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本当に体にいいの?5つのヘルシーフード&ドリンクを栄養士が斬る

  • 2024.9.6

スムージーやグルテンフリーフードなど、ヘルシーで安全なイメージのものにも、実は意外な落とし穴が。

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1日の始まりにオーツミルクラテやグリーンジュースなどの“健康的”とされている食品をとることは、何か徳の高い行動のように感じられる。ランチに植物由来の代替肉を使ったサンドイッチ、夕食にグルテンフリーのパスタを選ぶことも、肉や小麦を食べるより、健康的な選択しているように思える――そんなあなたは、ひょっとすると「健康ハロー(後光)効果」に、すっかり踊らされているのかもしれない。

トレンドの食品のすべてが、栄養面に関して「ナンセンスだ」と言っているわけではない。だが、巧みなマーケティング手法と、栄養に関する“科学的”に思える説明は実際に、一部の食品や飲料の過大評価につながっている。

オハイオ州のクリーブランド・クリニックのウェルネス・予防医学部門の登録栄養士、クリスティン・カークパトリックさんは、「なかには本当に健康的だと思い込ませるために、大変な努力をしている食品もあるということです」として、製品がどれほど健康的かという説明が詳しいものほど、栄養成分の実際の効果についてきちんと調べ、確認する必要があると述べている。

話題の食品や人気の食品のなかには、糖分や飽和脂肪、ナトリウム(塩分)が隠されているものや、重要な栄養素が驚くほどわずかな量しか含まれていないものもある。さらに、特にそのようなマーケティング戦略がとられたわけではないにもかかわらず、「健康ハロー効果」の恩恵を受けているものもある。

それは、具体的にはどのようなものだろうか? 特に近年トレンド入り&定番化している5つのフードやドリンクについて、米国の3人の登録栄養士から、話を聞いた。

※この記事は、海外のサイトで掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。

From Prevention

1.オーツミルク

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人気の背景と世間のイメージ植物性の飲料でありながら、牛乳のようにクリーミーな味が人気。突然、注目されるようになった2018年のアメリカ国内での売上高は、約1億5600万ドル(当時のレートで約171億円)。2020~2028年の売上高の年平均成長率は、15%程度と予想されている。

事実:登録栄養士のケンリン・ヤングさんは、「植物由来の食品は概ね、私たちにも地球にも健康的なものです。ですが、すべてが健康的な選択肢だというわけではありません」と話す。また、それらがすべて、動物性の食品より優れているというわけではないという。

栄養の点で言えば、オーツミルクは牛乳や豆乳には届いていない。ある調査によると、74のブランドのオーツミルクのうち、栄養に関して米農務省(USDA)が推奨する基準を満たしていたのは、わずか22ブランドだった。

最も基準値を下回っていたのはタンパク質で、含有量は1カップあたり平均3グラム。いっぽう、牛乳は8グラム、豆乳は7グラムとなっている。さらに、オーツミルクは牛乳や豆乳のように栄養強化の基準が定められていないことから、製品によってカルシウムやビタミンA、ビタミンDなどの含有量に大きな差がある。

どんな選択をすればいい?

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ヴィーガンの人や、乳糖不耐症のために乳製品をとらないという人には、豆乳がおすすめ。また、エンドウ豆ミルクも良いとされるが、オーツミルクと同じように、牛乳や豆乳ほどには多くのタンパク質を含んでいない。

ヤングさんによると、朝食にオーツミルクラテを飲むなら、タンパク質が豊富な卵とアボカドも一緒にとるのがおすすめとのこと。また、シリアルにオーツミルクをかけて食べる際は、タンパク質と食物繊維が多く、低糖のものを選ぶのがいいという。

2.代替肉

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人気の背景と世間のイメージ過去の数々の研究結果から、植物性の食品を中心とする生活は「心臓病や2型糖尿病、肥満をはじめとする疾患の予防に効果的」だとみられており、“健康のために”肉食を避け、植物由来のバーガーやナゲットを選ぶ人が増えている。

