1. トップ
  2. 恋愛
  3. 不妊に悩んだハリウッドセレブたちのリアルと、不妊問題を打開するための栄養的アプローチ法【ビューティーな栄養学】

不妊に悩んだハリウッドセレブたちのリアルと、不妊問題を打開するための栄養的アプローチ法【ビューティーな栄養学】

  • 2024.8.30

厚生労働省の調査によると、夫婦の約4.4組に1組が不妊調査や不妊治療を受けた経験があるという(2021年調べ)。ハリウッドセレブとて、例外ではない。何らかの原因で妊娠しづらかったり流産しやすかったりすることに悩み傷ついた体験をシェアしているセレブは、思った以上に多いのだ。彼女たちが話した、それぞれの妊活ストーリーとは?

6年間にわたる不妊治療と流産:クリッシー・テイゲン

Photo_ Matthew Stockman/Getty Images
Photo: Matthew Stockman/Getty Images

夫のジョン・レジェンドとの間に現在4人の子どもがいるクリッシーだけど、長女のルナを授かるまでには結婚から6年かかったという。2015年に米TV番組『FABLife』でクリッシーは初めて、体外受精にトライしていることを告白。

「私とジョンは問題を抱えています。本当なら私たちには、6年前にはもう5人の子どもがいるはずだった。だけど、ああ神様、これまでにはとても長い道のりが必要だったの」。妊娠がうまくいかない間、人々から常に聞かれる「いつ子どもを持つのか」という質問にストレスを感じていたとも。

「それ自体は優しい問いかけだと思うのよ、だけどときに人は、相手がどんなことを経験しているか知らずに傷つけてしまうことがある。『私はトライしているけど授からないのよ』って、言いたかった」

彼女はその後、卵子凍結によって娘ルナと息子のマイルズを出産。そして2020年に新たに息子を授かるはずだったのが、流産したことを2023年にSNSで打ち明ける。亡くなった赤ちゃんにふたりはジャックと名づけ、翌年に僧侶によるセレモニーを開催。悲しい喪失を経て、2023年1月と6月に、第3子のエスティ・マクスィンと、第4子のレン・アレクサンダー・ステファンズをそれぞれ代理母出産により授かった。

癒着胎盤による2人目不妊:キム・カーダシアン

Photo_ James Devaney/Getty Images
Photo: James Devaney/Getty Images

人工授精により長女ノースを出産後、2人目の息子、セントを妊娠するまで苦労したと語るキム。ノースのときは妊娠高血圧腎症という状態になり、母体を救うために人工誘発により、6週間も早く緊急分娩手術を行なった。それによって胎盤癒着など様々な合併症を抱えた彼女は1年半に5つもの手術を受け、子宮に小さな穴を開けてしまう結果に。妊娠が困難な状況だったため、「毎朝5時にビバリーヒルズのドクターのところに通い、排卵しているかどうかの検査を受けていました。長い道のりでした」と、米C Magazineでコメント。

ノース出産後にも卵子凍結を続けていたため、最終的にはそれを使ってセイントを妊娠することに成功。しかし2回目の出産も、ノースのとき同様にハードなものだった。その後キムと元夫のカニエ・ウェストは、次は代理出産を選ぶことを決意。娘シカゴと息子のサームを授かったのであった。

6回目の体外受精で念願の2度目の出産:セリーヌ・ディオン

Photo_ Cindy Ord/Getty Images
Photo: Cindy Ord/Getty Images

2001年に体外受精で長男ルネを出産、2010年には双子の男児を授かったセリーヌ。しかし2度目の出産までには、5度の流産を経験している。トーク番組『オプラ』で、不妊治療との闘いについて告白。

「私はヨーヨーをしているような気分にはなりたくなかった。私は妊娠している、私は妊娠していない、これの繰り返しみたいなね。結局、私は4回トライしても、流産してしまったの。私たち夫婦はまだ努力を続けていて、これから5回目の挑戦をするところ。5が私のラッキーナンバーだから、この5回目のトライは、成功しなければならない」

