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【夏に起こりやすい子どもの肌トラブル】予防法や治療法は?知っておくべき対策を解説!【医師監修】

  • 2024.8.28

子どもは体温が大人に比べて高いほか、新陳代謝が活発です。そのため、夏になるとあせもなど肌トラブルを起こしやすくなります。そこで今回は、夏に起こりやすい子どもの肌トラブルをテーマに、注意点や対策などをご紹介いたします。

子どもの肌は大人に比べると半分程度の厚みと言われていて、とてもデリケートです。そのため肌トラブルを起こしてしまったら、症状に合った薬を選び、適切に対処することが重要なほか、症状によっては早めに医療機関を受診することが大切になります。

子どもが肌トラブルを起こす理由や、夏場の肌トラブルにはどのようなものがあるかを知っておきましょう。

子どもが肌トラブルを起こしやすい理由

汗を分泌する汗腺の数ですが、子どもと大人は同じです。しかし、子どもの体表面積は大人の半分程度しかないため、汗腺が密集していて汗をかきやすい状態になります。そのため、子どもの肌はあせもなどのさまざまなトラブルが起こりやすいのです。

また、汗のトラブル以外でも虫に刺されるなど、体にかゆみが出れば子どもは無意識に掻いてしまうため、とびひなどの感染症を引き起こしてしまうことも……。

そこで、特に夏場は公園など外遊びから帰った際には、子どもの肌の状態を大人がしっかりと観察してあげましょう。異常があったときは早めに対処することで、肌トラブルの悪化を防げます。

夏場に多い子どもの肌トラブルとは?

夏場は汗をかきやすいほか、半そでやタンクトップなど肌の露出面も増えるため、下記のような肌トラブルが起きやすくなります。

●あせも

たくさん汗をかくことで汗腺が詰まり、皮膚内に汗が溜まることで生じます。赤く小さな湿疹ができるタイプと、白っぽい水ぶくれのタイプの2つがあります。あせもができやすい箇所は、おでこや頭、首の周り、わきの下、背中、肘や膝の裏側、おむつのギャザー部などです。

赤いあせもは「紅色汗疹(こうしょくかんしん)」と呼ばれる赤いブツブツで、かゆみがあるほか、チリチリとした軽い痛みや熱感があり、掻きむしることで湿疹になってしまったり、そこへ細菌が感染するととびひを引き起こしてしまうこともあります。

また、白いあせもは「水晶様汗疹(すいしょうようかんしん)」と呼ばれる透明の小さなポツポツ(小水疱)ですが、痛みやかゆみがなく、涼しくしていれば半日ほどで治ってしまうのが特徴です。

●おむつかぶれ

ポツポツとあせものような湿疹ができたり、おしりが赤くなったりします。おむつかぶれが起こってしまう原因は、おしっこやうんちが肌を刺激する成分(アンモニアや酵素など)を含んでいるからです。また、排泄後のおむつの中は湿度が上がり、ムレやすくなるので、排泄してから時間が経ってしまうと、排泄物の刺激を肌が受けやすくなってしまいます。ほかにも、下痢が続いたときや汗が多い夏場は特にムレやすくなるので、注意が必要です。

●とびひ(伝染性膿痂疹)

虫刺されやあせも、掻き傷、湿疹などにレンサ球菌や黄色ブドウ球菌が感染することでかゆみを伴う水ぶくれができます。水ぶくれは破れやすく、破れて中から汁が出てくるとジュクジュクし、掻いた手で触れた場所に次々と飛び火してアッという間に広がってしまうため「とびひ」と呼ばれています。

●水いぼ

7歳以下の子どもに多く見られる皮膚の感染症です。皮膚に小さな丸いいぼ(1〜5mm程度)ができるウイルス性の皮膚感染症で、かゆみや痛みはほとんどありません。いずれは自然治癒することが多いのですが、治る前にいったん数が増えるほか、感染力が強いためほかの人にうつしてしまうこともあるので、子どもの水いぼに気づいたら早めに病院を受診しましょう。

各症状の治療法や予防法

あせもの治療法と予防法

●治療法

水晶様汗疹(すいしょうようかんしん)は、かゆみなどがないため、症状が出ても気がつかないケースも多く、特別な治療をおこなわなくても涼しくしていれば1日以内に症状が治まります。

