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思わず感情移入した…“新相棒”抜擢の莉子の評価は? ドラマ『GO HOME~警視庁身元不明人相談室~』第6話考察レビュー

  • 2024.8.27
『GO HOME~警視庁身元不明人相談室~』第6話 ©日本テレビ

ドラマ『GO HOME〜警視庁身元不明人相談室〜』(日本テレビ系)が土曜日夜9時より放送中だ。本作は、“名もなき遺体”の身元を特定し、家族の元に返すために小芝風花&大島優子のバディが奔走する、ミステリー×ヒューマンドラマ。今回は第6話のレビューをお届けする。(文・まっつ)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価】
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【著者プロフィール:まっつ】
1993年、東京生まれ東京育ち。本職はスポーツウェブメディアの編集者だが、エンタメ・お笑いライターとして修行中。1週間に20本以上のラジオを聴く、生粋の深夜ラジオ好き。今一番聴くべきラジオは『霜降り明星のオールナイトニッポン』。好きなドラマは『アンナチュラル』、『いちばんすきな花』、『アンメット』。

『GO HOME~警視庁身元不明人相談室~』第6話 ©日本テレビ

『GO HOME~警視庁身元不明人相談室~』第6話 ©日本テレビ

【写真】小芝風花&莉子による新バディの魅力あふれる劇中カット! ドラマ『GO HOME~警視庁身元不明人相談室』劇中カット一覧

帰る場所があるというのは誰にとっても救いだ。一人暮らしをしていたとしても、仕事で辛いことがあったとしても、そして推しが死んだとしても…誰かが自分の帰りを待っている場所があるということは心の拠り所になるのではないだろうか。

その場所は家族やパートナーがいる“家”だけには限らないことを、『GO HOME~警視庁身元不明人相談室~』(日本テレビ系)は教えてくれる。

第6話では歌舞伎町のビルの屋上から命を絶った少女・キイちゃん(白本彩奈)の死の理由と出生を追い、三田桜(小芝風花)と、キイちゃんと親しかったというトー横キッズの少女・ハルピ(莉子)が“新バディ”として奮闘する。

2人の調査からキイちゃんの地元が静岡県御殿場市だと判明し、実家の住所も突き止める。娘である『奈良岡紗季』の死を知って母・奈良岡文子(遊井亮子)が肩を落とす一方、当初遺骨の引き取りを拒否していた再婚相手の葛城拓真(和田聰宏)はキイちゃんのリュックの中に15万円が入っていたことを知ると、「やっぱ引き取るわ」と態度を一転させるのだった。

『GO HOME~警視庁身元不明人相談室~』第6話 ©日本テレビ

『GO HOME~警視庁身元不明人相談室~』第6話 ©日本テレビ

母親はともかく“毒親”といえる父親が登場したことで、どのようなラストになるのかと一瞬不安な気持ちを抱いたが、杞憂に終わった。桜とハルピは、拓真と文子に15万円を差し出し、供養は警察で行うことを提案。あっさりと受け入れた拓真は「生意気なこと言って家飛び出して、結局死んじまうんだから…かわいそうにな」とキイちゃんをさげすむ。

すると、ハルピは「キイちゃんはかわいそうなんかじゃない! あんたと一緒に死んでくれる人がいる!? あんたが死んで、泣いてくれる人がいる!? 少なくともキイちゃんには、そういう仲間がいたよ。あんたなんかよりキイちゃんの方が、よっぽど幸せだったんだから!」と声を上げるのだった。

最終的に、娘にDVをしていた拓真と暮らし続け、遺骨を引き取らなかった母・文子の決断に何も思わないわけではないが、紗季に目を向ければ“読後感”は異なる。

紗季は学校にも家にも居場所はなかったが、死んだ時に涙を流してくれる友人はいた。それだけで、彼女の人生がただ「かわいそう」なものではなかったということを証明している。

たとえ家族同士であってもすべてはわかりあえないことをここまでの6話で繰り返し描いてきた『GO HOME』らしい結末であると感じた。と同時に「家族がいる場所以外にも帰るところがある」というメッセージに救われた人も少なくないのではなかろうか。

『GO HOME~警視庁身元不明人相談室~』第6話 ©日本テレビ

『GO HOME~警視庁身元不明人相談室~』第6話 ©日本テレビ

大人になるとわかるが、友人という存在は貴重だ。強制的に毎日顔を合わせる学校という場所がなくなると、わざわざ予定を合わせて会おうと思う友人が存外少ないことを痛感する。

裏を返せば、大人になるにつれて個人の趣味や考え方が多様化し、リアルな人間同士の関係が希薄化していくことの証左でもある。しかし、第6話を観て『自分が死んだ時に家族以外で泣いてくれる人はどれだけいるのか」と改めて考えさせられた。

ドラマを観ていてついつい自分の人間関係を見つめ直してしまったのは、友人であるハルピを演じた莉子の芝居が真に迫っていたからだろう。

「ずっとマスクをつけている役だったので、顔全体のお芝居というより、目のお芝居をいつも以上に気をつけて演じていました」と本人が振り返っているとおり、亡くなった友人のために声を上げる見せ場はもちろん、他の場面でも印象的なまなざしを見せた。

家族同士の絆や、友情などにフォーカスを当ててきた『GO HOME』だが、第7話では“遺留犬”が登場。どうやら動物に焦点が当てられるようだ。

次回予告では、堀口(戸次重幸)が深刻そうな表情を浮かべたり、利根川室長(吉田鋼太郎)が複雑な顔を見せるなど、何やら身元不明人相談室に不穏な空気が漂い始め、今後の展開にも目が離せない。

(文・まっつ)

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