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奥野壮”城島”の名演に涙腺崩壊…ギャグシーンで再び泣かされた理由とは? 『ビリオン×スクール』第8話考察レビュー

  • 2024.8.27
『ビリオン×スクール』第8話 ©フジテレビ

山田涼介主演のドラマ『ビリオン×スクール』は、日本一の財閥系企業のトップである億万長者が、身分を隠して高校教師となり、生徒と様々な問題を通して成長する痛快・学園エンターテインメント。今回は、第8話のレビューをお届けする。(文・苫とり子)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
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【著者プロフィール:苫とり子】
1995年、岡山県生まれ。東京在住。演劇経験を活かし、エンタメライターとしてReal Sound、WEBザテレビジョン、シネマズプラス等にコラムやインタビュー記事を寄稿している。

『ビリオン×スクール』第8話 ©フジテレビ
『ビリオン×スクール』第8話 ©フジテレビ

【写真】奥野壮の名演技に泣かされる…スポーツ大会で団結する0組を堪能できる劇中カット。『ビリオン×スクール』劇中カット一覧

第8話では、加賀美零(山田涼介)が絵都学園に赴任して初のスポーツ大会が開催される。毎年トラブルばかり起こす0組は出場資格を剥奪されていたが、「全競技最下位なら加賀美をクビにする」という条件で出場が許されることに。

さっそくティーチ(安達祐実)と作戦を練る加賀美は唯一勝率のある男子リレーに賭け、元陸上部のエース・城島佑(奥野壮)をメンバーの1人に選定するのだった。

しかし、これまで生徒たちを更生させてきた成功パターンは城島には通用しない。加賀美は作戦を変更し、城島の代わりに選んだ西谷翔(水沢林太郎)をはじめ、他のメンバーを大会までに鍛えようとする。

一方で教師としての自覚が湧いてきたのか、取り合ってもメリットはないはずなのに城島のことを放っておけない加賀美。とことん向き合うことを決め、彼が住む寮を訪ねる。そこで明らかになるのは、城島の東堂雪美(大原梓)に対する熱い思いだ。

雪美からの電話を受け、反発する加賀美に頭を下げてまで彼女のもとへ一目散に駆けつけた城島。そこまで尽くす理由は、彼にとって雪美が命の恩人だから。

城島はかつて陸上部のエースだったが、怪我で陸上部引退を余儀なくされた。自分の価値を信じられなくなり、もう死のうとトラックの前に飛び出そうとしたその時。声をかけてくれたのが、雪美だったのだ。

それをきっかけに話すようになった二人だが、雪美が校長の娘ということで陰口を叩かれるように。そんな彼女を守るために不良となった城島。

これまでは手がつけられない粗暴な生徒に思えていたが、どんどん自分から人が離れていく不安に怯える雪美を見つめる瞳は優しい。城島も本当は心のどこかで加賀美のことを認めているが、雪美のためにも取り込まれるわけにはいかなかった。

『ビリオン×スクール』第8話 ©フジテレビ
『ビリオン×スクール』第8話 ©フジテレビ

結果、城島はスポーツ大会当日に教室を燃やそうとする。その後、すんでのところで教室に駆けつけた加賀美と城島のやりとりは涙なしには見られない。

加賀美は城島を煽るような発言を繰り出し、わざと殴られる。いつものようにAIスーツを着用しているのだから、本当は避けられるはずなのに避けなかったのは正しい力の使い方を教えるため。加賀美なりに真剣に生徒と向き合おうとした結果だ。

そして城島と出会う前と出会った後の雪美の表情をプロジェクターで映し出す加賀美。それを見比べると、城島と出会ってからの雪美は明らかに笑顔が減っていた。かつて雪美と車椅子で転んだ人を一緒に起こした時は「さすがスポーツマン、力あるね」と笑顔で言ってくれたのに、暴力を振るうようになってから同じ言葉を言われた時、彼女の表情は暗く沈んでいた。

自分のせいで間違った力の使い方をさせているという罪悪感は少なからず雪美に影を落としたのではないだろうか。だけど、雪美も城島が自分を思ってくれていることに気づいているから、一緒に悪の道へ堕ちるしかなかったのだろう。

雪美を守っているはずが、彼女の人生を狂わせていた。それに気づいた時、城島は堰を切ったように涙を流す。後悔と罪悪感で感情が入り乱れ、言葉にならない声を上げる奥野の演技に胸が締め付けられた。

その後、怪我をした西谷の代わりにアンカーを担い、チームを優勝に導いた城島。「先生、あいつのことお願いします」と雪美を託すつもりで加賀美にバトンを渡すが、察しの悪い彼は受け取らない。すかさずツッコミを入れる芹沢一花(木南晴夏)と加賀美のやりとりを、目に涙を浮かべながらも笑顔で見つめる城島の姿にまた泣かされる。0組の中心人物を任されたのも納得の名演だった。

『ビリオン×スクール』第8話 ©フジテレビ
『ビリオン×スクール』第8話 ©フジテレビ

これで加賀美が更生すべき生徒もあと一人。クラスで完全に孤立してしまった雪美と加賀美は向き合う必要がある。ただ気になるのは、彼女の母親である東堂真紀子(水野美紀)と加賀美の関係だ。

娘がクラスに居づらい状況を見かね、学校を辞めて海外に留学をすることを雪美に提案した真紀子。「こうなったのは誰のせい!?」と反論する雪美に、真紀子は「あなた何を知ってるの?」と問いかける。「それ、私に言わせること?」という回答から、雪美は明らかに何らかの秘密を握っており、それは彼女から笑顔がなくなった理由と繋がっているのだろう。

さらには、ラストでティーチが「次は東堂雪美さんの問題と向き合うのよね。だからお母さんの東堂真紀子さんとも向き合うことになりそうね。よかった」「だって、あの人は加賀美くんにとっても…」と言いかける。

言い切る前に芹沢がティーチのスイッチをオフにするが、加賀美は何かに気づいている様子で「東堂真紀子は俺の担任だったんだろ?」と問いかけるのだった。小学生の頃、屋上から転落し、一部の記憶を失っていると見られる加賀美。

もし当時、真紀子が担任だったとしたら、転落の原因に何らかの形で関わっている可能性もある。死のうと思ったことがあるかという城島の質問に一瞬、加賀美の表情に戸惑いの色が見られたのも気になるところ。次週の予告には「全伏線回収」とあり、謎に包まれた加賀美の過去がついに明らかとなる。

(文・苫とり子)

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