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コワモテ元刑事が犬と体が入れ替わった!? 台湾の実力派作家が描く、笑えて泣けるハートフルコメディ『いぬとおまわりさん』

  • 2024.8.23
ダ・ヴィンチWeb
『いぬとおまわりさん』(Gene/KADOKAWA)

近年、急成長を見せている台湾エンタメ。NetflixやU-NEXTなどの動画ストリーミングサービスでも台湾ドラマが多く配信されるようになってきている。

映像作品のみならず、台湾作品を国際的に広めようという動きは漫画業界でも見られているようだ。カドコミやコミックNewtypeで配信中の『いぬとおまわりさん』はまさに、そんな想いから生み出されたコミカルな犬をメインとした漫画である。

本作は台湾の漫画家・Gene(ジーン)氏とKADOKAWA、そして台湾クリエイティブ‧コンテンツ‧エイジェンシー(TAICCA)による日台共同作品。Gene氏は2020年、プロ漫画家への登竜門とされる「京都国際マンガ・アニメ大賞」で、大賞とイラスト部門優秀賞をダブルで受賞した実力派だ。

日台共同制作は台湾の台湾クリエイティブ‧コンテンツ‧エイジェンシーが推進しており、海外の出版社やプラットフォームと協力して台湾漫画が発展する機会を高め、国際市場への参入を促すことを目的としている。

そんなプロジェクトの一作目となる本作は日本と台湾、それぞれのプラットフォームで連載中。ひょんなことから犬になってしまった元刑事が、仲間と協力しながら人間に戻る方法を探すというコミカルなストーリーとなっている。

大好きな警察犬のシンバが引退したら一緒にペットショップを始めたい。そんな夢を抱き、開店準備をしていた親友の陸晴空(ルーチンコン)が殺されたことから、汪明浩(ワンミンハオ)は刑事を辞職し、親友の想いを継いでペットショップをオープンする。しかし汪明浩は強面のため全く客が来ない。

そんなある日、亡き陸晴空の夢を見た汪明浩の体に不思議なことが起きる。なんと、うたた寝から目覚めると犬の身体になっていたのだ。

傍らには「タオ」と名乗る小さな子どもの姿も……。実はタオの正体は陸晴空と少しの間一緒に暮らしていた犬の桃太郎(タオタイラン)。

自分の身に起きた状況を把握した汪明浩はパニックに。そんな時、店にやってきたのが面接予定だった李太陽(リタイヤン)だ。何も知らない李太陽はタオと汪明浩を心配し、自宅へ迎え入れる。

汪明浩は李太陽にバレないよう、元に戻る方法を探そうと頑張るも、犬らしく振る舞うことができず。そこで信じてもらえないことを覚悟して、李太陽に人間であることを訴えた。

すると、李太陽は驚くほどあっさり汪明浩に起きた事情を受け入れ、元に戻る方法を一緒に探してくれることになった。親友を亡くした汪明浩は新たなパートナーである李太陽とコミカルなやりとりを繰り広げながら解決法を探していく。

サバサバしている汪明浩と少し天然な李太陽が正反対な性格であるためいいコンビだ。犬語が分かると思い込んで見当違いな解釈をする李太陽と、それにツッコんで反発する汪明浩の姿は毎回クスっとさせられる。

また、汪明浩とタオの心が通い合っていく様にも胸打たれるだろう。特に必見なのはふたりが協力して、汪明浩のペットショップにやってきた初めての客の悩みを解決するエピソードだ。

犬語が分かり、拙い人言葉が話せるタオと犬の五感を使える汪明浩は、エサを食べようとしない子犬と向き合い、その原因を解明するべく奮闘。犬心が分かるふたりだから辿りつけた、食欲不振の理由に涙腺が緩む。

ただ笑えるギャグ漫画なのではなく、心温まるものを詰め込んでいるのが本作の魅力だ。特に心が疲れている時に手に取ってほしい。

なお、陸晴空の身に起きた死の真相が明らかにされていないため、今後シリアスな展開も期待できそうだ。日本人にとって親しみやすい絵柄ながら台湾の風を感じられる本作は、きっと新鮮な感覚を呼び込んでくれるはずだ。

文=古川諭香

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