事実:味も見た目も、さらには肉汁がしたたるような感じまでも再現しようとすれば、当然ながら、さまざまな原料や加工が必要になる。だが、それらのすべてが、私たちの健康に良いというわけではない。

登録栄養士のジル・ワイゼンバーガーさんによると、代替肉に含まれる栄養素には大きなばらつきがあるという。

たとえば、LDL(悪玉)コレステロール値を上昇させ、心臓病のリスクを高めることにつながり得るとされている飽和脂肪酸の含有量は、赤身の牛肉のハンバーガーは約4グラム。代替肉でつくられる「ビヨンドミート」のバーガーは2グラム程度だが、「インポッシブル・ビーフ」のバーガーは6グラムとなっている。

さらに、ナトリウム(塩分)は牛肉のパティが約75ミリグラム、植物由来のバーガーが約370ミリグラムとなっている。

どんな選択をすればいい?

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まずは、食品表示ラベルを自分できちんと確認することが重要。代替肉のなかには、飽和脂肪酸を多く含んだパーム油やココナッツオイルを使用しているものもある。

前述の「ビヨンド・ミート」など、一部のブランドは批判を受けて、原料の一部を変更。ココナッツオイルではなく(血中のLDLコレステロールを下げるといわれる)一価不飽和脂肪酸が豊富なアボカド油を使用するようになっている。また、タンパク質と食物繊維の量を増やすため、赤レンズ豆とそら豆を使っている。

ただ、どのバーガーを選んでも、脂肪分が多い食品と組み合わせては、健康的とはいえなくなってしまう。ワイゼンバーガーさんは、「チーズなどのトッピングはなるべく避け、付け合わせとしてたくさんの野菜をとるようにしましょう」とアドバイスする。さらに、チーズは1oz(約28グラム)程度に抑えること、スライスしたアボカドや、サルサソースを添えることを提案している。

3.野菜ジュース

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人気の背景と世間のイメージ:ジュースにすれば、1日の摂取量として推奨される量の野菜や果物を毎日、簡単にとることができる。

事実:ファイトケミカル(植物が身を守るために生成する化合物)や栄養素密度が高いことで注目される野菜だが、一般的な市販のグリーンジュースになると多量の砂糖と、風味づけのためのフルーツピューレなどが加えられている。

カークパトリックさんによると、食物繊維の効果が失われるジュースの状態では、野菜にもともと含まれている糖分が血中に入り込むスピードも速くなるという問題が起きるとのこと。

どんな選択をすればいい?

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Viktoriya Skorikova

野菜ジュースが好きで、やはり飲みたいという人は、少しずつ飲むようにすること。ただ、1日に摂取する野菜やフルーツをすべてジュースにすることは避け、10~20%にとどめるのが目安。

ジュースを作るときには、ホウレン草やケール、パセリ、キュウリ、セロリに1~2種類のフルーツを加えるのがおすすめだという。さらに、フルーツのうち1種類をレモンにすれば、糖質をゼロまたはごく少量に抑えることができる。

4.グルテンフリー

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Stefka Pavlova

人気の背景と世間のイメージ:小麦に含まれるタンパク質と水が結びついてできる物質、グルテン。グルテンを避ける食生活には、血色や睡眠の改善、体重減少のサポートなど、健康上のさまざまな効果が期待できる。

事実:グルテンをとらない食生活を徹底することは、セリアック病(免疫反応によって小腸の組織が傷つき栄養が吸収されなくなる)やグルテン不耐症の人にとっては重要なこと。

ただ、ごくまれな疾患であるセリアック病と診断されたり、まだ不明点が多いグルテン不耐症とみられるわずかな人たちを除き、期待できるという健康効果のためにグルテンを避けることは、考え直したほうがいいかもしれない。

皮肉なことに、たとえばパンやパスタはグルテンフリーではないほうが、鉄分やビタミンBが強化されているものが多い。「グルテンフリー」をうたっている食品には、栄養価があまり高くないものが多い点が指摘されている。

減量のためにグルテンフリーを選んでいる人も、改めてよく考えてみよう。ヤングさんは、健康によさそうな表示がある食品は、「食べすぎてもいいと思えてしまう」と忠告する。だが、それらはグルテンを含む類似の食品よりも、食物繊維が少なく、脂肪分やカロリーは多くなっている。

どんな選択をすればいい?

