1. トップ
  2. レシピ
  3. 6000km離れた南米とアフリカで「恐竜の足跡」が一致!大陸移動の新たな証拠

6000km離れた南米とアフリカで「恐竜の足跡」が一致!大陸移動の新たな証拠

  • 2024.8.28

6000キロも離れた「恐竜の足跡」が見事に一致したようです。

米サザンメソジスト大学(SMU)の古生物学研究チームは最近、南米のブラジルとアフリカのカメルーンで見つかった恐竜の足跡の種類や年代が合致したことを発表しました。

これは南米とアフリカが分裂する以前に、恐竜たちが両大陸間を自由に行き来していたことを示す証拠となります。

目次

  • 約6000キロ離れた「恐竜の足跡」が一致!
  • 南米とアフリカはいつ分裂し始めたのか?

約6000キロ離れた「恐竜の足跡」が一致!

SMUの古生物学者であるルイス・ジェイコブス(Louis Jacobs)氏が率いる国際研究チームにより、南米とアフリカで260点以上の恐竜の足跡のセットが発見されました。

南米の足跡はブラジル北東部にあるボルボレマ地方で見つかり、アフリカの足跡はカメルーン北部にあるクム盆地で見つかっています。

両者は現在、南大西洋を挟んで互いに約6000キロも離れています。

恐竜の足跡は当時の河川や湖があった場所に残されていました。

こちらの画像の左がブラジルで見つかったもので、右がカメルーンで見つかったものです。

左:ブラジルで見つかった足跡、右:カメルーンで見つかった足跡
左:ブラジルで見つかった足跡、右:カメルーンで見つかった足跡 / Credit: SMU – Matching dinosaur footprints found on opposite sides of the Atlantic Ocean(2024)

恐竜の足跡の多くは3本指に分かれた「獣脚類」のものでした。

獣脚類とはいわゆる肉食恐竜のグループのことであり、ティラノサウルスやヴェロキラプトルを代表とします。

また足跡の一部には、ブラキオサウルスのような首の長い大型草食恐竜の「竜脚類」や、トリケラトプスやステゴサウルスを代表格とする「鳥盤類」の化石も含まれていたという。

ただ具体的にどんな種類の恐竜の足跡だったのかは特定できていません。

しかし研究チームは2カ所の堆積物に残されていた花粉の化石を採取し、年代測定をしたところ、どちらも約1億2000万年前の白亜紀前期のものである点で一致したのです。

加えて、2カ所で見つかった恐竜の足跡の形状や種類も酷似していたことから、これらの化石は約1億2000万年前にブラジルとカメルーンが地理的に繋がっていて、恐竜たちが自由に行き来していたことを示す証拠として結論づけられました。

実際にブラジルとカメルーンは大陸移動説において、かつて「ゴンドワナ大陸」として一つなぎだったことがわかっています。

南米とアフリカはいつ分裂し始めたのか?

大陸移動説は、大陸が地球表面上を移動してその位置や形状を変えるとする学説です。

現在、地球上の各大陸は離れ離れになっていますが、長い歴史の中で集合と離散を繰り返してきました。

その中で存在した超大陸の一つが「ゴンドワナ大陸」です。

ゴンドワナ大陸は今日のアフリカ大陸、南アメリカ大陸、インド亜大陸、南極大陸、オーストラリア大陸、アラビア半島、マダガスカル島をひとまとめにしたものでした。

アフリカ大陸と南アメリカ大陸をパズルのピースとして眺めると、凹凸がピタリとはまり合うのがわかりますね。

ブラジルとカメルーンはかつて繋がっていた
ブラジルとカメルーンはかつて繋がっていた / Credit: canva/ナゾロジー編集部

これまでの研究によると、ゴンドワナ大陸は約1億4000万年前の白亜紀初期に分裂を始めたと考えられています。

両大陸の間の裂け目は長い時間をかけて徐々に大きくなり、南米とアフリカの下にあるプレートが離れるにつれて、地球内部のマントルからマグマが表面に湧出しました。

そうして新しい海洋地殻が形成され、最終的には両大陸の間を南大西洋が埋めています。

約6600万年前の白亜紀末期には、南米・アフリカ・南極・インド・オーストラリアがそれぞれ完全に分離しました。

ブラジルで見つかった恐竜の足跡
ブラジルで見つかった恐竜の足跡 / Credit: Ismar de Souza Carvalho(SMU, 2024)

ジェイコブス氏いわく、「アフリカと南米をつなぐ最後の狭い地理的な繋がりは、現在のギニア湾沿いのカメルーン海岸とブラジル北東部の肘(出っ張りの部分)だった」といいます。

つまり、カメルーンとブラジルはアフリカと南米を自由に行き来できた最後のルートであり、今回の研究からそのハイウェイが少なくとも1億2000万年前までは繋がっていたことが示されました。

その後、カメルーンとブラジルの通路が切断されたことで生き別れてしまった恐竜たちもいたかもしれません。

今回の知見は、恐竜の足跡の一致から大陸移動のプロセスをより詳しく理解できた点で貴重な成果となっています。

参考文献

Matching dinosaur footprints found on opposite sides of the Atlantic Ocean
https://www.smu.edu/news/research/matching-dinosaur-footprints-different-continents

Matching dinosaur prints found on opposite sides of the Atlantic Ocean
https://www.zmescience.com/science/geology/matching-dinosaur-prints-found-on-opposite-sides-of-the-atlantic-ocean/

元論文

THE EARLY CRETACEOUS BORBOREMA-CAMEROON DINOSAUR DISPERSAL CORRIDOR(PDF)
https://smu.app.box.com/s/e2ghm8ycjb1zf6hu9pooypdl4sosylbn

ライター

大石航樹: 愛媛県生まれ。大学で福岡に移り、大学院ではフランス哲学を学びました。 他に、生物学や歴史学が好きで、本サイトでは主に、動植物や歴史・考古学系の記事を担当しています。 趣味は映画鑑賞で、月に30〜40本観ることも。

編集者

ナゾロジー 編集部

元記事で読む
の記事をもっとみる