Text by 石井彰(編集部)
昨年違法賭博の問題が明らかになり、10ヶ月もの出場停止処分を受けることになったイタリア代表MFサンドロ・トナーリ。
ミランからニューカッスルに加入したばかりの状況だったにもかかわらず、ほとんど試合に出場できないまま長い間ピッチを離れることになってしまった。
心身ともに難しい環境を過ごしたが、28日にその出場停止処分が終了することになり、リーグカップのノッティンガム・フォレスト戦で久し振りの出場を果たしている。
彼はその10ヶ月以上におよぶプレー不可能の時期を振り返り、クラブ公式サイトのインタビューで以下のように語っていた。
「10〜11ヶ月ぶりだから嬉しいよ。チームやファンがいつも僕と一緒にいてくれたから、とても気分がいいよ。孤独ではなかった。
最初の3ヶ月は困難だったが、10ヶ月が経った今は新しい節目だと感じている。自分だけではなく、家族や友人にとってもね。
素晴らしいチームに支えられている。人生で初めてのことだよ。
イタリアサッカー連盟や子供たちとの会合のため、10ヶ月で16回帰国していたよ。僕の経験を話すことは、若い選手にとって重要なものになるはずだ。なぜならギャンブル依存は人生の問題だからだ。
僕はサッカーの仕事に就けているから幸運なんだ。みんなに助けられて、10ヶ月後に同じような人生に戻ることができる。しかし普通の人々は、人生が大きく変わってしまう可能性がある。
助けになるのは、話すことだ。それはとても役に立つ。
特に最初の3ヶ月で、僕はニューカッスルを中心に様々な人と会った。この問題を抱えながらもこれまで話したことのない、普通の仕事をしている人々とね。
すべてが明らかになったとき、彼らは話してくれた。僕の問題が公になってからね。彼らはその問題を溜め込むのをやめようと決心してくれた。それはとても嬉しいことだったよ。
彼らは自分の問題を告白するだけで助けを得られた。まずは話すことなんだ。そこからステップを踏み出していく。話す勇気を持つこと。これが巨大な障害であり、踏み出すべき最大の一歩なんだ。
10ヶ月は長かった。しかもサッカー選手は試合のために生きているようなものだからね。大変だったけど、プレーしていたときよりも毎日練習したよ。
みんなが本当に助けてくれた。全員からサポートを受けた。コーチやスタッフ、シェフ、清掃員など全員だった。ファンもそうだね。数ヶ月前にニューカッスルへやってきたばかりの僕に、10年間以上所属しているかのような愛情を与えてくれた。
チームではブルーノ(ギマランイス)とジョエリントンが真っ先に助けてくれたよ。彼らは僕にとって最高の選手であり、最高の人間だ。ブラジル人選手たちが大好きだよ。僕を助けてくれただけでなく、チームも助けてくれた。
この10ヶ月は練習場で英語を学んだよ。最初の1ヶ月は先生から教えてもらって、その後はブルーノや理学療法士とともに勉強した。
ブルーノはスペイン語がわかるからね。彼とは英語かスペイン語で話している。最初の2〜3ヶ月は彼が通訳をしてくれたんだ」
入ったばかりの外国のクラブで重い処分を受けるという厳しい経験をしたが、言葉が通じることもあって二人のブラジル人選手の存在が生活の大きな支えになってくれたという。
なお、このノッティンガム・フォレスト戦ではハーフタイム前にブルーノ・ギマランイスが途中出場し、トナーリ&ジョエリントンと3センターを組むという場面もあった。