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八木勇征”南くん”の未来が不穏すぎる…「執行猶予」の意味とは? ドラマ『南くんが恋人!?』第5話考察レビュー

  • 2024.8.23
『南くんが恋人!?』第5話 ©テレビ朝日

飯沼愛主演、八木勇征(FANTASTICS)が出演するドラマ『南くんが恋人!?』(テレビ朝日系)が現在放送中だ。幾度となく映像化を果たした名作『南くんの恋人』が、南くんが手のひらサイズになる男女逆転バージョンとして蘇った。今回は、第5話のレビューをお届けする。(文・西本沙織)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価】
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【著者プロフィール:西本沙織】
1992年生まれ、広島在住のライター。会社員として働くかたわら、Web媒体でエンタメに関するコラムやレビュー記事の執筆を行っている。ドラマや映画、マンガなどのエンタメが好き。

『南くんが恋人!?』第5話 ©テレビ朝日
『南くんが恋人!?』第5話 ©テレビ朝日

【写真】不穏な展開の合間に八木勇征のほほえみに癒される…思わず釘付けになる劇中カット。ドラマ『南くんが恋人!?』劇中カット一覧

『南くんが恋人!?』(テレビ朝日系)第5話は、いつにも増してファンタジー全開な幕開けだった。南くん(八木勇征)が、自分と同じ手のひらサイズの富田早苗(国仲涼子)と出会ったのだ。

彼女も最初から小さかったわけではなく、“縮んだ”らしい。彼氏の胸ポケットに入る早苗は、ちよみが小さくなる『南くんの恋人』を連想させる。そこに南くんも並ぶのだから、よりファンタジー感が引き立つ映像となった。

意気投合した南くんと早苗は、“手のひらサイズあるある”を語り合う。「階段を駆け上がる振動は、5階建ての屋上から落ちるくらいの恐怖」だとか、「ご飯を細かくしてくれるのはいいけれど、切り方が雑」だとか…。二人の会話を聞くほどに、“小さくなった人間”への解像度がぐんと上がる。

それから和やかな空気が続くが、早苗はひとつの問いかけを残して別れを口にする。

「南くん、私たちはなんで小さくなったんだと思う?」

答えが出ないまま、南くんはちよみ(飯沼愛)のもとへ戻る。自転車が横を通るたびに鼓動を速くさせるちよみに、「大丈夫だよ、いなくならない」と声を掛ける。南くんの優しい声色とまなざしが、ちよみに絶対的な安心感をもたらしていたのが印象的だった。

『南くんが恋人!?』第5話 ©テレビ朝日
『南くんが恋人!?』第5話 ©テレビ朝日

ところで、ちよみと南くんの地元では毎年夏祭りが開催されている。祭りを宣伝するポスターは二人がモデルとなっており、町公認のカップルだったことが伺える。

回想シーンでは、浴衣に身を包むちよみと南くんが、弟の拓真(番家天嵩)を連れて祭りを楽しむ姿が垣間見られた。おそらく、この頃拓真は堀切家の子どもになったばかりで、うまく周りと馴染めていない部分があったのだろう。それを見透かしていたのか、南くんは「ずっとここにいなきゃダメだ」と穏やかに語り掛ける。

さらに、「まあいつかお前は俺の弟になるんだからな」「ちよみが俺と結婚するからに決まってんだろ」と続ける。さらっと言ってのけるところがかっこいいが、ちよみ本人に向けてではなく、弟に告げるのが妙に現実的だ。“兄感”と“彼氏感”の両方を堪能できる八木勇征扮する南くんのほほえみには、思わず釘付けになってしまった。

いよいよ夏祭りが始まり、ちよみと小さな南くんも駆けつける。堀切家をはじめ、大学バスケ部のメンバー、ちよみの友人カップルも勢揃いし、夏祭りは大いに盛り上がる。しかし、南くんの目に飛び込んできたのは、ぽつんと佇む早苗の彼氏だった。その胸ポケットはまっ平らで、早苗の姿はない。

『南くんが恋人!?』第5話 ©テレビ朝日
『南くんが恋人!?』第5話 ©テレビ朝日

早苗は南くんと同じく、交通事故にあって小さくなっていた。新婚生活が始まる、幸せの絶頂だった矢先だ。事故にあったとき、早苗は彼が待っている部屋に絶対に帰りたいと願ったという。そして、目が覚めたら小さくなっていた。

もう元の大きさに戻ることはないし、この暮らしも長く続くとは思っていない。だって、私は死んでいるのだから。特別に、この世界とお別れするのを待ってもらっているだけ…。これを早苗は“執行猶予”と例えているが、だとすれば彼らは一体どんな罪を犯したというのだろうか。

「もうすぐ消える」予感通り、姿を消してしまった早苗。交通事故やポケットに入れるくらい小さくなりたいと考えたこと(南くんの場合はちよみが願った)、いくつかの共通点が南くんの未来に影を落としていく。

折り返しとなる第5話では、少々バッドエンドに傾きそうな雰囲気を漂わせてきた。確かにこのままおとぎ話のように、幸せに暮らしましたとさ、とはならない気がする。少しでも長く、ちよみと南くんの幸せな日々が見られることを願わずにはいられない。

(文・西本沙織)

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