双子は妊娠初期には3つ子だったのが、3番目の胎児は胎内で亡くなってしまったのだという。

桁外れの財力と最高峰のクリニックへのアクセスを持つセレブたちもまた、壮絶な経験を乗り越えて母になっているという事実は、妊活に励む女性へのエールになるだろうか。

不妊に悩むカップルが増えている背景

妊娠を希望していてもなかなか叶わない。不妊治療を行っているがうまくいかない。多くのカップルが悩む不妊には、栄養問題が絡んでいる可能性があると新百合ヶ丘総合病院で消化器内科医を務める袴田拓医師は語る。

Photo_ Dima Berlin/Getty Images
Photo: Dima Berlin/Getty Images

「働く女性の多くは栄養状態に問題を抱えていて、それが不妊につながっていると感じます。仕事が優先の生活になると、ゆっくり食べている暇はありませんよね。一日3食摂れていない方も多いですが、それが普通になっているとあまり良くないと思います。また、ストレスが多いために消化機能が落ち、食べたものを栄養としてきちんと消化吸収できていない、というのも問題です。血糖値が乱高下しやすく、いわゆる低血糖の状態になっている方もいますね」と袴田医師。心当たりがある人も多いのではないだろうか。

「不妊の大きな原因となるのは、”鉄欠乏”です。不妊に悩む方の8〜9割くらいは、鉄が足りない貧血状態にあると思います。女性は月経によって、毎月必ず多量の出血をします。血液の赤血球に含まれているヘモグロビンは鉄とタンパク質でできているため、出血により鉄が不足してしまうのです」

血液検査で貧血がなくても、鉄が不足している人は多くいるという。鉄が不足することで、どのように不妊につながるのか。

「まず、鉄を必要としているのは卵子です。卵子は約8ヶ月の熟成期間を経て、選び抜かれた細胞が月に1つだけ誕生するという、つくるだけでも非常にエネルギーを必要とする存在です。一方精子は約3ヶ月の熟成期間で、毎日大量につくられます。エネルギーをつくりだす工場であるミトコンドリアの数も桁違いに卵子のほうが多く、それだけ栄養を必要としています。なかでもエネルギーを生み出すために不可欠なのが鉄。足りないとエネルギー不足で卵子のポテンシャルが低下します」

卵子だけでなく、子宮の状態にも影響する鉄

「続いて、子宮の状態も重要です。受精卵が着床するためには、ふかふかに整った厚い子宮内膜が必要なのですが、この子宮内膜をふかふかにするのがコラーゲンです。コラーゲンというのは、材料であるタンパク質と、生成を手助けする鉄、ビタミンCでつくられます。ここでも鉄が登場するため、不足することで不妊になる方が多いのです」

ちなみに、鉄欠乏の症状としては、下記が挙げられるという。自身の身体の状態や悩みと照らし合わせてチェックしてみてほしい。

・寝起きが悪い、不眠が続く

・めまい、立ちくらみがある

・疲れやすく、常にだるい

・坂道や階段で動悸、息切れを起こす

・集中力が続かない

・イライラして情緒不安定になる

・むくみやすく、あざができやすい

・爪が変形し、割れやすい

・肌荒れやシミ、シワに悩んでいる

など。3つ以上当てはまる場合は要注意だ。

“2人目不妊”が増えている理由

Photo_ d3sign/Getty Images
Photo: d3sign/Getty Images

1人目を授かり、余裕がでてきて2人目を考えたときに不妊問題に直面する人も少なくないと、消化器内科医として、不妊症の栄養診療に携わる袴田医師は語る。

「妊娠・出産というのは想像以上にハードです。胎児の成長や出産時の出血などにより、母体の栄養は大幅に失われます。そこから慣れない子育てが始まり、日々奮闘していくなかで満足な食事を摂れていない方が多くいらっしゃいます。子どもの食事が優先になり、自分は適当に余り物で済ませるなど。そうなると、栄養状態はどんどん悪化し、日常生活を送るのが精一杯で、体は次の妊娠への準備をするどころではなくなってしまいます」と産後、誰にでも起こり得る変化について言及。

