「私、要領が悪くて」そう思い込んで、何もかも抱え込んでしまった後輩／夫ですが会社辞めました

ある日突然、会社に行けなくなって休職してしまった夫・川田俊。夫のかわりに働いて家計を支える妻・沙月。出口の見えない状況をなんとかしたいと思った妻の沙月は、休日に立ち寄った海で引っ越しを夫に提案します。都心から少し離れた自然豊かな葉山の町で、『主夫』になった夫と、『大黒柱』を担う妻の生活が始まりました……。

神奈川県葉山町在住の漫画家・とげとげ。さんが、ご自身の体験や周囲の方々への取材をもとに、現代を生きる夫婦や家族の在り方を丁寧に描く『夫ですが会社辞めました』。今回は、仕事を抱え込んでしまった沙月の後輩にまつわるエピソードをお届けします。

沙月の隣のチームの後輩・星野さんが、同じチームの先輩たちとの間で板挟みになり、多くの作業を抱え込まされていました。沙月は彼女の状況を心配しましたが、チームが違うのであまりでしゃばるのも良くないと思い、それ以上踏み込むのをためらってしまいます。

一方、川田家の向かいに住む高齢夫婦・仲本さんは認知症が進んでゴミ捨てもままならなくなっていました。川田家の裏に住むおばあちゃんは、そんなゴミの様子を見てすぐに民生委員に連絡。遠方に住む仲本さんの息子がやってきておばあちゃんに感謝しているのを見た沙月は、「本当に大変そうな時には、一歩踏み込むことも必要かもしれない」と思い直します…。

本当にしんどいときは他人に救いを求める余裕もない……そんな状況に身に覚えがある沙月は、いつもの距離感を超えて後輩の星野さんに声をかけることにしました。沙月の言葉でやっと自分自身の置かれた状況に気がつくことができた星野さんも、それをきっかけに行動を起こすことができました。「ちょっとおせっかいかもしれない」と思うことでも、時には行動してみることも大切かもしれませんね。

著＝とげとげ。