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Diana Krykavska

グルテンの摂取量を減らしたいなら、栄養価で劣り、価格が高い「グルテンフリー」と記載された商品ではなく、もともとグルテンを含まず、栄養が豊富な食品を選ぶほうがいい。

たとえば、全粒穀物ならキヌア、玄米、ソルガム、キビやアワなどはグルテンを含まない。アマランサスはさらに、ビタミンBや食物繊維も豊富だ。また、乾燥させたレンズ豆や黒豆、ヒヨコ豆のパスタなどもおすすめだという。

そのほか、すっかり悪評を買っている精白小麦粉を使ったパンやパスタも、鉄分が強化されているものなどがあり、特に肉を食べない人には、鉄分の摂取に重要な食品となる。ベジタリアンやヴィーガンでグルテンを避けている人は、サプリメントで鉄を摂取する必要があるかどうか、医師に相談してみるのがいいかもしれない。

5.スムージー

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人気の背景と世間のイメージ:濃厚な食感はミルクシェイクのようだが、ずっとヘルシーなスムージーは、満足感を得ることもできる。忙しい朝の食事代わりに最適。

事実:牛乳やヨーグルト、野菜やフルーツを使うスムージーは、確かにとても健康に良いものになる。だが、ワイゼンバーガーさんは次のように述べている。

「残念ながら、粉末状やボトル入り、専門店で販売しているスムージーの多くは、砂糖や飽和脂肪酸が加えられています。つまり、健康的な朝食やスナックというよりも、デザートに近いのです」

また、名前は「スムージー」でも、実際にはただ凍らせただけのミックスジュースの場合もある。

そのほかワイゼンバーガーさんは、どれほど健康に良い材料を使用していても、「噛む」ことで得られる満腹感がないスムージーは、あまり腹持ちが良くないことを指摘している。

たとえ消化に時間がかかる(腹持ちの良い)アボカドやナッツバターを使用しても、スライスしたアボカドを乗せたトーストや、ピーナツバターを塗り、バナナを乗せたトーストに比べて、間食をしてしまう可能性が高まるという。

どんな選択をすればいい?

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スムージーは使用する材料によって、体に良いものにも、そうでないものにもなる。シャーベットやフローズンヨーグルト、チョコレート、ジュースが入っているスムージー(特に原材料表示の1番目に「ジュース」と書かれているもの)は、避けたほうがよさそう。満腹感を得られる栄養豊富なスムージーにするためには、乳製品、フルーツ、野菜、ナッツバター、チアシード、フラックスシードなどの自然食品を選ぶこと。

また、ワイゼンバーガーさんは、スムージーが食事か間食かによって、選ぶ材料を変えることをすすめている。

「朝食用なら、ヨーグルトやカッテージチーズ、絹豆腐、プロテインパウダー(プレーン)などを使い、タンパク質が豊富で満腹感を得られるようにしましょう」

「また、フルーツや野菜、オーツ麦やキヌアなどの全粒穀物を入れて、食物繊維もとれるようにするといいでしょう」

いっぽう、間食としてのスムージーは、食事で不足しがちな栄養素を補うのに最適だという。たとえば、ランチがターキーのサンドイッチだった場合には、ヨーグルトとマンダリンオレンジ、パイナップル、ニンジン、チアシード、バニラエキスを少量入れたスムージーなど、食物繊維がしっかりとれるものをすすめている。


Ryoko Kiuchi

翻訳者。学業・仕事のため、5カ国の7都市でおよそ10年を過ごす。帰国後は経済・ビジネス関連の文書やニュース記事の翻訳を中心に、ウェルネス系の専門誌やアート関連の書籍、映像翻訳も手掛けるなど、長年にわたってフリーランスで活動。常に新たな情報に触れる仕事柄、心がけているのは、「浅くても、 何でも広く知ろうとすること」。

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