産後の食生活について、袴田医師はこう言及する。

「まずはきちんと食事を摂ること。後回しにせず、なるべく3食摂りましょう。それから、腸の状態をよくすることも大切です。グルテン、カゼインなど腸粘膜を傷つけるものは控えたほうがいい方もいますね。それから、SIBOといって、小腸で細菌が増殖する症状によって腸の不調を訴える人もいます。そういった一見妊娠とは関係ないように思える体の状態が、実はさらなる不妊を引き起こしていることもあるのです。たとえ栄養状態に大きな原因があっても、一般的な産婦人科でそれを指摘してもらえるとは限らない。そもそも医者は栄養についてあまり語りません。そのため長年にわたって不妊治療を続け、それでも叶わなくて自分を責めてしまう。そんな悲しい思いをする人を減らすために、少しでも栄養学の知識が広まってほしいと考え活動しています」

鉄不足を解消するためにできること

Photo_ pepifoto/Getty Images
Photo: pepifoto/Getty Images

「鉄不足だとわかった方には、鉄剤を処方します。直接血管に投与しすばやい効果を期待できる新しい静注製剤を使用することもあります。来院された方にはそれでいいですが、この記事を読んで『鉄のサプリを飲まなきゃ』と思われた方には、すこし待っていただきたい。実は、鉄の服用にはよい面と悪い面があり、体に慢性炎症がある方の無造作な鉄服用はおすすめできません。慢性炎症というと難しいですが、花粉症などのアレルギーから肥満、下痢や便秘など、多くの方が体の中に小さな炎症を抱えているのです。市販の鉄剤などを安易に飲むとそういった炎症を悪化させ、具合が悪くなってしまうことも。知識のあるプロの指導を仰ぐのが一番ですが、ご自身で選ぶ際は”ヘム鉄”のサプリを選ぶようにしましょう。ただ、炎症体質でも比較的安全に飲める代わりにパワー不足なので、妊娠を急がれる方には不向きかもしれません」

また、前述したタンパク質とビタミンCを同時に接種するのもいいという。

「食事では、タンパク質が多く摂れる物を意識しましょう。お肉には鉄やそれ以外のミネラル等も含まれるので、バランスよく栄養を補給できます。プロテインもよいですが、消化力が落ちた人には不向きかもしれません。鉄は、タンパク質やビタミンCとともに接種すると吸収率が良くなります」

消化器内科医の立場から不妊問題に立ち向かう袴田医師のところを訪れ、栄養を改善することで妊娠に成功した例は現在5割前後ほどだという。不妊治療だけでは結果が出せなかった中での妊娠は、大きな喜びをもたらしたはず。不妊に悩む人、これから妊娠を考えている人は、一つの手段として参考にしてみてほしい。受診の際は、新百合ヶ丘総合病院のホームページに記載されている外来診療予約番号より電話を。

話を聞いたのは……

TAKU HAKAMDA,PhD,

袴田拓。医学博士。新百合ヶ丘総合病院予防医学センター消化器内科部門部長、同病院消化器内科科長。消化器内科としてさまざまなメディアを通じて情報発信を行う。分子栄養学にも精通し、その知識を活かして妊活指導を行うと、的確な指導で次々と妊活を成功に導く。著書『栄養妊活』の中でも分子栄養学に基づいた詳しい妊活アプローチについて解説している。

Text:Moyuru Sakai、Misaki Kawatsu

DUBAI, UNITED ARAB EMIRATES - JANUARY 21_ Kendall Jenner attends the Grand Reveal Weekend for Atlantis The Royal, Dubai's new ultra-luxury hotel on January 21, 2023 in Dubai, United Arab Emirates. (Photo by Kevin Mazur/Getty Images for Atlantis The Royal)
元記事で読む
の記事をもっとみる