野木亜紀子さんが書き上げたのが映画「ラストマイル」。某ショッピングサイトから配送された荷物が爆発し、謎の連続爆破事件へと発展していく物語です。

「宅配荷物が爆発するって意外となくて斬新だと思って。そのアイディアをもとに、エンタメミステリーとして構築していきました」

 

 
事件にかかわるのは、ショッピングサイトはもちろん、配送センターから宅配業者、ドライバーまで。事件の謎を追いながら、物流の工程が抱える社会的な問題も浮き彫りに。とはいえ「必ずしも物流映画ではない」と野木さんは続けます。

「現実にある企業の問題点を伝えているわけではなく、世界の構造を風刺しています。社会のしわ寄せで苦労しているのは末端の人々であって、物流に限らずどの業界でも起きている。そこに私たちも加担している。そんな構図が見せられたらと思いました」。届きにくい声を拾うことで、苦しさの連鎖までもが伝わってくる作品です。

 

©2024 映画『ラストマイル』製作委員会
主人公は、満島ひかりさん演じる舟渡エレナ。ショッピングサイトの物流センター長として、配送業者や警察、本社との対応を一手に担います。物語が進むうちに、彼女の存在が正義か悪か、印象が変わっていくのも見どころのひとつ。

「作品世界を背負う存在なので、エレナのキャラクターや満島さんの魅力でひっぱっていけたらいいなと思って考えていきました」

 

©2024 映画『ラストマイル』製作委員会
さらに、現場に駆けつけるのはドラマ「MIU404」の機動捜査隊であり、遺体を解剖するのは同じくドラマ「アンナチュラル」のUDIラボと、作品と同じ世界線なのも見逃せないポイント。さまざまな現場が登場するものの、混乱させることなく、目が離せないほどのスピード感で進んでいくストーリー展開は見事です。

 

©2024 映画『ラストマイル』製作委員会

©2024 映画『ラストマイル』製作委員会
「フィクションですが、いかにリアリティを持って見せられるかは、塚原監督の腕があってこそです。それに、各ドラマのレギュラーキャストのほとんどが出演してくださったこともありがたくて。こうでもしないと集まれなかったであろうメンバーなので、集大成としてよかったなと思っています」

 

野木亜紀子さんイチオシ!

肉の低温調理

 
 

メインにもトッピングにも活躍してます

 
野木さんがよく作るという料理が、鶏肉や牛肉の低温調理。低い温度でじっくり時間をかけて火を通すことで、しっとりした仕上がりになるというもの。「サンドイッチにはさんだり、麺に入れたり、いろいろ使えて便利なんです。手軽にできるので助かります」。

これに注目!

「ラストマイル」

 
 

©2024 映画『ラストマイル』製作委員会 全国公開中
出演/満島ひかり、岡田将生、ディーン・フジオカ、火野正平、阿部サダヲほか
監督/塚原あゆ子
脚本/野木亜紀子
主題歌/米津玄師「がらくた」
制作プロダクション/TBSスパークル
配給/東宝

流通業界最大のイベントのひとつ「ブラックフライデー」の前夜、世界規模のショッピングサイトから配送された段ボール箱が爆発する事件が発生。やがてそれは日本中を巻き込んだ連続爆破事件へと発展。だれが何のために仕かけ、残りの爆弾はいくつで、どこにあるのか……。過去の人気ドラマと同じ世界線上で物語が展開する、ノンストップサスペンス・エンタテインメント映画。

野木亜紀子さんからの直筆メッセージ

野木亜紀子さんからの直筆メッセージ

(『オレンジページ』2024年9月2日号より)

撮影/鈴木康史 取材・文/晴山香織 ヘア&メイク/遠田ひとみ

·2024年7月現在の情報です。

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