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地クラブの工房、千葉〈マスダゴルフ〉へ。使う人の潜在能力を引き出すクラフツマンズ・ウェッジ

  • 2024.8.28
〈マスダゴルフ〉の《スタジオウェッジ M425》

「目指しているのはプレーヤーの力を引き出すクラブ。足りない技術を補う道具ではなく、使ううちにスイングが良くなるクラブです」

そう話すのは、千葉県八千代市の〈マスダゴルフ〉代表でクラブデザイナーも務める増田雄二さん。隅々まで掃除の行き届いた工場内には、増田さんが海外で集めたポップなパネルもディスプレイされている。

〈マスダゴルフ〉本社外観
国道沿いの〈マスダゴルフ〉本社。商品購入やフィッティングができるほか、天然芝ベントグリーンなど予約制練習施設も。
〈マスダゴルフ〉のコンテナを改造した作業場
プロ用クラブの溶接や修理など、集中力を要する工程を行う作業室。クラブデザイナーでもある増田雄二代表自らが、コンテナを改造して作った空間だ。壁にはヴィンテージショップなどで買い集めた看板やパネルも。
〈マスダゴルフ〉の工場内
粉塵吸引パイプやワゴンのデザインも吟味。快適に整えられた工場。
〈マスダゴルフ〉のパターのネック
プロ用パターのネックを手作業で熱加工。ネック角度を変え(右)、シャフトを差す重心を手前にすることで“優しいパター”に変える。

「スポーツは楽しみ楽しませるもの。道具を作る環境も、楽しく働けるようにしておきたいんです」

始まりは、自動車のエンジニア出身の増田さんが、独自に作っていたパター。これが道具に厳しいことで知られるジャンボこと尾崎将司の目に留まり、尾崎が使う全クラブの開発と製作を担うことになったのだ。

その後「プロの道具を作る技術を、一般プレイヤーにも提供したい」と、〈マスダゴルフ〉を設立したのが2004年。今もドライバーやパターから天然ゴム製のグリップやシャフトまで、すべての道具を自社で手がけている。中でも名高いのは《スタジオウェッジ M425》。

アプローチやバンカーからの脱出時など短距離に使うウェッジのうち、ネックの形が特徴的でボールにスピンをかけやすいものを“グースネック”と呼ぶ。M425は、このグースネックウェッジの代名詞的存在だ。

「軟鉄鍛造鋼をコンピューター加工と職人の手削りで仕上げたヘッドは、ボールが食いつくような打感が特徴。構えた時に低めで重い弾道のイメージが湧き、そのイメージ通りの弾道で球が飛ぶように作っています」

〈マスダゴルフ〉代表・増田雄二
代表の増田雄二さん。全盛期の尾崎将司を道具で支え、今も多くのプロから信頼されるクラブデザイナー。300ヤード超えの飛ばし屋。
〈マスダゴルフ〉手作業でウェッジの微調整作業の様子
研磨機を使い、手作業でウェッジを成形した後、微調整を繰り返す。
〈マスダゴルフ〉ロゴ入れ作業の様子
日本のもの作りを守るため、国内の古いグリップ工場から設備と技術を受け継いだ。天然ゴムの配合からロゴ入れまで一本一本手作りするほか、ヘッド、シャフト、グリップの組み上げも自社で行う。

そんな増田さんに、研磨の工程を見せてもらう。高速回転する研磨機に当てたヘッドを動かしながら、削り続けること約5分。一瞬も機械からヘッドを離さず、一筆書きのような曲線で立体を作る。型もなく目測での作業だけれど、この時点で重さはすでに理想と近い。

「道具は重量が肝心。理想の形状に仕上がると同時に、重さも理想の数値になっているのが一流の仕事です」

プロ用だけでなく、一般用も使い手に合わせて作ることが多い。「お客さんには職人の顔が見えるし、職人も相手のことをよく知って、この人のためにと努力する。そういう気持ちは必ずモノに宿ります。一流の職人が作ったクラブは、構えた時に“打てる気”がするもの。だから、一度使うと手離せなくなるんです」

〈マスダゴルフ〉の《スタジオウェッジ M425》
尾崎将司の愛用モデルを基に製品化。ソール幅が広く打点が安定し、打ち出しの高さが揃う。打音の良さも魅力。写真はサンドウェッジ。ロフト角58度、銅メッキ仕上げ。《スタジオウェッジ M425》特注35,200円~。

Information

マスダゴルフ

住所:千葉県八千代市平戸294-1 
TEL:047-406-5140
HP:www.masdagolf.com

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