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石川恋さん、自分の可能性を信じて「どんな道も選べる基盤をつくりたい」

  • 2024.8.29

『ユニコーンに乗って』『silent』など話題作に次々と出演し、今回FOD×BUMPの共同オリジナルドラマ『30歳目前、人生設計狂いました』では主演を務める石川恋さん。昨年、30歳でデビュー10周年を迎えました。「節目」などと言われがちな女性の年齢との向き合い方について語ってくれました。

自分で自分のことを決めつけたくない

――今作では「30歳」がテーマです。ご自身も昨年30歳を迎えましたが、30代に突入した心境はいかがでしたか?

石川恋さん(以下、石川): その前の年くらいから、インタビューでも「20代最後にやりたいことは?」「30歳になる心境は?」などと聞かれるようになって、ああ、30代に入るんだなとじわじわと思い始めました。節目と言われると意識したほうがいいような気もするけど、年齢にとらわれずにいたいし……などと、いろいろと考えました。

自分は変わらずにいたいし、そのつもりだけど、周りからの見られ方は変わっていくんですよね。現場でも年下の方が増えてきましたし、主演をすれば「座長」と見られます。しっかりしなければ、とは思います。

朝日新聞telling,(テリング)

――プライベートで焦りを感じる人も多い時期ですが、どう捉えていますか?

石川: 今のところ、私には「何歳までに結婚しなければいけない」「子どもを産まなければいけない」といった焦りはないんです。「結婚したくない」「子どもを産みたくない」と思っているわけではなくて「自分がこれからどう変わっていくか、わからない」というのが率直な気持ちです。

仕事も同じです。今はお芝居が大好きで、俳優の仕事ができるのが楽しい。だけど、もしかしたら将来、海外に住みたいなんて思うようになるかもしれません。あらゆる可能性があると思っているので、あまり自分で自分のことを決めつけたくないんです。

――自分では「先のことはどうなっていくかわからない」と思っているのに、周りの人から「結婚しないの?」「子どもは?」と聞かれてモヤモヤしてしまう人もいます。

石川: ああ、そういうこともありますよね。私なら「今のところは考えていないけど、今後したくなるかも!」と明るく答えちゃうかも。

「子どもは?」とか「2人目は?」といった質問は、強く望んでいる人にとってはセンシティブなこと。でも実際は、軽い気持ちで聞いてしまっているケースが多いと思うんです。結婚しないことや子どもがいないことは“問題がある”わけではないので、私が聞かれたときは、あまりネガティブにとらえないようにしています。

朝日新聞telling,(テリング)

来たるべきタイミングに「勇気と力とお金」を

――ベストセラー書籍『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』(『ビリギャル』)のカバーモデルを務めて注目を集めたのが、2013年。昨年にデビュー10周年を迎えました。もともと俳優やモデルになりたいと思っていたのですか。

石川: 憧れはどこかにあったと思いますが、実際になるということは想像もしていませんでした。大学進学を機に栃木県から上京したのですが、大学に入ったのはキャビンアテンダント(CA)になりたかったからです。在学中に、海外留学をするつもりでした。

でも、たまたまタイミングが合って、20歳のときに『ビリギャル』のカバーモデルをさせていただき、それがターニングポイントに。留学のタイミングを逃しても、芸能のお仕事のほうを優先している自分に気づいた時に「ああ、私はこの道を行きたいんだ」と分かったんです。

CAになりたいからと言って大学まで行かせてもらったので、決断するのには勇気がいりましたが、親が応援してくれたこともあって、現在の事務所に所属することを決めました。人生って、事前に想定したとおりに進むのではなく、予期せぬ出会いによってどんどん選択肢が広がっていくものなんだなと。

朝日新聞telling,(テリング)

――この先に何が起きるかわからない、自分の可能性を狭めずにいたい、という石川さんの考えは、そうした経験から生まれたんですね。しかし、それは「なりゆきで、どうなってもいい」というのとは違いますよね。

石川: はい。ちゃんと準備しておかないと、達成できないこともあると思っています。たとえば私は、ずっと英会話を勉強していて、俳優の仕事にも活かせたらいいなと思っているんです。

将来そう思うかはまだ分からないのですが、万が一、今の自分とはまったく違う挑戦をしたいと思った時のために、今のうちから経済的な基盤を作っておくことも大事だなと思います。具体的に「こうしたい」というのはなくて、それもタイミングだと思っているんですけど、いざというときにちゃんと決断できる状態、動ける状態にしておきたい。やりたくなったらやれるように、自分に力をつけておいたり、お金を貯めておいたりすることは、いつでも始められるから。

――「お金」というキーワードが現実的ですね。

石川: あはは。でも、いざタイミングがきて「私、この道を選びたい!」と思った時に、ちゃんとそのタイミングに乗れるように、準備は必要だと思うんですよ。海外に行くとしても、結婚するとしても、先立つものがないと。だからお金は大事です(笑)。

「自分でスケジュールを立てて、その通りに目標を叶えるぞ!」と思いすぎても、疲れちゃう。自分の人生をコントロールするのではなく、自分の可能性を信じて、勇気や力を蓄えておきたいです。どんなことでも楽しめる自分をつくっておけば、どの道を選んでも、きっと大丈夫なはずだから。

●石川恋(いしかわ・れん)さんのプロフィール
1993年生まれ。栃木県出身。19歳のときにスカウトされデビュー。以降、俳優・モデルとして活躍。主な出演作に、映画『マスカレード・ナイト』『劇場版 アナウンサーたちの戦争』、ドラマ『猫カレ -少年を飼う-』『さっちゃん、僕は。』などがある。

■『30歳目前、人生設計狂いました』
監督:権野元
脚本:BUMP版/井本智恵 FOD版/林青維
主題歌:Furui Riho「青信号」(LOA MUSIC)
プロデューサー:木高颯子/島袋響(emole)/平体雄二(スタジオブルー)/山咲藍(スタジオブルー)
コンテンツプランナー:澤村里紗(emole)
エグゼクティブプロデューサー:下川猛/澤村直道(emole)
制作プロダクション:スタジオブルー
製作:emole
制作著作:フジテレビ

FOD配信ページ:
BUMPアプリダウンロードページ:

■塚田智恵美のプロフィール
ライター・編集者。1988年、神奈川県横須賀市生まれ。早稲田大学社会科学部卒業後ベネッセコーポレーションに入社し、編集者として勤務。2016年フリーランスに。雑誌やWEB、書籍で取材・執筆を手がける他に、子ども向けの教育コンテンツ企画・編集も行う。文京区在住。お酒と料理が好き。

■慎 芝賢のプロフィール
2007年来日。芸術学部写真学科卒業後、出版社カメラマンとして勤務。2014年からフリーランス。

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