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なぜオリジナル要素を入れたのか?大人気作品のアニメ版と原作の“決定的”な違い

  • 2025.2.20
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(C)つるまいかだ・講談社/メダリスト製作委員会

TVアニメ『メダリスト』第6話のアニメオリジナル(通称:アニオリ)がSNSで話題になっている。原作漫画の第1巻にて、巻末のおまけとして掲載された数ページのエピソードを、アニオリを入れ大胆にふくらませてアニメ化したのだ。本稿では、第6話の内容はアニメと原作でどのように違ったのか深掘りしたい。

大きな違い?かたくなに加護家に戻ろうとしない司

アニメでは、名港杯の初級で主人公・結束いのりが第1位になった夜、いのりとコーチ・明浦路司(あけうらじつかさ)は京都で開催される大会の1級枠で出場することを決める。その会話のなかで、司が自らの過去について語るシーンが。

だが、そのとき原作では過去について語る描写はなく、いのりと司は名港杯の初級の優勝を思いきり喜び合う。司がいのりをかついで大はしゃぎしているところにいのりの母と姉が車で現れ、カーッと恥ずかしくなってしまう……というオチだった。

さらに、アニメで司はいのりを見送った後、かつて住み込みで働いていた会社の社長・加護耕一と偶然再会する。司と耕一が再会するシーンは、実は原作の第1巻の巻末に掲載された「Short Program 2 司とお寿司」というエピソードがもとになっている。原作ではお店の中で耕一が司を見つけ、回転寿司店に連れて行くのだ。

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(C)つるまいかだ・講談社/メダリスト製作委員会

回転寿司店に行くのは、アニメと原作どちらも同じ。ただ、原作では回転寿司店で耕一に説得された司は、再び加護家での生活に戻ることになる。耕一と娘の加護羊が残した寿司のシャリを全部食べ、げっそりしている司の姿も。数ページのエピソードということもあり、すんなりと加護家に戻った印象がある。

しかし、アニメでは「とにかく迷惑かけたくないんです」と司は加護家に戻ろうとしない。耕一と羊が残した寿司のシャリも食べなかった。「今の自分に加護さんの家にお世話になる資格はありません」とかたくなに断る司。すると、耕一は妻である加護芽衣子について語り始める。加護家は皆、司のがんばっている姿に救われていたのだ。

バス停で芽衣子が司を再び見かけたときに偶然のふりをして話しかけたり、病気だった芽衣子が亡くなってしまったり。加護家での思い出とあたたかい愛情を思い出し、涙を流しながら耕一にもらった寿司を食べる司。第6話は、こういったアニオリがふんだんに描かれているのだ。

アニオリによってはっきりしたキャラクターの“輪郭”

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(C)つるまいかだ・講談社/メダリスト製作委員会

原作で巻末のおまけとして描かれた加護家のエピソードがアニメ化されたのは、きっと尺の都合もあるのだろう。だが、司と加護家について深掘りしたおかげで、原作未読の視聴者も司の金銭的にくるしい状況や周囲のあたたかい人々の存在を知ることができた。司というキャラクターの輪郭が、よりはっきりしたように思う。

ちなみに、いのりがミミズをスケート場の受付の老人・瀬古間に持っていくエピソードも、原作の第1巻の巻末に掲載された「Short Program 1 いのりと小鳥」がもとになっている。日に日に持ってくるミミズの量が増えるいのりと、大量のミミズに困惑する瀬古間にクスッとなるエピソードだ。

大胆なアニオリによって、司と加護家のエピソードがていねいに描かれた第6話。司は、第1回メダリストキャラクター人気投票で第1位を獲得している人気キャラクターだ。司にフォーカスした第6話は、ファンにとってうれしい回となったのではないだろうか。

メダリスト
ABEMAにて毎週木曜26時より無料放送
放送後1週間、最新話を無料で視聴できる。
[番組URL]https://abema.tv/video/title/25-279
【(C)つるまいかだ・講談社/メダリスト製作委員会】


ライター:まわる まがり
主にアニメについての記事を書くライター。コラムやレビュー、映画の作品評を手がける。X(旧Twitter):@kaku_magari