紅色汗疹(こうしょくかんしん)は、赤みやかゆみが出るため、炎症やかゆみを抑えるためにステロイド外用薬を使用します。また、細菌感染を起こしている場合は、抗生剤を使うこともあります。

●予防法

吸湿性と通気性の高い衣類を選ぶようにし、汗をかいたらこまめに拭いたり、着替えるようにします。汗をたくさんかいたときには、シャワーを浴びて清潔な状態にするのが好ましいです。また、汗をかいてかゆくなってしまっても、冷やしたりかゆみ止めを塗ったりして、掻かないように注意することも大切です。

おむつかぶれの治療法と予防法

●治療法

おむつ替え時に患部を清潔な状態にしたあと、ワセリンなどの保護作用のある塗り薬を塗布します。炎症がひどいときにはステロイド外用薬を使用することも。また、皮膚がたただれているときにはアズノール軟膏や亜鉛華軟膏など、傷を治す薬を使う場合もあります。

●予防法

こまめなおむつ替えを心がけ、子どもがおむつに排泄したあとはすぐ交換するようにしましょう。おしり拭きの薬品でかぶれてしまうこともあるので、ノンアルコールなど低刺激の物を使うのがオススメです。時間のあるときは、水で洗い流すことが予防に最も効果的です。

とびひ(伝染性膿痂疹)の治療法と予防法

●治療法

感染範囲が広くなければ抗菌薬の軟膏を塗布しますが、全身に広がるなど広範囲の場合は抗菌薬の塗り薬に加えて、抗菌薬の内服を併用します。また、かゆみが強い場合にはかゆみ止めのヒスタミン剤を使用します。

●予防法

虫刺されやすり傷などを手で掻かないように注意します。また、爪はできるだけ短く切るようにし、外出から帰ったら手を洗いましょう。シャワーやお風呂に毎日入って、肌を清潔な状態に保つことも予防に繋がります。

水いぼの治療法と予防法

●治療法

かゆみを伴う場合は、かゆみを抑える塗り薬や飲み薬を使用します。あまりにもたくさん(100個以上)生じている場合は自然治癒を待つこともありますが、基本はすべて除去して早く完治させます。治療法は、専用のピンセットを使って1つずついぼをつまみ、中の白い塊を出すことで除去します。なお、この方法は強い痛みを伴うため、除去する前に痛みを軽減させる麻酔テープを貼っておくこともあります。

●予防法

乾燥肌やアトピー性皮膚炎など皮膚のバリア機能が弱いと、水いぼに感染しやすいです。そのため、日ごろから清潔を保ち十分な保湿をおこない、バリア機能の強い健康的な肌を保つことがポイントになります。また、爪は短く切り、できるだけ肌を傷つけないようにすることが大切です。

肌トラブルを悪化させないための対策

基本的には肌を清潔な状態に保つことがポイントになります。そのため、夏場は毎日シャワーやお風呂に入り、しっかりと体を洗って汚れを落としましょう。首の下やわきの下などのくびれ部分は特に汚れが溜まりやすいので、丁寧に洗ってください。

また、子どもは肌のバリア機能が弱いです。紫外線は肌を傷める原因になるので、外出する際は、低刺激の子ども用の日焼け止めを塗りましょう。ほかにも、外遊びの前には虫よけスプレーを使用したり、虫に刺されてしまったら子どもが自分で掻きむしるのを防ぐために、パッチ剤などで患部を覆うようにすると良いでしょう。

子どもの肌トラブルは早期発見や早期治療が重要になります。子どもの年齢によっては何か不快に感じれば伝えることもできますが、ほんの小さな虫刺されでも、寝ている間に無意識に掻きむしってしまい、症状が悪化してしまうことも。夏場は特に肌のトラブルが起きやすい時期でもあるので、入浴時などに1日1回はお子さんの体のチェックをするように心がけてみてください。


監修者:医師 神奈川県立こども医療センター皮膚科部長、横浜市立大学皮膚科臨床教授 馬場 直子 先生

1983年滋賀医科大学医学部卒業、1994年横浜市立大学皮膚科講師を経て、神奈川県立こども医療センター皮膚科部長、2015年より横浜市立大学皮膚科臨床教授を兼務。日本皮膚科学会専門医。専門分野は小児アトピー性皮膚炎、母斑、血管腫、皮膚感染症など小児皮膚科学全般。

ベビーカレンダー編集部

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