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リチャード・リンクレイターが映画『ヒットマン』について語る【sweetムービーインタビュー】

  • 2024.8.30

Richard Linklaterリチャード・リンクレイター

1960年7月30日、ヒューストン生まれ。1988年に映画監督デビューし、93年の『バッド・チューニング』が大ヒット。95年の『恋人までの距離(ディスタンス)』のほか、『スクール・オブ・ロック』(03)、『6才のボクが、大人になるまで。』(14)など、映画史に残る名作を数々手がける。


『ツイスターズ』で主演のグレン・パウエルが、『ヒットマン』でも主演。さすが『トップガン マーヴェリック』での活躍以来、引っ張りだこの躍進ぶり。そんな『ヒットマン』は、文字通りの殺し屋のお話。「潜入捜査官でにせの殺し屋に扮する大学の先生ゲイリーの人生を描いた物語だ」というのは、もはや巨匠の風格すらある監督リチャード・リンクレイター。

「この話のベースは実話で、本当に存在するんだ。人を殺そうとしたり、そのために人を雇おうとする人は現実に存在するし、検挙しなければならない存在。だから、ゲイリーのような人が必要なんだ。アイデアのもとは二十数年前に読んだ『テキサス・マンスリー』誌の記事。にせのヒットマンを演じた男が、殺し屋らしくふるまいつつ、ある若い女性を逃して、おまけに特別な関係を持った、という話だった。このキャラクターには興味津々だったが、映画にするには長い時間がかかったよ」

企画の始まりは、なんと主演のG・パウエルだった。

「彼は友人で、パンデミックのさなかに電話をしていたとき、グレンが“ヒットマンという記事を読んだことがあるか?”って言ってきたんだ。読んでいたし、ずっと映画化を考えていたけど、うまく構成できないと伝えると、“僕はこういう考えで……”と彼なりの大胆なアイデアを出してきた。それから本気で映画化に向けての話し合いをし、彼とコラボレーションすることになった。お互いにアイデアを送り合って議論し、フィクションとしての『ヒットマン』の可能性を模索したんだ。パンデミック中だったけど、本当に楽しい仕事だった」


潜入捜査においての芝居の才能が開いてしまった男の話。お仕事ムービーとしてもコメディとしても楽しめる。

「これは本当にお仕事映画。主人公のゲイリーは、潜入捜査班の一員で、警察官の同僚とはすぐに仲よくなれる。友達がたくさんいるような男じゃないが、職場では彼はカラフルなキャラクターを持っていて、すぐそこで殺人が起こっていても仕事を楽しもうとする。彼を演じたグレン・パウエルと仕事をするのはこれで4回目なんだ。最初は、彼を『ファストフード・ネイション』でキャスティングしたとき。そのときはどこにでもいるティーンエイジャーだった。

その後『エブリバディ・ウォンツ・サム!!」の大学生役として会ったとき、信じられないような新しいレベルに到達していたことに驚いた。演技だけでなく、人としてもいかに賢く、いかに成長が速く、いかに偉大であったか。彼と仕事をすることにとても親しみを感じているんだよ。今作では共同脚本家としても、思想家としても、俳優以外の顔を見せてくれた。だから、またやれるといいね」

『ヒットマン』
story:大学で教鞭をとりつつ、地元警察にも協力するゲイリー(G・パウエル)。彼はある捜査でおとり警官の代役をすることになり、思わぬ才能を開花。そんなとき、夫のDVに苦しむマディソンと出会い、2人は恋に落ちるのだが……。

監督・脚本:リチャード・リンクレイター/出演:グレン・パウエル、アドリア・アルホナ、オースティン・アメリオ ほか/配給:KADOKAWA/公開:9月13日より、角川シネマ有楽町ほか全国ロードショー
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text : MASAMICHI YOSHIHIRO
web edit : KIMIE WACHI[sweet web]

※記事の内容はsweet2024年9月号のものになります。
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