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ロンドン、トロント、メルボルンのストリートアート聖地巡り【一度は見るべき世界のアート2024 vol.2】

  • 2024.8.26

【ロンドン】ショーディッチのブリック・ストリート

ストリートアートの聖地・ブリック・レーンは、古着屋やアジア系レストランが集まっていることでも有名。 Photo_ Getty Images
Brick Lane In Londonストリートアートの聖地・ブリック・レーンは、古着屋やアジア系レストランが集まっていることでも有名。 Photo: Getty Images

ロンドンのショーディッチ地区にあるブリック・レーンやリビングトン・ストリートはストリートアートの聖地のひとつ。かつて治安の悪かったこの地域に、90年代からアーティストたち移り住み、加えて2010年以降、政府のイースト・ロンドン・テック構想によって多くのスタートアップがオフィスを構えたことも後押しして、街の雰囲気が一変。移民の街のエキゾチックな空気感を残しながら、個性的なショップやおしゃれなカフェやレストランが集う人気エリアになっている。

2024年8月5日から連続してバンクシーが新作を発表中。ブリック・レーンの3匹のサルは7日に公開。Photo_ Getty Images
Mysterious street artist Banksy's third mural on Brick Lane2024年8月5日から連続してバンクシーが新作を発表中。ブリック・レーンの3匹のサルは7日に公開。Photo: Getty Images

この街をストリートアートの聖地へと押し上げた立役者は何といってもバンクシーだろう。政府公認のグラフィティエリアという偽のロゴを、ゲリラ的にあちこちの壁に描き、自由に描けるスペースを増やしていったというのは有名な話。今月に入って、ロンドン市内で動物を描いた新作を9日連続で公開。3作目として、ブリック・レーンの鉄道高架橋に3匹のサルの絵が現れた。バンクシーのほかにも、シンプルな線で構成されたユニークな人物画で知られるスティックや、キャメロン英首相がオバマ米大統領に作品を贈ったことでも有名なベン・アインなど、4半世紀ほどのストリートアートの歴史を彩ってきた描き手たちの名作に出合うことができる。

スティックの作品はブリック・レーンのほか、近隣のストリートに点在する。Photo_ Aflo
Figure by Stik, London, E1, England, United Kingdom, Europeスティックの作品はブリック・レーンのほか、近隣のストリートに点在する。Photo: Aflo

ブリック・レーン(Brick Lane)

Brick Lane, London E1 6QL, U.K.

【トロント】グラフィティ・アレイ&クイーン・ストリート・ウェスト

テレビ番組で毎週放送されたため、場所は知らなくても、見たことがあるというカナダ人は多い。Photo_ iStock
Toronto Grafitti Alleyテレビ番組で毎週放送されたため、場所は知らなくても、見たことがあるというカナダ人は多い。Photo: iStock

カナダ最大の都市トロントは、先住民のヒューロン族に始まる長い歴史の中で、世界中から移民を受け入れてきたことで生まれた多様なカルチャーが交じり合う街だ。トロントの市当局は以前から、街中にあふれる落書きに頭を悩ませていたが、それを逆手に取り、2012年にStreetArTorontoプログラムを開始。市内の塀や壁、公共スペースを、地元のアーティストに積極的に開放したことで、落書きはカラフルなミュールアートへと変わっていった。エリクサー・エリオット、Uber5000、Poserなど、地元で名の通った作家たちに加え、作者不詳の作品が無数に存在し、個性を放つアートであふれる街の散策を楽しむのがトロント流だ。

街のあちこちで見かけるイエローバードは、トロントを代表するアーティストの一人、Uber5000のキャラクター。Photo_ Getty Imaegs
Graffiti encourages people to get the jab and is labelled with the AZ, Astra Zeneca vaccine. Graffiti Alley that runs parallel to Queen Street West. Ontario tightens restrictions to slow the spread of the COVID-19 pandemic街のあちこちで見かけるイエローバードは、トロントを代表するアーティストの一人、Uber5000のキャラクター。Photo: Getty Imaegs

ダウンタウンの西寄りに、およそ1kmにわたって両面の壁に隙間なくアートが描かれたグラフィティ・アレイと呼ばれる路地がある。きっかけは2000年代に行われた24時間限定で落書きし放題というイベントだが、その後人気テレビ番組で、毎週この路地が背景に使われたことで一躍カナダ中にその存在が知れ渡った。グラフィティ・アレイから歩いて数分のクイーン・ストリート・ウェストにもストリートアートがあふれている。2004年にオープンした、わずか19室ながら全館がアートに満たされたヒップなホテル「ドレイク・ホテル」を核に、自然発生的にアーティストたちが集まったサブカルの街だ。

古い作品は定期的に新しい作品にリプレイス。一度見た作品が、次に訪れたときにはなくなっていることも。Photo_ Getty Images
Toronto Graffiti Alley古い作品は定期的に新しい作品にリプレイス。一度見た作品が、次に訪れたときにはなくなっていることも。Photo: Getty Images

グラフィティ・アレイ

Graffiti Alley, Toronto, Ontario M5V 2W1, Canada

クイーン・ストリート・ウェスト

Queen Street West, Toronto, Ontario, M5V 2B4, Canada

【メルボルン】ホージャー・レーン&AC/DCレーン

隙間なくという言葉がぴったり。ぎっしりと書き込まれたアートたち。Photo_ Getty Images
General Scenes of Melbourne As City Named World's Most Liveable City隙間なくという言葉がぴったり。ぎっしりと書き込まれたアートたち。Photo: Getty Images

メルボルンのホージャー・レーンは、CBDと呼ばれる中心街の南端に位置する、フリンダース・ストリートとフリンダース・レーンを結ぶ小径。90年代後半から壁がストリートアートで覆われるようになり、石畳の通りはフォトジェニックな空間として観光客にも人気だ。ほかの都市の聖地と異なり、落書きがまだ合法化されてないこともあって、作品が保護されていない。2020年には覆面アーティストがストリートをカラー・ボムして塗りつぶし、有名なアートが失われるといったことも。

生乾きのペンキやスプレー塗料の匂いも、ホージャー・レーン“体験”の一部。Photo_ Getty Images
Tourists walk by a graffiti artist spraying on walls in生乾きのペンキやスプレー塗料の匂いも、ホージャー・レーン“体験”の一部。Photo: Getty Images

ただ、常に進行形で、新しいアートに塗り替えられることは、この通りの魅力のひとつでもある。スプレー塗料が乾ききっていない作品に出合うことも多く、制作中のアーティストを見かけることも。無名の才能が自分を表現する場という、ストリートアートの原点に立ち返ったような場所だ。歩いて5分ほどの距離にある、オーストラリア出身のヘビメタバンド・AC/DCにオマージュを捧げたAC/DCレーンでは、有名ミュージシャンを取り上げたポートレートや、ビルの壁面一杯を使った巨大なミューラルなど、音楽にインスパイアされたアートピースが顔を見せる。メタル、グランジからポップまで、見ているだけでリズムとメロディーが聞こえてきそうだ。

AC/DCレーンのランドマークとなっている花と蝶のミュール。Photo_ Getty Images
Daily Life In MelbourneAC/DCレーンのランドマークとなっている花と蝶のミュール。Photo: Getty Images

ホージャー・レーン

Hosier Lane, Melbourne VIC 3000, Australia

AC/DCレーン

AC/DC Lane, Melbourne VIC 3000, Australia

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