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世界からお届け!SDGs通信 パリ編。フードロスをなくし、必要とする人に食べ物を届けるフリーアクセス冷蔵庫

  • 2024.8.25
世界からお届け!SDGs通信パリ編。フードロスをなくしつつ、必要とする人全てに食べ物を届けるフリーアクセス冷蔵庫。

余った食べ物を“シェア”する取り組み「フリーゴ・ソリデール」

2021年のフランスにおける食品廃棄物は約880万トン。そのうち47%が家庭ごみだという。毎年1人につき60kgの食品廃棄物が生まれているという計算になる(*1)。一方、37%のフランス人が健康的な食事を十分に摂れていないとするデータも報告されている(*2)。

これらの問題にアプローチするには、余剰をシェアして供給にまわす仕組みが有効だ。「フリーゴ・ソリデール(連帯冷蔵庫)」はまさにそのサイクルを実現。小さな冷蔵庫をレストランの前などに置き、売れ残りや、家庭で余った食材を入れられるようにする。そして、誰でも中身を取っていっていい。手続きや登録は不要だ。2017年にドゥーニア・メブトゥルがパリで立ち上げ、2024年現在、全国でおよそ160基の冷蔵庫を設置。約3000人がその恩恵を受けているという。

2024年6月には、保険組合「イデンティテ・ミュチュエル」の協力のもと、マルセイユのルーエ地区公民館前に冷蔵庫をセッティング。地域の小学生たちがセレモニーに参加した。この冷蔵庫の場合は、平日の午前8時から午後6時までフリーアクセス。個人、団体、小売業者などが食品を持ち込むことができる。(家庭料理や開封済み製品、アルコール類を除く。生肉や生魚も推奨されない)。

もちろん、ただ冷蔵庫を置くだけでは不十分なこともあり、実際には需要が供給を上回る地区も多い。「フリーゴ・ソリデール」は設置場所の責任者と定期的に連絡を取り、フライヤーの配布などで地域の意識を高める取り組みを続けている。

地元の小学生とともに冷蔵庫の設置を祝う
2024年6月、マルセイユ・ルーエ地区で地元の小学生とともに冷蔵庫の設置を祝う。
パックに入ったサラダやヨーグルトなどを提供
パックに入ったサラダやヨーグルトなどを提供。「些細でシンプルな行動で、困っている人に手を差し伸べることができる」のが特徴。
「フリーゴ・ソリデール」の創設者、ドゥーニア・メブトゥル
「フリーゴ・ソリデール」の創設者、ドゥーニア・メブトゥル。

データソース
*1:https://agriculture.gouv.fr/gaspillage-alimentaire-des-nouvelles-donnees-pour-la-france
*2:https://www.nestle.fr/observatoire-vulnerabilites-alimentaires

Information

Les Frigos Solidaires

2017年、ドゥーニアが母親マリカと共にパリの食堂に食材シェア用の冷蔵庫を設置したのが始まり。ロンドンの屋内マーケットで目にした取り組みに着想したものだという。フードロスをなくしながら社会的な助け合いの実現を目指す。

Facebook:@LesFrigosSolidaires

profile

黒木許子

くろき・もとこ/ファッション誌やカルチャー誌で編集経験を積む。学術系コンテンツへの興味に導かれ、パリの国立自然史博物館修士課程へ。BRUTUSウェブにて「BRUTUS WEEKLY HOROSCOPE」も担当。

Instagram:@motoko322

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